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欧州(3): 調査報告(サーチレポート)に対する応答と自発補正

欧州サーチレポートに対する応答に対する応答義務

2010年4月1日に施行された欧州特許条約(EPC)の施行規則改定により、欧州サーチレポートに対する応答(正式にはサーチレポートに添付されている調査見解書に対する応答)が義務化されました。 但し、応答の義務があるのは、欧州サーチレポートが否定的な内容である場合(特許性の瑕疵の指摘や補正の必要性の指摘などを含んでいる場合)にのみ応答が必要となります。期限内に応答しない場合には、出願取り下げとなってしまいます。肯定的な内容である場合は、応答の必要はありません。

応答の対象となるレポートや応答の期限は、出願の方式により異なります。日本国内の出願人による欧州出願の場合、応答の対象となるレポートや応答の期限は以下のようになります。

国際調査機関/ 国際予備審査機関 応答すべきサーチレポート*1 応答期限

Case 1:

非PCT経由の欧州出願

--- EESR (ESR+調査見解書 EESRの公開から6ヶ月以内*2

Case 2:

日本語でPCT出願

→ 欧州移行

JPO EESR (SESR+調査見解書)  EESR公開の約1ヶ月後に発行される応答要求の通知(規則70(2)、70a(2))から6ヶ月以内

Case 3:

英語でPCT出願

→ 欧州移行

(国際調査機関及び国際予備審査機関として、JPO又はEPOのいずれかを選択できる

JPOの場合(Case 3-1)

 

EESR (SESR+調査見解書)  EESR公開の約1ヶ月後に発行される応答要求の通知(規則70(2)、70a(2))から6ヶ月以内
EPOの場合(Case 3-2) ISR/IPER ISRの公開又は欧州移行の遅い方から約2ヶ月後にEPOより発行される応答要求の通知(規則161(1))から6ヶ月以内

*注:
1) ESR: European Search Report, 欧州調査報告
   SESR: Supplementary European Search Report, 補充欧州調査報告
   EESR: Extended European Search Report, 拡張欧州調査報告 (ESR又はSESR+調査見解書)
   ISR: International Search Report, 国際調査報告
   IPER: International Preliminary Examination Report, 国際予備審査報告

2) 実際には、EESRの発行前に審査請求がされていた場合には、EESR発行後に出される審査請求の確認要求通知に対する回答期限ということになるが、この回答期限は実務上はESSR発行後6ヶ月であるため、結局は、審査請求の有無によらずEERS発行後6ヶ月の期限ということになる。

自発補正

2010年4月1日の規則改正により自発補正が可能な時期が制限されましたが、自発補正の期限は上記のサーチレポートに対する応答期限と同様になります。

上記Case 2とCase 3-1(JPOが国際調査機関及び国際予備審査機関であるPCT出願)の場合には、SESR(補充欧州調査報告)よりも前に発行される規則161(2)の通知から1ヶ月以内にも自発補正を行うことが出来ます。

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PCT(5): 国際調査報告による各国での調査・審査費用の軽減

主要国における調査・審査費用の減免・免除

国内段階移行(各指定国への実際の出願手続き)後に、国際調査報告による調査・審査費用の減免・免除が有ります。

多くの場合、ISAが自国の特許庁であるPCT出願を自国に移行する際に特に大きな減額を受けることができます。例えば、PCT経由の米国出願の場合、ISAが米国特許庁であれば、調査費用($620)は免除されます。しかし、当然、日本特許庁に提出するPCT出願に関しては、米国特許庁をISAとして選択することはできませんので、上記のような免除は受けられず、約20%の減額ということになります。(米国以外にもカナダ、中国、韓国特許庁、オーストラリア等の特許庁もISAとして承認されているが、日本特許庁に提出するPCT出願に関して、ISAとして選択することはできず、日本語で出願した場合はJPOのみ選択でき、英語で出願した場合には、JPOとEPOのどちらかを選択することができる。)

