相談下

米国(7): 費用(米国代理人事務所の選別の観点から)

円高により、米国出願関連の経費が安くなったことを実感します。但し、2011年9月の法改正により、米国特許庁に支払う政府料金は、15%値上げされました。この15%というのは、日本からの出願に関する限り、ちょうど近年の円高による差益を帳消しするような値上げ幅です。米国代理人からの請求は、政府料金+米国代理人の手数料ですので、米国代理人からの請求額が総じて15%増しになるわけではありませんが、円高による割安感は若干減じます。

米国出願に際して注意すべきなのは、米国特許事務所によって代理人費用が大きく異なることです。どこの国でもそうですが、米国の場合は特に差が大きいので注意が必要です。一般に米国の特許事務所には、主に出願を扱う「出願系」の特許事務所と主に訴訟を扱う「訴訟系」の特許事務所に大別できます。勿論、「訴訟系」の事務所に出願してもらうこともできますが、「訴訟系」の事務所は総じて費用が高いです。また同じ事務所であっても、担当者によって費用が大きく異なることがあります。

出願時における費用はそれ程でもないと思いますが、審査通知に対する対応など米国代理人による検討を要する作業になると、費用の差が顕著になります。米国のある「訴訟系」の事務所に出願を担当させ、審査通知に対する回答書の作成・提出をさせたら500万円を超える請求が来て驚いたというような話も聞いたことがあります。(弊所でしたら、ほぼ現地特許庁にそのまま提出できる英文の回答書案を現地に送付しますので、米国代理人のアドバイスを仰いだような場合でも米国特許事務所の費用はせいぜい50万円程度です(通常は10~30万円程度)。)

「もし米国で特許訴訟になってしまったら・・・」という懸念から出願時から訴訟系の特許事務所を採用しているという方もいるかも知れません。しかし、訴訟の対象となる特許はごく僅かであり、またもし訴訟になったら訴訟に強い特許事務所に案件を移せばよいだけの話であって、訴訟の懸念から出願も訴訟系の特許事務所に依頼するというのは無駄であるように思います。

出願を担当したアトーニーがそのまま訴訟も担当すれば、その特定の件に明るくてよいはずとお考えになるかも知れませんが、出願系の特許事務所でも、殆どの場合、出願を担当するアトーニーと訴訟を担当するアトーニーは異なります。むしろ、案件を第三者的な観点から見ることができるということが新たな観点からの議論に結びつくということもよくあることです。従いまして、出願時は、あくまで出願系の事務所に依頼するのが賢明であると考えます。例えば、こちらに出願件数が多い米国特許事務所のランキングがあります。
http://www.iptoday.com/issues/2011/03/top-patent-firms.asp)米国代理人事務所決定の際の一つの目安にはなると思います。

当ホームページに、弊所と提携している米国代理人事務所の概算の費用も併せて示してありますのでご参考下さい。また、もし現在使用している米国代理人について「ちょっと費用が高すぎるんじゃないか?」などとお考えの際は是非ご相談下さい。

欧州(7): 異議申立手続き

欧州特許出願が許可になった後、第三者は特許異議申立(Opposition)をすることが可能です。

この異議申立手続きの結論は、”特許取消し”か”特許維持”か(revocation or maintenance of the European patent)ということになります。統計的には、異議申立を受けた件の約1/3が特許取り消しになっております。

この異議申立手続きで特許取消しとなった場合、当然、EPC経由での加盟国への登録は出来ません。

また、欧州特許庁(EPO)での異議申立手続きにおいて特許維持との結論を得ても、登録先の国で特許無効訴訟を提起されることがあり得ます。そのような場合は、各国の国内法に従い、特許の有効・無効が争われ、EPOの異議決定とは矛盾する結論となることもあり得ます。

日本にもかつては異議申立制度が存在しましたが、2003年に廃止されてしまいました。

現在、日本や米国にも第三者が特許の無効を訴える制度はあります。[*日本では特許無効審判、米国では当事者系(Inter partes)再審査制度がある。米国では、2013年より、欧州の異議申立制度に近い付与後異議申立制度を導入する予定。] 日本や米国においては、少なくとも特許の存続期間中であればいつでも特許無効を訴えることができますが、欧州特許に対する異議申立てには「欧州特許を付与する旨の公告後9月以内」という期限が設定されております。この期限が過ぎてしまうと、欧州特許が登録された各指定国において個別に無効訴訟などを起こさなければならなくなるので、多くの企業はライバル会社の欧州特許出願で特許成立すると障害となる恐れがあるものについては、経緯を監視して、欧州特許庁に許可されたら異議を申立てるということをしております。

特許異議申立期間

欧州特許掲載公報発行の日から9ヶ月の異議申立期間内に異議申立書(申請書のみならず異議理由も含む)を提出し、異議申立手数料[745ユーロ(10万円弱)]を納付します。

特許異議申立申請の有資格者

特許権者以外の誰でも異議申立をすることができ、対象の特許との利害関係などを明らかにする必要はありません。異議申立人が、企業名等を伏せるために、ダミー(Straw man)名義での異議申立することも可能です。

特許異議申立理由

以下の理由に基づいて、異議申立することができます。

- 特許性(新規性、進歩性、主題適格性、産業上の利用可能性)の欠如。

- 実施可能要件違反(当業者が実施可能な程度に発明が記載されていない)。

- 特許が、出願当初の明細書に開示されていなかった主題を含む(新規事項の導入)。

不明瞭性や単一性の欠如は異議理由としては採用されません。

異議部(Opposition Division)の構成

通常、EPO異議部は、3人の審査官で構成される合議体であり、この内2人は、審査に関与していなかったことが要求されます。そして、この審査に関与しなかった2人の審査官の内の一方が議長(Chairman)を務めます。

