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米国(3): 現在の米国における特許政策(並びに自明性審査とその対策)

プロパテント政策の変化

米国においては、プロパテント政策(発明技術の独占的実施権を可能にする特許による権利保護を重視する政策)が、1980年代後半にレーガン大統領により導入され今世紀初頭まで維持されてきましたが、世界的な不況が深刻化するにつれ、大きな変化が見られます。

不況に加えて、プロパテント政策による弊害とも言える所謂「パテント・トロール(patent troll)」による特許権の濫用も大きな問題となっています。「パテント・トロール」とは、大学や研究機関以外のnonpracticing entity(特許発明を実施しない者)であって、第三者の特許権を譲り受け、その特許権を主張して大企業に巨額の損害賠償を要求するような組織のことです。このパテント・トロールの暗躍は、質の低い特許を乱発したことによる弊害であると言われております。

一般的には、近年の不況に伴い、プロパテントからアンチパテント(特許権より独占禁止法の遵守に重きを置く政策)へシフトしたと言われることが多いようですが、一概に、完全にアンチパテントへ傾いたと断言することは難しいようです。 近年の出来事を見ると、審査基準の厳格化や権利行使の範囲を制限する変化が目立ちますが、一方で、特許の活用を促進する方向の変化も見られます。要は、この不況を乗り切るために重要なツールの一つとして特許を有効に活用出来るように制度を整えているということであると思います。

近年の判例や2011年9月の法改正(Leahy-Smith America Invents Act)から読み取れる米国の知的財産権に関する姿勢は以下の通りです:

進歩性基準を厳格化し特許の質を向上

 - KSR Int'l Co. v. Teleflex, Inc., 550 U.S. 398 (2007) (これにより非自明性の審査が厳しくなった。)

付与後特許に対する異議申立ての機会を拡張

 - 付与後異議申立制度(Post-grant review)の導入(2011年のAmerica Invents Act)

過剰な権利行使を抑制

 - Abbott Labs v. Sandoz, 566 F.3d 1282 (Fed. Cir. 2009) (所謂"product-by-process"形式のクレームの権利範囲を、クレームで規定したprocessで得られる物に制限した。)

 - 複数の被告に対する訴訟の併合(joinder of parties)についての制限(2011年のAmerica Invents Act)(以前は、1つの特許訴訟において複数の被告を訴えることが可能であり、パテントトロールが複数の企業に対して同時に特許権侵害訴訟を提起し損害賠償金請求することが問題視されていた。この対策として、「同一の特許を侵害している」ことのみをもって複数の被告を1つの訴訟事件で訴えたり、1つの訴訟事件に併合したりすることができないこととされた(§299)。)

 - In re Seagate Technology, LLC, 497 F. 3d 1360 (Fed. Cir. 2007) (特許侵害訴訟において、3倍賠償の対象となる故意侵害の有無の立証責任を、侵害者から特許権者側に移した)

 - 故意侵害及び侵害教唆対策としての鑑定書の入手・提出の不要化(2011年のAmerica Invents Act)(上記Seagate事件における判示の一部を成文法化。鑑定書を入手しなかったことや裁判所に提示しなかったことを、故意侵害(willful infringement)の認定や、侵害教唆(inducement of infringement)の意思の認定に使用できないと規定された(§298)。2012年9月16日以降に発行された特許に対して適用。)

特許出願人又は特許権者の過失に対する罰則適用条件を緩和

 - ベストモード要件違反を特許無効の理由から除外(2011年のAmerica Invents Act)

 - Therasense, Inc. v. Becton, Dickinson & Co. (Fed. Cir. 2011) (en banc))(不公正行為(Inequitable Conduct)の立証を困難にした)

 - 補助的審査(Supplemental Examination)制度の導入(2011年のAmerica Invents Act)(情報開示義務(IDS)違反の救済措置)

特許出願に関する門戸は狭めない

 - Bilski最高裁判決[Bilski v. Kappos, 130 S. Ct. 3218, 561 US, 177 L. Ed. 2d 792 (2010)] (CAFCの大法廷(en banc)が「machine-or-transformation testが、ビジネス方法に関する発明が特許保護の対象になるか否かについての唯一の判定手段」と判示したのを最高裁が覆した。)

KRS判決による非自明性判定基準の変化:

以前は審査が厳しいと言われている化学分野の特許出願で、かなり厳しい審査結果を予想していたにも関わらず、あっさりと特許になって拍子抜けしたようなケースも多々ありました。しかし、最近は我々も実感として、KSR判決を境に自明性(複数の先行技術文献の組み合わせに対する容易性)の審査が非常に厳しくなったと思います。正直な所、KSR判決以前は、「減縮補正を行わないと103条(自明性)で拒絶されるだろうな」と思う様な件が、拒絶を受けずにそのまま特許にということも結構ありました(しかも、審査結果が出るのが早かった)。現在は、特許庁における審査は、より時間をかけてかなり厳密に行われているという印象です。KSR判決において最高裁は以前よりも厳格な非自明性の基準が提示しましたが、判断基準が厳格になった以上に、米国特許庁審査官の自明性審査に対する姿勢が厳しくなったと感じます。

実際に、統計的にみても、米国ではKSR判決以後では拒絶査定を受け審判請求を行う件数が増え(KSR判決前の2006年では3349件→KSR判決後の2008年では6385件)且つ審判請求を行って拒絶が撤回される確率が率低下しています(KSR判決前の2006年では41%→KSR判決後の2008年では28%)。