日本特許庁に提出されたPCT国際出願に関して、主要国に移行した際に受けられる減免や免除は以下の通りです。

日本に移行した場合の審査請求料の減額

・ JPOが国際調査機関(ISA) → 約40%減額

・ JPO以外がISA → 約10%減額

欧州に移行した場合のサーチ料と審査料の減額

・ JPOがISA → サーチ料の20%を減額

・ EPOがISA → サーチ料は無料

・ EPOが国際予備審査機関(IPEA) → 審査料の50%減額

米国に移行した場合の調査料の減額

・ JPO、EPOがISA → サーチ料約20%減額

中国に移行した場合の審査料の減額

・ JPO、EPOがISA → 審査料の20%を減額

韓国に移行した場合の審査請求料の減額

・ EPOがISA → 審査請求料の10%を減額

JPOがISAの場合とEPOがISAの場合のコスト比較

欧州特許庁(EPO)を、国際調査機関(及び国際予備審査機関)として選択した場合の手数料は、日本特許庁(JPO)を選択した場合と比較して高額です。また、欧州における調査や審査の手数料もかなり高額ですが、PCT国際出願の場合、欧州特許庁(EPO)が国際調査や国際予備調査を行った場合、移行後にEPOに支払う調査・審査料金が大幅に減額されます。日本特許庁(JPO)にPCT国際出願を提出する場合、日本語で出願する場合には、国際調査機関(ISA)及び国際予備調査機関(IPEA)としてJPOしか選択できませんが、英語でPCT出願する際には、ISA及びIPEAとしてEPOを選択することも可能です。近年、英語でのPCT国際出願を検討する日本の出願人も増えているようですので、英語でPCT国際出願して、ISA(及びIPEA)としてEPOを選択した場合にコスト的メリットがあるのか以下に検証します。

日本と欧州以外の国への移行については、韓国を除いて、ISA及びIPEAがJPOであってもEPOであっても相違はないので、以下の比較においては、日本及び/又は欧州への移行のみについて検討します。(韓国の場合も、EPOがISAの場合に10%の減額が有りますが、それ程大きな額とはなりません。例えば、請求項の数が10だった場合、審査請求料は530,000ウォン(1ウォン=0.07円として約37,000円)ですので、減額分は、53,000ウォン(約3,700円)に過ぎません。)

以下の比較は、2012年5月時点での料金に準じます。また、種々の調査費用や審査請求手数料は、請求項の数や発明の数によって異なる場合が有りますので、以下の比較においては、請求項の数10、発明の数1と仮定します。更に、1ユーロ=¥110とします。

国際調査機関・予備審査機関としてJPO又はEPOを選択した場合の調査・審査料金比較

移行国 国際段階(移行前) 国内段階(移行後) A+B+C
ISA/IPEA A.国際調査/
予備審査料金
B. 調査料金
C.審査料金
(1)
JP+EP
JPO   ISのみ
¥80,000
EPO¥107,000
(975)
JPO¥95,000
EPO¥171,000
(1,555)
¥453,000
IS+IPE
¥124,300
EPO¥107,000
(975)
JPO¥95,000
EPO¥171,000
(1,555)
¥497,300
EPO ISのみ
¥216,900 
EPO¥0 JPO¥142,000
EPO¥171,000
(1,555)
¥529,900
IS+IPE
¥438,600 
EPO¥0 JPO¥142,000
EPO¥85,500
(778)
¥666,100
(2)
JPのみ
JPO ISのみ
¥80,000

JPO¥95,000 ¥175,000
IS+IPE
¥124,300
JPO¥95,000 ¥219,300
EPO ISのみ
¥216,900
JPO¥142,000 ¥358,900
IS+IPE
¥438,600
JPO¥142,000 ¥580,600
(3)
EPのみ
JPO ISのみ
¥80,000
EPO¥107,000
(975)
EPO¥171,000
(1,555)
¥358,000
IS+IPE
¥124,300
EPO¥107,000
(975)
EPO¥171,000
(1,555)
¥402,300
EPO ISのみ
¥216,900
EPO¥0 EPO¥171,000
(1,555)
¥387,900
IS+IPE
¥438,600
EPO¥0 EPO¥85,500
(778)
¥524,100

注:
  JPO: 日本特許庁
  EPO: 欧州特許庁
  ISA: 国際調査機関 (International Search Authority)
  IPEA: 国際予備審査機関 (International Preliminary Examining Authority)
  IS: 国際調査
  IPE: 国際予備審査

上記ケース(1)では、予備審査請求せずに日本と欧州の両方に移行する場合、調査・審査に関してJPOとEPOに支払う料金の合計(A+B+C)が、JPOがISAの場合は¥453,000であり、EPOがISAの場合は¥529,900となっています。

