純度

欧州(2)

Q. 口頭審理(Oral Proceedings)には誰が出席できて、誰が発言することができるのか?

A. 前もってEPOに知らせておけば基本的には誰でも出席することは出来ますが、発言を許される人は制限されます。例えば、出願人企業の知的財産部の方なども出席できますが、確実に発言権を確保するためには事前に技術の専門家(Technical Expert)であることをEPOに通知しておくことが望ましいです。

実際には、それほど厳密に管理はされていないようで、弊所の所員が発言権を確保せずに出席した際にも、その場で発明者の通訳や簡単なコメントを致しましたが、特に咎められるようなことはありませんでした。しかし、確実に発言権を確保するためには事前に申請しておくことをお勧めいたします。

 

Q. 口頭審理において、パソコンなどを利用したプレゼンテーションは可能か?

A. 審査官や審判官の指示に従って、ノートパソコンやその他の電子器機、若しくはコンピュータを利用したスライドショーなどを使用することが許されます(審査ガイドラインE-II,8.2.1,8.5.1

 

Q. 欧州特許に対する異議申立てに関して、異議決定(特許維持)に対する不服審判請求を行う際に、異議段階で提出可能であったにもかかわらず提出しなかった特許性に重要な影響を与える新たな証拠を、審判請求時に初めて提出した場合、審判部はそのような証拠を考慮してくれるのか?

A. 証拠の重要度にもよりますが、異議段階で相手に考慮させなかったのがアンフェアとみなされると、一審(異議段階)に差し戻される可能性が有ります(T 611/00)。しかし、指定された提出期間内に提出された証拠であれば、審判部が全くこれを考慮せずに(また一審に差し戻すこともせずに)決定を出すようなことは無いと予想されます。

Q. 自社の欧州特許に対して異議申立てを受け、相手に先使用(public prior use)の証拠を提出された。先使用技術に対しては、新規性のみを有していれば良いのか?それとも進歩性も有する必要があるのか?

A. 先使用が証明された場合、先使用技術に対して新規性のみならず、進歩性も立証する必要があります[T 1464/05(先使用物がclosest prior artと見なされた)]。

Q. 欧州において、公知物質の純度を向上させただけで特許性が認められることはあるか?

A. 多くの場合、公知物質の純度を向上させただけでは新規性が認められません。
例えば、判例T990/96には、低分子量の化合物の発明に関して、以下のように述べられております。

- 化学反応によって得られる化合物は何らかの不純物を含んでいることは常識であり、化合物を精製することも通常行われていることに過ぎない。

- 低分子量反応生成物の精製に従来使用されている方法を採用することは、当業者の常識の範囲内である。

- 従って、一般的に、低分子化合物自体とその製造方法が公知であったならば、あらゆる純度のものが公知であったと見なす。

但し、例外もあります。例えば、従来の精製方法では、特定の純度が達成出来なかった場合などには新規性が認められる可能性があります。

また、勿論、特定の濃度が先行技術に明示的に記載されていないことが前提になりますが、特定の濃度に技術的意義を見出したような場合にも新規性が認められることがあります。

例えば、判例T142/06においては、ポリマーの塩素濃度を特定のものに限定したことにより、新規性が認められております。この判例は、T990/96に基づきながらも、以下の理由で新規性を認めております。

- クレームされた特定の塩素濃度については、単に純度を上げたということではなく、"oxygen barrier properties"及び "boil blushing properties"などの物性に優れるフィルムを得るという目的のために選択された値である。

- 更に、従来、関連技術分野において、クレームされた特定の純度が望ましいと考えられていたということを示す先行技術文献が存在しない。

以上のように、T142/06は、新規性の判断に関するものでありながら、課題の新規性や意外性などの進歩性の要件ともいえるものを要求しておりますが、ここで参照されている判例T990/96が、元々、公知化合物の純度については「従来知られていなくても新規性なし」という一種の矛盾を含んでいるもので、このような理屈を採用しているものと考えます。換言すれば、これらの判例はいずれも選択発明の審査基準に沿って判断されたものと思料いたします。EPOにおける選択発明の新規性判断基準において、以前は「選択された範囲に発明としての効果が有ること」も要求されておりました。現在は、この要件は進歩性判断の基準へ移されてしまいましたが、判例T142/06の当時は、この要件も新規性判断に含まれていたはずです。

また、判例T 786/00では、特定純度の有機化合物である出発物質(starting materials)の使用が必須要件になっている、優れた耐熱水性を有する重合体の製造方法の発明について、「判例T 990/96における純度についての一般原則は出発物質には当てはまらない」旨の判断を述べています。その理由は、該方法の発明では、優れた耐熱水性を有する重合体を得るという目的を達成するために、特定純度の出発物質の使用が必要なのであり、純度そのものが発明の最終的な目的や発明の対象となる物の特徴ではないからです。参考までに、判例T 786/00の要所の原文を下記に引用します。

"In contrast to T 990/96, the present case relates to a process for the manufacture of polymers having specific properties (i.e. resistance to boiling water) characterised by the use of organic compounds having a required purity as starting components, i.e. the purity level of the starting components is therefore an essential technical feature of the process, which can only be carried out in the required range of purity but not in all available grades of purity of the starting materials." "Consequently, the general statements in T 990/96 concerning the purity of final products cannot be applied directly to starting materials or, hence, to the present case."

Q. 欧州におけるAuxiliary Requestとは?

A. 欧州特許出願に関する審査、許可後の異議申立て、審判などの手続きにおいて、出願人や特許権者は、複数セットのクレームを提出し、それをEPO(審査部、異議部又は審判部)に検討させることができます。

より具体的には、第一希望のクレームセットを“Main Request”(主請求)として提出し、第二希望以降のクレームセットを“Auxiliary Request”(副請求)として提出することができます。

Main Requestとしては、1セットのクレームしか提出することができませんが、Auxiliary Requestは複数提出することができます。Auxiliary Requestを複数提出する場合には、Auxiliary Request 1, Auxiliary Request 2.....の様に番号付けし、EPOは番号の若い方から優先的に検討します。

Auxiliary Requestを提出するデメリットとしては、Main Requestよりも請求範囲の狭いAuxiliary Requestを提出する場合、Auxiliary Requestの方が、特許性が明確であることが多いでしょうから、EPOによるMain Requestの検討が疎かになる可能性を否定できないということが挙げられます。

ですので、広い権利範囲を追求するよりも早期に権利化したい場合や、口頭審理の直前のように後が無いような状況で、Auxiliary Requestを提出することが多いです。

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