尚、参考までに、KSR判決後約2年間において、CAFC(連邦巡回区控訴裁判所)が、化学・生化学系の発明を非自明(進歩性有り)と判断したケースが約62%であったのに対して、非化学・生化学系の発明を非自明と判断したケースは約33%であったとの統計データもあるそうです(http://www.jurisdiction.com/dsmith.pdf)。このことは、KSR判決によって、化学・生化学の分野のように効果を予見することが難しい分野では非自明と判断されやすく、一方、機械などの構造物などの効果を予見しやすい分野の発明は自明と判断されやすくなったということを示していると解釈することできます。

最近、米国特許成立の確率が回復(向上)傾向にあるという情報も散見されますが、実際、数字上はそうであっても、これが淘汰(即ち、元々特許性が明らかでない出願は繰り返し拒絶を受けたために放棄されてしまった)や出願人が出願する発明を精査していることによるという可能性もあると思います。弊所の印象としては、現在でも、KSR判決直後と比較すると非自明性の判断も大分緩和されたようにも思いますが、KRS判決以前と比較すると未だ厳しいように思います。実際に弊所で扱っている案件でも、非自明性の拒絶に対してほぼ完璧な対応ができたような場合(先行技術の組み合わせに対する阻害要因の存在を明らかにし、更に実験証明で予想外の優れた効果を明らかにしたような場合)であっても、その後、審査官の理解不足による拒絶を受け、更に何度かインタビューを行って説明したり、細かい補正をすることによって漸く許可になったということもありました。要するに審査官の側に、非自明性の審査は厳格に行うべきという意識があると思います。

自明性の拒絶に対する対応

自明性の拒絶を受けた場合の典型的な対応は以下の通りです:

(a) 審査対象出願の発明や先行技術の開示内容に関する審査官の誤認を明らかにする。
(b) 先行技術の組み合わせに対する阻害要因(teach away)の存在を明らかにする。
(c) 予想外の優れた効果を明らかにする。
(d) 先行技術に教示・示唆されていない特徴をクレームに追加して、更にその特徴による予想外の優れた効果を明らかにする。

その他にも商業的な成功(所謂“secondary consideration”(二次的考慮事項)の例)などが考慮されることもありますが、これらはあくまで二次的に考慮される事項であって、一般的には上記の(a)~(d)で十分な対応が難しい場合に補足的に主張すべき事項です。やはり先ず上記(a)~(d)の観点からの反論を検討すべきでしょう。上記のKSR判決以前は、自明性の拒絶に対して「引用された2つの先行技術文献が異なる技術分野に属するものであるから組み合わせは不当」という反論で拒絶が撤回されることが屡々ありました。しかし、KRS判決以降は、異なる技術分野に属する先行技術文献であっても組み合わせることが当業者の常識の範囲内で容易であれば自明であるということになりました。従いまして、原則的には上記のような対応を考えるべきです。

上記(a)の審査官の誤解についてですが、特に米国の審査官は、技術内容の誤解に基づいて拒絶してくることが多いという印象があります。審査官の指摘を鵜呑みにせずに、自らの出願のクレームの記載や先行技術文献の開示内容を詳細に検討することが重要です。

また、その様な場合においても、ただ審査官の誤解を責めることを考えるのではなく、何故そのような誤解が生じたのかを謙虚に検討してみることが望ましい結果につながることが多いです。具体的には、審査官の誤解の理由を検討し、許容範囲内で、誤解の原因を排除し、発明をより明確に定義できる補正が可能であるならば、そのような補正を行うことが望ましいです。仮に審査官の誤解が明らかであっても、何らかの補正を行った方が、権利化がスムーズになります。

上記(b)の「阻害要因」については、一瞥してそのような阻害要因が見あたらないような場合でも、注意深く、執念深く、引用された先行技術文献を徹底検討すると、「阻害要因」として若しくは「阻害要因」とまではいえずとも先行技術の組み合わせを断ち切るために利用できる記載が見つかることも良くあります。一見自明性の拒絶が妥当に思えても、直ぐにあきらめないことが大切です。米国に限らず外国出願の多くは、現地代理人への依存度が高いと思います。しかし、現地代理人は、自分で明細書を作成したのではないということもあり、明細書や引用された先行技術文献を必要以上に詳細に検討することは通常有りません。現地代理人が半ばギブアップの状態でも、弊所で明細書や先行技術文献を徹底的に検討して有効な反論材料を見出したようなことも少なくありません。

上記(c)の「予想外の優れた効果」に関しては、米国の特許プラクティスの1つの大きな特徴として、出願明細書に記載されていない効果について、出願後に主張することが可能です。(日本や欧州においては、出願時の明細書に教示も示唆もされていなかったような効果に基づいて進歩性を主張することは原則的に許されません。)

また、米国において「予想外の優れた効果」の立証に有効なツールとして、37 C.F.R. 1.132に基づく宣誓書(affidavit)又は宣言書(declaration)(以下、纏めて「宣誓供述書」)があります。この宣誓供述書形式で提出された証言やデータについては、審査官は、公知文献や専門家の見解書と同等の証拠として真摯に検討することが義務付けられています。この宣誓供述書は、最後に文字通り「署名者は、故意の虚偽陳述及びそれに類するものは、18 U.S.C.. 1001 に基づき罰金若しくは拘禁、又はその併科により処罰されること・・・について警告を受けており、本人自身の知識によって行う全ての陳述が真実であること・・・を宣言する」と宣誓して署名するものです。