即ち、EPOをISAとして選択した場合、JPOをISAとして選択した場合より、調査・審査料金の合計が高くなってはいますが、EPOに支払う調査・審査料金の減額により、その差はかなり小さくなっています。

また、上記ケース(3)は、日本には移行せずに欧州に移行する例ですが、予備審査請求しない場合、ISAとしてEPOを選択した際の合計の調査・審査料金が¥387,900、JPOを選択した際の合計料金が¥358,000であり、その差は更に小さくなっています。

上記の差をどう捉えるかは出願人次第ですが、ISAとして日本を指定した場合と大差ない費用でEPOの見解を得られると考えれば、特に欧州での権利化が重要である際には、ISAとしてEPOを選択するということに大きなメリットがあると言えます。

ISAがJPOであった場合、EPOは新たに独自の調査を行い、Supplementary European Search Reportを作成します。一方、ISAがEPOであれば、最初からEPOの調査に基づく調査結果と見解が得られますので、ISAがJPOの場合と比較して、EPOに対する応答回数が減る可能性が有ります。これは、当然、特許取得の効率化とコスト削減につながります。

* 「国際調査機関による先行技術調査など」の項目でも説明した通り、欧州に移行する場合、国際調査報告書・見解書に対する応答義務が生じます。従って、EPOがISAであった場合、国際調査報告書・見解書は、実質的にEPOの最初の審査通知として機能します。

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Patent Prosecution Highway (PPH) Program

Q1. Is a prosecution under the Patent Prosecution Highway (PPH) program*1 available in Japan?

A1.  Yes.  The PPH programs have been implemented between the Japan Patent Office (JPO) and the Patent Offices of the following countries (as of August 2012):  Austria, Canada, China, Denmark, EPO, Finland, Germany, Hungary, Iceland, Israel, Korea, Mexico, Norway, Philippines, Portugal, Russia, Singapore, Spain, Taiwan, the United Kingdom, and the United States. 

The JPO also implements the PPH MOTTAINAI pilot program*2 with the following countries (as of August 2012):  Australia, Canada, EPO, Finland, Russia, Spain, United Kingdom, and United States.

*1 The PPH program is a framework in which a patent application with claims determined to be patentable by the Office of First Filing is eligible to go through an accelerated examination in the Office(s) of Second Filing, upon the applicant’s request.

*2 The PPH MOTTAINAI pilot program is a PPH program which enables an applicant to make PPH requests at the Office of Later Examination (OLE) by relying on the examination results of the Office of Earlier Examination (OEE), provided that the OEE and OLE have a PPH MOTTAINAI agreement.  In this program, OEE may not be the Office of First Filing, and accelerated examination can be filed based on the examination results of the Office(s) of Second Filing.

Q2. What are the documents necessary for filing a request for an accelerated examination under the PPH program in Japan?

A2.  Documents necessary for filing a request for an accelerated examination under the PPH program in Japan include:

(1)  Request for Accelerated Prosecution under PPH Program;

(2)  Amendment for bringing the Japanese claims in conformity with the claims allowed by the participating patent office other than the JPO (if necessary);

(3)  Table showing the relationship between the (amended) claims of the Japanese application and the allowed claims mentioned in (2);

(4)  All Office Actions issued by the participating patent office (omissible if available via an online file inspection sysmtem provided by the patent office);

(5)  Non-patent documents cited in the Office Action issued by the participating patent office (filing of patent documents is not required);

(6)  Copy of the allowed claims (omissible if available via an online file inspection system provided by the patent office); and

(7)  Japanese or English translations of documents (4) and (6) above when these documents are not in English.

Documents (1) to (3) must be prepared in Japanese.  Although some or all of the information included in items (4), (5) and (6) may be omitted, we usually request the applicant to provide us with such information since it is generally useful for preparing the Japanese language documents (1) to (3).

Q3. Is it possible to request an accelerated examination based on the PCT international work products?

A3.  The JPO has commenced the PPH programs based on the PCT international work products (PCT-PPH) on pilot basis.  According to current schedule (as of August 2012), this program will continue until January 28, 2014.  Participating in PCT-PPH (as of August 2012) are the following 14 countries and organizations: China, Denmark, the EPO, Finland, Iceland, Korea, Mexico, the Nordic Patent Institute, Norway, Philippines, Portugal, Spain, Sweden and the United States.