37 C.F.R. § 1.132の宣誓供述書の詳細については、以下をご参考下さい:
MPEP §716.01(a)MPEP§716.01(c)

また、宣誓供述書については、こちら にもより具体的な説明と、弊所で作成した宣誓供述書のサンプルを幾つか掲載しておりますので、参考までにご覧下さい。

他の国では一般的に審査段階では宣誓供述書の形式での提出は要求されません。しかし欧州の場合、審査の段階では実験証明書を宣誓供述書の形式にする必要はありませんが、異議申立手続きや審判手続きにおいては宣誓供述書の形式にすることが要求されます。

尚、自明性(進歩性欠如)の拒絶に対する対応の仕方については、こちら でも解説しておりますので、ご覧下さい。

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米国(5.1): 特許の取消し・無効を請求する手続き[付与後異議(Post-grant review)等]

2011年の法改正(AIA)により導入された新制度

2011年の法改正(America Invents Act, AIA)が米国特許実務に与える影響に関して、米国の専門家の多くが、付与後異議申立て制度(Post-grant review proceedings)の導入が、先願主義への移行よりも大きなインパクトがあるという趣旨の発言をしております。しかし、付与後異議申立ての対象となるのは先願主義への移行が実施される2013年3月16日以降に提出された出願に基づく特許ですので、そのような出願が許可になって初めてこの手続きの対象となるわけですから、実際にこの手続きの利用が可能になるのは早くても2015年頃ということになります。

上記のように鳴り物入りで導入される付与後異議申立て制度ですが、2012年8月14日に公表された最終的なルールによると、これを利用するために米国特許庁に支払う手数料が非常に高く(クレーム数にもよるが、特許庁に支払う手数料が$30,000(約270万円)~)、欧州における異議申立て制度(特許庁に支払う手数料が745ユーロ(10万円弱))と同じような感覚で利用するのは難しそうです。もっとも、米国における訴訟費用は、日本などとは桁違いですので、上記の費用を高いと感じるか、それほどでもないと感じるかは利用者次第です。

尚、現行の査定系再審査(Ex Partes Reexamination)(第三者の関与が極めて制限されている)は、2011年の法改正後も(料金以外は)実質的に変更なく維持されます。

一方、当事者系再審査(Inter Partes Reexamination)(第三者が大々的に関与出来る)は、2012年9月16日に当事者系レビュー(Inter Partes Review)に変更されました。この当事者系レビュー(Inter Partes Review)は、特許付与後9ヶ月以降又は付与後異議申立手続き(Post-grant Review)の終了時から、特許存続期間中に申請可能です。この申請可能時期と、申請理由が先行技術に基づく新規性違反(102条)、自明(103条)のみに制限されること以外は、当事者系レビュー(Inter Partes Review)のルールは、付与後異議申立て(Post-grant Review)と類似しております。

また、当事者系レビュー(Inter Partes Review)を申請した場合、米国特許庁に申請が受理されて再審査が開始されるための基準は、従来の特許性に関する実質的に新たな問題(substantial new question of patentability)(審査時に米特許庁に検討されなかった問題)が提起されているか否か(以前の当事者系再審査における基準)ではなく、再審査請求対象のクレームのうち、少なくとも1つが無効であることが合理的に見込めるかreasonable likelihood that the petitioner would prevail with respect to at least 1 of the claims challenged)になります。[査定系再審査(Ex Partes Reexamination)については、従来通り、実質的に新たな問題が提起されているか否かが基準となります。]

上記のように基準を"substantial new question of patentability"から"reasonable likelihood"へ変更した意図は、"reasonable likelihood"にすることにより基準を引き上げるということのようです(House Rep. 112-98 (Part 1), at 47, 112th Cong., 1st Sess.)。実際には、運用が開始されてみないと分かりませんが、少なくとも"reasonable likelihood"の方が理由説明の負担が大きいことが予想されますので、申請を受理される確率は下がる可能性は十分にあると思います。しかし、特許性に関わる重要な問題で、審査官が検討したにも関わらず、検討が不十分で特許になっているという件も少なからずあると思います。そういった場合にも、基準が"reasonable likelihood"であれば、申請を受理される可能性はあるわけですので、特許を取消しにできるチャンス自体は広がると考えています。

尚、当事者系再審査(Inter Partes Reexamination)の請求件数は年々増加しており、近年は年間3百件近く請求されております。特許付与後異議申立手続き(Post-grant Review)は、当事者系再審査(Inter Partes Reexamination)と比較して広範に亘る理由での申請が可能であるため、大いに活用されることが期待されていましたが、上記した高額な手数料が大きなネックとなることが予想されます。

付与後異議申立て制度(Post-grant review proceedings)の概要

I. 導入の目的: 第三者が特許の無効を求める手続きとして、従来の再審査制度(reexamination)や訴訟よりも、利用しやすく費用がかからず且つ結論が出るのが早い手続きを導入する。

II. 対象: 2013年3月16日以降の出願に基づく特許(ビジネス方法に関する発明の場合を除く。ビジネス方法の場合、2012年9月16日に施行される暫定的な付与後異議申立手続きにて争われる。この手続きでは、施行日である2013年3月16日以前に成立した特許も対象となる。)

III.異議申立て申請の有資格者: 特許権者以外の誰でも可

IV.特許庁内担当部署: 審判部[the Patent Trial and Appeal Board (元Interference審判部、the Board of Patent Appeals and Interferences)]

V.異議申立て手続きの流れ:

 1.申請時期: 特許査定後(若しくは特許再発行後)9ヶ月以内
 2.異議申立てに対する特許権者の予備的回答(クレームの放棄(disclaim)は可能だが、補正は不可)(義務では無い): 申請後3ヶ月以内
 3.異議申立を認めるか否かの決定(手続を開始するか否かの決定): 特許権者の予備的回答後3ヶ月以内、又は予備回答が無い場合には異議申立て申請から3ヶ月以内
 4.特許が無効か否かの決定: 申請から1年以内(2年まで延長可)
注: 異議申立の請求人が、先に特許無効を訴える訴訟を起こしていた場合、異議申立ては認められない。また、異議申立てと同日又はそれ以降に特許無効を訴える訴訟を起こした際には、以下の手続きが有るまで訴訟手続きは保留となる:(1)特許権者が訴訟の保留の解除を申請するか、若しくは侵害訴訟(反訴)を提起する、又は(2)異議申立て申請人が訴訟の取り下げを申請する。

VI.採用可能な無効理由と申請時提出書類: ベストモード以外の全ての理由(112条に基づく記載要件や実施可能要件を含む)が採用可
 申請書類は、申請人を特定し、更に異議申立ての根拠と証拠を含む必要が有る。  後述する政府料金の支払いも必要。

VII.異議申立てを認める基準: 以下のいずれか又は両方の条件を満たす場合に異議申立てが認められる。

- 異議申立て申請書が、特許の少なくとも1つのクレームが無効である可能性が有効である可能性よりも高いことを示していると認められる場合(the petition demonstrates that it is “more likely than not” that at least one claim of the challenged patent is unpatentable.)
- 他の特許や特許出願にも重要な影響を及ぼす新規又は未解決の法的問題を提起する場合(the petition “raises a novel or unsettled legal question that is important to other patents or patent applications.”)

VIII.請求人の立証責任(Burden of Proof): 無効の根拠となる証拠の優越性(Preponderance of Evidence)を示すことが必要
 この優越性(Preponderance)に関して、明確な基準は無いが、一般的に、無効である可能性が50%を越せば(例えば51%でも)優越性(Preponderance)があると認識されている。訴訟においては、特許は有効であると推定され、無効にするためには明確かつ説得力のある証拠(Clear and Convincing Evidence)が要求される。

IX.口頭審理: 当事者のいずれかが請求すれば許可される

X.控訴: 連邦巡回区控訴裁判所(CAFC, Court of Appeals for the Federal Circuit)

XI.和解: 当事者間の合意による和解が可

XII.エストッペル(Estoppel): 異議決定後は、異議申立人は、その後の特許庁、裁判所又は米国際貿易委員会(ITC)における手続きにおいて、異議申立て手続き中に提示した又は提示することが出来た根拠に基づく無効の主張をすることは許されない。

追記: ビジネス方法に関する発明(主に金融関連のもの)については、暫定的な異議申立て制度が早期に導入され、先願主義移行以前の特許も異議申立ての対象となります。この背景には、ソフトウェアー関連の発明に特許を与えるべきではないというロビー活動の存在があるものと思われます。そういったロビー活動をしている団体は、ビルスキー事件[In re Bilski, 545 F.3d 943, 88 U.S.P.Q.2d 1385 (Fed. Cir. 2008)]において、最高裁がビジネス方法を特許の対象外とすることを期待しておりましたが、最高裁の判決はビジネス方法も特許の対象たり得るとの判決を出したため、ビジネス方法特許の有効性を争う制度の導入を要求しており、これが今回の暫定的な異議申立て制度につながったようです。

尚、米国特許庁は手続きが大いに活用されることを見込んでおり、既に審判部の増員が決定しているそうです。

高品質な技術翻訳(特許出願明細書等)井上アソシエイツ 次へ[米国(5.2): 特許の取消し・無効を請求する手続き Part2]

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English

Welcome to the website of Inoue & Associates

Introductory Statement

Inoue & Associates (located within 1 minute walk from the Japan Patent Office) is an intellectual property (IP) firm having more than 35 years of experience in international IP business.

We are a modest-sized IP firm composed of members each having profound knowledge about the legal aspect of IP and the technologies involved therein as well as excellent skill in actual IP practice, such that high quality services can be offered constantly at a reasonable price.  Each one of our staff members is so trained as to be able to always provide high quality IP-related services including production of documents having a clear and logical construction whether they are in English or Japanese and irrespective of urgency or technical difficulties involved in particular cases.

Over the years, we have built up a solid reputation for our ability to efficiently acquire and protect IP rights in Japan.

We are confident that we can provide higher quality IP services than any other IP firms in Japan.


Features of Inoue & Associates

For acquiring and protecting patent rights, everything starts from the claims and specification of a patent application or a granted patent.  Whether a patent application can be granted with a desired protective scope or a granted patent can survive the challenge from a third party depends utterly on how good the claims and specification have been drafted in the first place.

Invalidation of patents, unexpectedly narrow scope of protection, defeat in infringement suit … all such undesired outcome could have been avoided only if the patent application had been better drafted. 

In the case of Japanese patent applications filed by non-Japanese entities, the claims and specification are usually translations from the non-Japanese texts of the first filed foreign applications or PCT applications. 