Under the PCT-PPH programs, an accelerated examination can be requested in Japan using search and examination results (namely, written opinion or international preliminary examination report (IPER)) established by the International Searching Authorities (WO/ISA) or International Preliminary Examining Authorities (WO/IPEA) of the above-mentioned countries or organizations when any one of the examination results indicate that at least one of the claims has novelty, inventive step and industrial applicability.

Detailed requirements for filing a request for PCT-PPH may vary depending on which country's ISA or IPEA has carried out search.  Therefore, please let us know if you are interested in PCT-PPH and need more information.

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米国(2)

Q. 継続審査請求(RCE、Request for Continued Examination)は何回まで可能か?

A. 特許出願が生きている限りは何回でも可能です。

Q. 継続審査請求(RCE、Request for Continued Examination)を行った場合に、RCE後の最初の審査通知が最後の拒絶理由通知(Final Action)になることはあるか?

A. RCE後の最初の審査通知がFinal Actionとなることは、規則上は有り得ますが、実務上は殆どありません。
RCE後の最初の審査通知がFinal Actionになるのは、2つの要件:

(1)RCE前のクレームとRCE後のクレームとが同一である、

(2)RCE後の審査における拒絶の理由がRCE前の審査における拒絶の理由と同一である、

共に満たされる場合に限ります。

しかし、RCEを行うのは、殆どの場合、Final Action後に提出したクレームの補正や証拠が新たな争点(New Issue)を提起するものであって考慮出来ないと認められた場合です。このような場合に、上記の要件(1)及び(2)に該当することはあまりないはずです。

但し、Final Actionの法定期限内に許可通知(Notice of Allowance)を得ることができずに、延命措置としてRCEをしたというような場合には、RCE後の最初の審査通知が出される前に、なるべく早期に補正(Preliminary Amendment)や新たな証拠を提出しないと、最初の審査通知がFinal Actionになってしまう可能性が有ります。このような状況において、補正や新たな証拠を提出する予定があるが、準備に暫く時間がかかるような場合には、RCEと同時又はその直後に審査の一時中断を申請するRequest for a 3-month Suspension of Action by the USPTO under 37 CFR 1.103 (c)ということも考えられます。

なお、RCEを提出する際に、クレームに何らかの補正を行なうと、次の最初の審査通知がfinal actionとなるのを防ぐことができますので、状況によってはそのような手段を講じることもあります。その際の補正は純粋に形式的なものでよく、例えば、得に重要でない特徴に関する従属クレームの追加などでも構いません。また、そのクレームが不要であれば、後で削除することもできます。

Q. RCEの提出後、一年以上経過したが、全く動きが無い。審査を促進するための手段は無いのか?

A. 近年、USPTOは、RCEの利用を減ずるための方策を採用しており、その1つがUSPTOにおけるRCE後の処理の優先度を下げることです。

その結果、RCE後に次のアクションが出るまで非常に時間がかかるようになってしまいました。弊所の取扱い案件においても、RCE後のアクションが出るまで1年近くかかった例が幾つか有ります。1年以上アクションが無いということもあると聞きます。

考えられる対策としては、米国代理人に直接、審査官に問い合せてもらうか、若しくは面談の申請をすることが挙げられます。尤も、前者については、審査官はRCE案件を速やかに処理することは要求されないため、効果が得られるか定かで無く、また後者については、もし面談後にRCEを請求したというのであれば、効果とコストの観点から現実的なオプションでは無いかも知れません。

尚、多くの出願人や実務者がRCE後の審査の遅延を問題視しており、現在USPTOがパブリックオピニオンを求めている模様です(2013年2月4日まで)。従って、近い将来改善される可能性は有りますが、現在の所、RCEを請求すれば、常に審査が大幅に遅れる可能性があるということを念頭に置かなければならないようです。

Q. 米国において最後の拒絶理由通知(Final Office Action)後に補正を行わずに、37 C.F.R. § 1.132に基づく宣誓供述書を提出した場合、これは考慮されるのか?

A. 状況により考慮されることも有りますが、弊所の経験からは、新たな検討を要するという理由で、継続審査請求(RCE)や審判請求(Appeal)を行わないと検討してもらえないことが多いようです。

Q. 最後の拒絶理由通知(Final Office Action)後に回答書を提出して、法定期限内(Final Actionの日から6ヶ月)に次の審査通知が出ないことがあるのか?その場合どうなるのか?

A. あります。最後の拒絶理由通知の日から6ヶ月の法定期間内に許可通知(Notice of Allowance)(拒絶理由通知ではありません)が出されず、且つ、出願人が該6ヶ月の期間内にRCEや審判請求を行うなど出願を継続させるための手続きを取ることを怠った場合、出願放棄と見なされます。