From this perspective, the translation of the patent claims and specification is actually more than just a translation and is practically tantamount to the preparation of a legal document which serves as a basis for seeking patent protection.  For this reason, the translation should be done with utmost care by IP professionals such as experienced patent attorneys or paralegals

And that is what we do and is not done by most of the IP firms in Japan

 

Problems related to traditional way of handling patent applications from outside Japan

In typical Japanese IP firms, applications from foreign clients are handled by a team of an IP professional (a patent attorney or a paralegal) and a translator. For example, the translation of a PCT specification for the Japan national phase entry is often carried out by one who is the least experienced in the IP firm or even by an outside translator.

The IP professions work on legal matters based on the translations prepared by translators which are not always so good or of a rather poor quality in many cases. This manner of handling patents is disadvantageous not only from the aspect of efficiency but also from the aspect of cost because poor translations of course make the entire procedure unnecessarily complicated and high translation fees are required even if the translations are not so good. Such inefficient and problematic practice as mentioned above has become customary because many Japanese IP professionals are not good at writing in English or even reading English documents, and the English-to-Japanese translations are generally assigned to beginners.

Consequently, many Japanese IP professionals have to rely on poor translations in their works, thus falling into a vicious cycle. It is not surprising even if patent applications from foreign clients are handled by those who do not fully understand what is disclosed in the original specification nor the clients’ instructions given in English during the prosecution of the application. For years, this has been a serious problem as far as the patent applications from outside Japan are concerned.

Our Solution

Such problems as mentioned above will never happen in the case of Inoue & Associates. Every one of our staff members has gone through very hard training and long actual experience to acquire ability to handle the IP cases alone from drafting patent specifications whether they are in Japanese or English to dealing with various procedures relating to patent applications or registered patents. We do not need and actually do not use any translator. Even in the case of foreign patent applications (in US, EP etc.) filed by Japanese applicants through our firm, the US or European patent attorneys often use our draft documents without any substantial change. That is, the documents drafted by Inoue & Associates as such are often submitted to the USPTO or the EPO.

There is no magic formula for acquiring good IP rights. This can be achieved only by hard work and skill obtainable through long and rich experience as always required in any fields for realizing high quality services.

Inoue & Associates is one of the very limited number of Japanese IP firms capable of constantly offering high quality IP services at a reasonable price. There has been and will be no compromise in the quality of services we provide to our clients and, for this very reason, we have been trusted by many foreign clients as well as domestic clients.

Our skill in IP business is highly esteemed by our clients including two famous Japanese professors emeriti, Dr. Nobuatsu Watanabe and Dr. Hidefumi Hirai, whose recommendations are shown in this web site. Further, if requested, we will be able to show you copies of some letters from various US and EP attorneys praising our abilities.

Our highly-skilled staff members will surely be of great help to your establishment of strong and valuable intellectual property portfolio while reducing cost.

If you are not sure, try us and we promise that we will never fall short of your expectations. You will immediately realize that we are dedicated to efficient acquisition and protection of your valuable intellectual properties and have skills to achieve this goal.

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宣誓供述書の書き方について(1):米国(Part 1)

今回は、米国出願における37 C.F.R. § 1.132に基づくDeclaration又はAffidavit(以下、纏めて「宣誓供述書」と証す)の書式についてご説明します。(宣誓供述書で証明が可能な事項については、こちらで説明しております。)

1.形式的な要件

 宣誓供述書に記載する事項は、以下の通りです。

① 「IN THE U.S. PATENT AND TRADEMARK OFFICE」と冒頭に記載する。
② 出願を特定する情報(出願人、出願日、出願番号、審査官の氏名など)。
③ 「DECLARATION UNDER 37 C.F.R. 1.132」という表題。
④ 宣誓者(declarant)の情報、具体的には、氏名、住所、最終学歴、職歴(職歴は、宣誓者として相応しいことを示すことができる限り、「~の研究や開発」という程度で構わない)。こちらでも説明しました通り、宣誓者としては、客観性の観点からは発明者以外が好ましいとされていますが、発明者でも支障はありません。
⑤ 宣誓者と本出願との関係。宣誓者が本出願の現状を理解していること。
⑥ 具体的な供述内容。
⑦ 供述内容に虚偽が無いことの宣誓。
⑧ 署名と日付。

2.供述内容

宣誓供述書を提出する状況として最も多いのは、自明性の拒絶を受けて、それに対して予想外の結果(unexpected results)を証明する場合であると思います。その場合の注意事項を以下に挙げます。

当然のことながら、回答の方針を念頭に入れて作成する必要があります。できれば、宣誓供述書を考慮させたただけで、自明性の拒絶理由が撤回されるような内容にすることが望ましいです。

これに関連して、実験報告書の原案を発明者の方が作成し、それを実質的にそのまま翻訳して提出してしまうということが実務上よく行われています。そして発明者の方は、技術の専門家ではありますが特許の専門家ではないために、必ずしも的確とは言えない内容の宣誓供述書になってしまっているというケースを目にすることがあります。その場合、いかに審査官が供述内容を真摯に検討しようとも、拒絶の撤回の根拠とはならないという状況に陥ってしまいます。従って、少なくとも発明と拒絶理由の内容を完全に理解した国内代理人に宣誓供述書の和文ドラフトを作成させて、それを翻訳させることが望ましいと考えます。(弊所では、必ず発明と拒絶の内容を理解した担当者本人が、英語で宣誓供述書を作成します。)

供述内容の決定手順の例を以下に挙げます。

① 現時点(補正後)のクレームの範囲を把握する。

② 先行技術との違いを特定する。

③ 上記の違いによって効果に差が生じるということが明確になるようなデータを取得する(実施例と比較例の結果の相違がこの特徴の違いに起因することが明確になるような条件設定とし、ここで行う比較実験が先行技術の再現実験として認められるような条件を採用しているかなどの点に留意する)。

④ 発明の特徴と効果の因果関係が明確になるようにデータの提示手段を工夫する。

⑤ データの量が不充分とみなされる可能性がある場合、既存のデータに基づいて、その結果がデータ不足分にも適用が可能であることを、合理的に説明する。場合によっては、公知文献に参照する。

⑥ 結論部(Conclusion)において、提示したデータが非自明の根拠として十分であることを簡潔に整理して説明する。

3.具体例

具体的な宣誓供述書の例を下記に示します。(米国出願の中間処理において弊所が実際に提出したものに基づいていますが、固有名詞・用語・数値などは適宜変更してあります。)

[例1]この例は、新たな実験を行うのではなく、明細書の実施例のデータに基づく考察を行って、結論を述べているものです。

供述内容が長くなる場合や、実験証明書を別途添付したい場合には、下記の例のように詳細をExhibit No.(書証番号、日本での甲号証や乙号証に相当)を付した別紙に記載します。

この例では別紙のExhibit 1において実施例のデータに基づく考察を詳しく行い、上記「⑤ 具体的な供述内容」でその内容を要約して述べています。もちろん、新たな実験に基づく宣誓供述書の場合は、別紙のExhibitにおいてその新たな実験の詳細と結果を述べて、上記「⑤ 具体的な供述内容」でその内容を要約して述べます。

宣誓供述書で結論を含む概要を述べ、詳細は別紙のExhibitとすることのメリットとしては、特に供述内容が長かったり複雑である場合に、審査官に先ず宣誓供述書で供述内容の概要を把握させ、その後、別紙のExhibitに記載された詳細により供述内容の合理性を判断させることにより、供述内容を容易且つ確実に理解してもらえるということが挙げられます。

尚、宣誓者(署名する人)の人称ですが、以前は弊所の実務として"he"や"she"などの三人称を使用しておりましたが、米国の代理人より一人称の"I"を使用するようにとのアドバイスを受けて、現在はこれに従っています。

(明細書の実施例のデータに基づく宣誓供述書の書式の1例)

IN THE U.S. PATENT AND TRADEMARK OFFICE

Applicants: Ichiro SUZUKI et al.
Serial No.: XX/XXX,XXX
Filed: June 10 20XX
For: POLYETHYLENE TEREPHTHALATE RESIN
Art Unit: 4133
Examiner: Thomas More


DECLARATION UNDER 37 C.F.R. 1.132

I, the undersigned, Ichiro SUZUKI, a Japanese citizen, residing at xxxxx, Akasaka 1-Chome, Minatoku, Tokyo 107-0052 Japan, hereby declare and state that:
I took a master course at the Department of Applied Chemistry, School of Engineering, ABCDE University, and I was graduated therefrom in March 1990.[*博士号取得者の場合: I was graduated in 1985 from the Department of Applied Chemistry, Faculty of Engineering, ABCDE University, and took a doctor course in the Graduate School of Engineering, ABCDE University, majoring in applied chemistry, from which I was granted the degree of doctor in 1990.]
I entered FGHIJ Polymer Chemical Co., Ltd. in April 1990.
I have been engaged in the research and development of high performance polyester resins from April 1990 to date.
I am one of the applicants of the above-identified application and I am well familiar with the present case. I have read and understood the Office Action dated October 10, 2007 and the references cited therein.
I carried out Examples 1 to 25 and Comparative Examples 1 to 20 of the present application, and the results are as described on pages 160 to 220 of the specification of the present application.
I have made observations, with reference to Examples 1 and 2 and Comparative Examples 1, 4 and 9 of the present application, to show that both of the side reaction index (C) requirement (i.e., less than 0.055) of step (1) and the "molten state" requirement of step (2) of the method of claim 4 of the present application must be satisfied for producing the polyethylene terephthalate resin of the present invention which possesses all excellent properties recited in claim 1 of the present application. (Hereinafter, the former requirement is simply referrred to as "side reaction index (C) requirement", and the latter requirement is simply referred to as "molten state requirement".)  The method and results are as described in a paper attached hereto and marked "Exhibit 1".

From the results of Exhibit 1, it can be fairly concluded:
that, as shown in Table A in Exhibit 1, the process employed in each of Examples 1 and 2 satisfies all requirements of claim 4 of the present application, whereas:

each of Comparative Examples 1 and 4 employs a crude PET resin having a C value of 0.082 and, hence, do not satisfy the side reaction index (C) requirement, and 