注意すべきは、上記6ヶ月の期間内に審査官の応答があっても、それが許可通知ではなく拒絶理由通知("Advisory Action"と言います)である場合には、出願人はそのAdvisory Actionに回答する義務があり、上記6ヶ月の期間内に許可通知がもらえそうにないときには、出願人は上記6ヶ月の期間内にRCEや審判請求を行うなど出願を継続させるための手続きを取っておかなければならない、ということです。

Q. 米国における分割出願と継続出願との違いがよく分からないのだが?

A. 米国では、Restriction指令により審査対象外となったクレームに関して出願し直す場合のみ"divisional application"(分割出願)と称し、自発的に行う「分割出願」は"continuation application"(継続出願)と称します。

Q. ターミナルディスクレーマー(Terminal Disclaimer)とはどのようなものか?

A. ある特許出願のクレームが、その出願と同一の発明者または譲受人による他の特許又は特許出願のクレームと同じでないにしても特許的に区別できない(not patentably distinct)と判断された時に、自明型(obviousness type)二重特許(ダブルパテント)の拒絶理由が出されます。Terminal Disclaimerは、この自明型二重特許の拒絶理由を解消するための手段です。

具体的には、Terminal Disclaimerを提出して、先願の特許権存続期間の満了日と一致させるように後願の特許権存続期間の一部を放棄することにより、自明型二重特許の拒絶を解消することができます(MPEP § 804.02 II.)。

尚、Terminal Disclaimerは、先願特許と後願特許の発明者または譲受人が同一である限りにおいて有効な手続だということに注意が必要です。Terminal Disclaimerによって拒絶を克服して特許を受けた後に、先願特許と後願特許のどちらか一方だけが他人に譲渡された場合には、後願特許は権利行使不能(unenforceable)になってします。

一旦受理されたTerminal Disclaimerを取り下げることについては特許発行前若しくは再審査(Reexaminationにおける再審査証明書(Reexamination Certificate)の発行前であれば可能ですが、それ以後は、ほぼ不可能になってしまいます。再発行(Reissue)や訂正証明書(certificate of correction)などでTerminal Disclaimerを無効化することはできません。(1490 Disclaimers [R-7] - 1400 Correction of Patents)従って、Terminal Disclaimerを提出する際には、譲渡の可能性などについて慎重に検討することが必要です。

因みに、ある特許出願のクレームが、その出願と同一の発明者または出願人による他の特許又は特許出願のクレームと同一と判断された場合には、同一発明型(same invention type)二重特許の拒絶を受けます。この場合、Terminal Disclaimerによって拒絶を解消することはできず、クレームの削除や補正によりクレームを明確に差別化することが必要になります。

Q. 米国において特許無効立証の証拠として、審査の段階で審査官に考慮された先行技術文献と、考慮されなかった先行技術文献では重要度に違いがないのか?

A. 成立済みの特許の有効・無効の判断においては、特許が有効であることが推定され(patent is presumed valid)、特許無効の立証の為の証拠基準は「明白且つ説得力のある証拠」(Clear and Convincing Evidence)であることが要求されます。このことは、無効の証拠として使用される先行技術文献が、審査の段階で審査官に考慮されたものであるか否かには影響されません。

この点については、Microsoft Corp. v. i4i Limited Partnership事件の最高裁判決(2011年6月9日)において、Microsoft社が、審査段階で考慮されなかった先行技術文献に関しては、これに対して特許が有効であるという推定が成り立たず、そのような文献については、特許無効の立証の為の証拠基準は「明白且つ説得力のある証拠」(Clear and Convincing Evidence)ではなく、「証拠の優越性」(Preponderance of Evidence)(即ち、その証拠に基づいて、どちらかと言えば無効である可能性が高いと判断されれば特許無効)とすべき、と主張しましたが、米最高裁は、これを退け、審査段階で考慮されたか否かに関わらず、従来からの基準である「明白且つ説得力のある証拠」(Clear and Convincing Evidence)を適用すべきことを明確にしました。

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