Comparative Example 9 employs a solid-phase polymerization process and, hence, does not satisfy the molten state requirement

that the results of Examples 1 and 2 (i.e. the properties of the PET resins obtained) are excellent; specifically, the obtained PET resins possess all of the target properties recited in claim 1 of the present application (Table B in Exhibit 1);

that the results of Comparative Examples 1 and 4 are poor in that the PET resins obtained in Comparative Examples 1 and 4, respectively, exhibit cyclic polymer contents (% by weight) of 3.45 and 3.34, which exceed the upper limit (not greater than 3 % by weight) recited in claim 1 of the present application (Table B in Exhibit 1);

that the results of Comparative Example 9 are poor in that the obtained PET resin not only exhibits a molecular weight distribution (Mw/Mn) of 3, which exceeds the upper limit (from 2 to 2.7) recited in claim 1 of the present application, but also exhibits disadvantageously high crystallinity of 55 (which causes high brittleness)  (Table B in Exhibit 1);

that, thus, through a comparison between Examples 1 and 2 and Comparative Examples 1 and 4, it is clear that the polyethylene terephthalate resin of the present invention cannot be obtained when the crude PET resin used does not satisfy the side reaction index (C) requirement; in other words, the side reaction index (C) requirement is critical for producing the polyethylene terephthalate resin of the present invention which possesses all excellent properties recited in claim 1 of the present application;

that, further, through a comparison between Examples 1 and 2 and Comparative Example 9, it is clear that the polyethylene terephthalate resin of the present invention cannot be obtained by a solid-phase polymerization process that is a representative conventional process; in other words, the molten state requirement is also critical for producing the excellent polyethylene terephthalate resin of the present invention;

that Comparative Example 9 also shows that, even in the case where the requirements of step (1) of the method of claim 4 (including the side reaction index (C) requirement) are satisfied, the excellent PET resin of the present invention cannot be obtained when the molten state requirement is not satisfied;

that thus, it is apparent that the polyethylene terephthalate resin of the present invention which possesses all excellent properties recited in claim 1 of the present application can be obtained only when the process employed satisfies both of the side reaction index (C) requirement and the molten state requirement.

The undersigned petitioner declares that all statements made herein of his own knowledge are true and that all statements made on information and belief are believed to be true; and further that these statements were made with the knowledge that willful false statements and the like so made are punishable by fine or imprisonment, or both, under Section 1001 of Title 18 of the United States Code and that such willful false statements may jeopardize the validity of the application or any patent issuing thereon.

Date:

(宣誓者の署名) Ichiro SUZUKI

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Attorney/Recommendations

Patent Attorney

Name:  Junzo WATANABE

Registration No.:  11683 (registered in 2000)

Education:   

  Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering, Kumamoto University

  Department of Law, Faculty of Law, Chuo University

Recommendations

■1) Nobuatsu Watanabe [Title: Professor Emeritus of Kyoto University, Doctor of Engineering; Award: The Chemical Society Japan Award (1980), Purple Ribbon Medal (Shijuhosho) (1987), etc.]

Mr. Inoue, the Senior Partner, is my former student. He has both excellent linguistic ability and excellent expertise. The staff of Inoue & Associates are well-trained by Mr. Inoue, and the high quality services provided by Mr. Inoue and his staff are self-explanatory from the documents made by them. From my experience, I firmly believe that they will help you to promptly and surely acquire intellectual property rights, based on adequate judgment made by fully utilizing their professional skills in combination with their rich experience in pursuit of patent rights in many countries for many years.

■2) Hidefumi Hirai [Title: Professor Emeritus of The University of Tokyo, Doctor of Engineering; Award: The Chemical Society Japan Award (1984), etc.]

Mr. Inoue, the Senior Partner, and his staff are familiar with foreign patent laws and patent practices. Further, the quality of their services based on accurate understanding of technical background and excellent linguistic ability is prominent in this business. In addition, Mr. Inoue already has his appropriate successor and I, therefore, trust Inoue & Associates for their excellent procedures of filing patent applications through reliable prosecutions for grant of patents.

米国(3)

Q. 米国は、AIA(America Invents Act)により、2013年3月16日より先願主義に移行するとのことだが、米国への出願は、先願主義に移行してから行う方がよいのか?また、2013年3月16日よりも前に提出されたPCT出願を、この日よりも後に米国国内へ移行する場合、先願主義による扱いになるのか?

A. 2013年3月16日より前に出願できるのであれば、敢えて出願を遅らせることに特にメリットは無いと考えます。むしろ、先願主義に移行する前に出願した方が有利です。 2013年3月16日以前に、先発明主義下で出願するメリットとしては、以下のようなことが挙げられます:

・ 先発明主義下では、出願日より前の発明日まで遡ることが出来る可能性が有る。

・ 先発明主義下では、ヒルマードクトリン(Hilmer Doctrine)により、先行技術が制限される。

・ 先発明主義下では、広範な異議理由を認める付与後異議申立(Post-grant review)の対象とならない。

ヒルマードクトリンについては、こちらを、付与後異議申立(Post-grant review)については、こちらをご覧下さい。

また、優先権主張日などの最先の出願日が、2013年3月16日以前であれば、原則的に旧法(先発明主義)による扱いになりますが、一つでも2013年3月16日以後のクレームがあると、新法(先願主義)での扱いになってしまいます。従って、優先日が2013年3月16日以前のPCT国際出願を、2013年3月16日以後に米国国内移行する場合なども、当然、先発明での扱いになります。

Q. 2011年9月の法改正により、付与後異議申立(Post-grant Review)制度が導入されると聞いたが、これは欧州の異議申立て制度と同じようなものと考えてよいか?

A. 特許付与後の異議申立て期間が9ヶ月であることや、特許無効の理由として広範な理由が採用可能である点では欧州の異議申立て制度と類似しておりますが、以下のような相違点があります。

1. 異議決定を下す期限:
欧州においては、異議決定を下す期限は特に設けられておりませんが、米国の付与後異議申立ては、異議申立てから1年(最長で2年)以内に特許の有効性について決定を下すことになっています。

2. 異議申立て手続きを開始するか否かの審査
欧州においては方式的な要件が満たされていれば、異議申立て手続きが開始されますが、米国の付与後異議申立てにおいては、異議申立てを受けた後、米国特許庁が無効理由自体について審査し、以下の基準を満たしていると判断された場合にのみ異議申立て手続きを開始します。

(a) 異議申立て申請書が、特許の少なくとも1つのクレームが無効である可能性が有効である可能性よりも高いことを示していると認められる場合(the petition demonstrates that it is "more likely than not" that at least one claim of the challenged patent is unpatentable.)

(b) 他の特許や特許出願にも重要な影響を及ぼす新規又は未解決の法的問題を提起する場合 (the petition "raises a novel or unsettled legal question that is important to other patents or patent applications.")

また、米国特許庁が異議申立て手続きを開始するか否か審査している間に、特許権者は予備回答(クレームの削除や減縮などの補正も可)を提出することができ、米国特許庁は、異議申立を認めるか否かの決定(手続を開始するか否かの決定)を、特許権者の予備的回答後3ヶ月以内、又は予備回答が無い場合には異議申立て申請から3ヶ月以内に下します。

上記理由(b)(新規又は未解決の法的問題を提起する場合)については、欧州では異議申立て時の理由としては採用されませんが、審判部の決定が法律的な問題を含んでいる場合に、拡大審判部への控訴が認められることがあります。

3. 採用可能な異議理由
欧州においては、採用可能な異議理由は次の通りです:

- 新規性・進歩性の欠如。
- 実施可能要件違反(当業者が実施可能な程度に発明が記載されていない)。
- 特許が、出願当初の明細書に開示されていなかった主題を含む。

不明瞭性や単一性の欠如は異議理由としては採用されません。

これに対して、米国における付与後異議申立てにおいてはベストモード違反を除く広範な異議理由が採用可能になる予定です。

Q. 2011年9月の法改正により、ベストモードの開示欠如は特許無効の理由とならないことになったが、もうベストモードに関しては出願明細書に記載する必要ないということか?

A. ベストモード(最良実施態様要件)は、付与済み特許の無効理由とはならなくなりましたが、明細書の記載要件としては維持されます。通常、審査官はベストモード要件違反による拒絶を出すことはありませんので、ベストモードを開示しなくても実際には問題になることはないと考えられます。しかし、法律上要求された要件であることには変わりなく、開示しておくことが無難です。

Q. 米国において、用途限定がある特許の侵害教唆(inducement、間接侵害)を立証するためには何が必要か?

A. 特許権者が、侵害教唆を立証するためには、被告が、侵害を知りながら積極的に他者の直接侵害を教唆した(actively and knowingly aid[ed] and abet[ed] another's direct infringement)ということを証明する必要があります。他者の侵害を認知していたということだけでは不十分です。

用途限定がある特許の場合、被疑侵害品に侵害用途以外の用途がある場合には、侵害教唆を立証することは困難です。しかし、そのような場合でも、被告会社の一部の社員であっても、特許侵害を積極的に奨励するような行為(例えば、特許侵害に当たる技術を記載した書類の配布や顧客への直接的な特許侵害技術の指導)を行ったことが立証されれば(例えば、上記のような行為を行ったことが分かるe-mail通信なども証拠になる)、侵害教唆が成立します。

従って、用途限定がある特許の侵害教唆を立証するためには、被告会社社員が作成・配布しているマーケティング関連資料などを精査して、特許で規定した用途目的で被疑侵害品の販売を奨励するような記載などがないことを確認することが望ましいです。

Q. シーゲート(Seagate)判決において、米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)の大法廷は、一般的には、鑑定弁護士との交信およびそのワーク・プロダクトの秘匿特権放棄が、訴訟弁護士との交信およびそのワーク・プロダクトの秘匿特権放棄にまで波及することはないと判示した。このことを考慮に入れると、鑑定書と訴訟の代理は別の事務所に依頼すべきなのか?

A. シーゲート(Seagate)判決[In re Seagate, 497 F.3d 1360, 1372 (Fed. Cir. 2007) (en banc) ]において、米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)の大法廷は「弁護士鑑定防御を主張し鑑定弁護士の見解を開示することが、訴訟弁護士との交信に関する弁護士・依頼人秘匿権の放棄をももたらすことにはならない」と判示していいます。これに関して、CAFCは、鑑定弁護士と訴訟弁護士が常に別々に独立して作業しているということを前提としています。このことから、CAFCは、鑑定弁護士と訴訟弁護士を明らかに区別しており、鑑定弁護士と訴訟弁護士が同じ事務所のメンバーであっても、それぞれが常に別々に独立して作業していれば、問題ないはずです。尤も、鑑定書と訴訟の代理は別の事務所に依頼したほうが、より安全であるとは言えます。

尚、2011年の法改正(America Invents Act)においては、Seagate事件における判示の一部を成文法化し、故意侵害及び侵害教唆対策としての鑑定書の入手・提出を不要にしました。即ち、2011年の改正法の§298において、鑑定書を入手しなかったことや裁判所に提示しなかったことを、故意侵害(willful infringement)の認定や、侵害教唆(inducement of infringement)の意思の認定に使用できないと規定されました(2012年9月16日以降に発行された特許に対して適用)。

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