異議手続きの流れ

多くの場合、当事者により口頭審理が請求されますので、口頭審理が請求された場合の典型的な手続きの流れを示します。

1. 異議申立書を特許権者に通知

2. 異議申立ての方式審査(修正可能な方式上の不備が有る場合には、異議申立人は修正を促され、修正不能な方式上の不備が有る場合には、異議申立ては却下される)

3. 異議申立に対する特許権者の答弁書の提出期限(通常、4ヶ月)を知らせる通知

4. 特許権者の答弁書提出(提出しなくても、そのことにより直ちに特許取消しにはならない)

5. その後、通常、何度か異議申立人と特許権者による提出物の応酬があり、異議部が適切と判断した時期に口頭審理の召喚状を当事者に送付(多くの場合、異議部の予備見解が添付される。また、口頭審理前の書面提出の期限(通常、口頭審理の2ヶ月前)が設定される)

6. 特許権者及び/又は異議申立人による、口頭審理前の準備書面提出

7. 口頭審理が行われ、その場で異議決定の言い渡し

8. 口頭審理の1~2ヶ月後に書面での異議決定送付

Main Request(主請求)とAuxiliary Request(副請求)

特許権者は、複数セットのクレームを提出し、それをEPOに検討させることができます。

より具体的には、第一希望のクレームセットを"Main Request"(主請求)として提出し、第二希望以降のクレームセットを"Auxiliary Request"(副請求)として提出することができます。

Main Requestとしては、1セットのクレームしか提出することができませんが、Auxiliary Requestは複数提出することができます。Auxiliary Requestを複数提出する場合には、Auxiliary Request 1, Auxiliary Request 2.....の様に番号付けし、EPOは番号の若い方から優先的に検討します。

上記した通り、補正による新規事項も異議理由になりますので、補正が新規事項を導入するものであると判断されると、それが理由で特許取消しになってしまいますので、補正には注意が必要です。

また、異議理由に無関係な補正を行うと、例えそれが従属クレームに関するものであっても、補正全体が却下される可能性があります(Rule 80 EPC)。

口頭審理(Oral Proceedings)

口頭審理の請求

異議申立手続きでは、通常、当事者の一方又は両方が口頭審理(Oral Proceedings)を要求します。

口頭審理の召喚状(Summons)と異議部の予備見解

通常、異議申立から1.5年~3年位に口頭審理への召喚状を受けます。そして、この召喚状には、異議部の予備的見解が添付されていることが有ります。

通常、口頭審理の前に期限を切って(通常は口頭審理の2ヶ月前)、新たな書面(証拠、議論、補正クレーム(主請求、副請求)など)の提出を認めています。

その日以後の提出物に関しては、所謂”late-file”とみなされ、EPOはこれを考慮する義務を有しませんが、証拠の関連性などによっては考慮される場合が有ります。

口頭審理の実施

所用時間: EPOにおいて、通常は終日行われますが、簡単な案件は、半日で終わることもあります。また、逆に異議申立人が複数の場合など、数日にわたって行われることもあります。

出席者: 口頭審理には、前もってEPOに知らせておけば、基本的には誰でも出席することは出来ますが、発言を許される人は制限されます。例えば、出願人企業の知的財産部の方なども出席できますが、確実に発言権を確保するためには事前に技術の専門家(Technical Expert)であることをEPOに通知しておくことが望ましいです。

言語: 口頭審理は原則的に特許明細書が作成された言語で行われますますが、要請があればそれ以外の公用語への同時通訳が許されます。

補正: 口頭審理中に、補正の機会が与えられることがあります。多くの場合、口頭審理中に休憩時間が設けられ、この休憩時間中に、代理人が特許権者と相談しながら補正クレームを作成するということがよく行われます。

異議決定: 異議決定は、殆どの場合、口頭審理の最後に言い渡され、書面での決定書は通常1~2ヶ月後に送達されます。

審判(Appeal)

異議部の決定に不服の当事者は、審判請求書を決定通知の日から2ヶ月以内、審判理由補充書を書面による決定書通知の日から4ヶ月以内に提出できます。これらの期間は延長不可です。

 

尚、井上&アソシエイツは、欧州の異議申立て手続きに関しては、受ける方も攻撃する方も経験豊富です。これまでに数多くの異議申立て事件に携わり、理由書、答弁書、弁駁書などを作成して参りました。通常、欧州代理人は、弊所で作成した原稿をほぼそのまま採用して提出します。そして、守る方、攻撃する方のいずれも好成績を収めております。お客様から具体的な指示を頂かずに、基本的な方針決定から具体的な証拠準備も含めて弊所で全て行ってしまうというようなことも屡々です。欧州での異議申立て手続の対応に苦慮されているというようなことがございましたら、是非、経験と実績が豊富な井上&アソシエイツにご相談下さい。

タグ:

特許  米国  出願  クレーム  発明  日本  欧州  補正  新規性  記載  提出  必要  EPO  進歩性  明細書  上記  以下  審査  or  patent  判断  可能  弊所  EPC  手続  出願人  特許出願  欧州特許  利用  審査官  開示  申請  作成  異議申立  要求  対象  an  対応  期限  可能性  請求  要件  制度  出来  検討  制限  特許庁  指定国  通常  考慮  理由  延長  具体的  存在  手数料  時期  月以内  無効  期間  EP  各国  at  技術  加盟国  第三者  登録  Request  特許性  art  当業者  採用  事件  注意  実施  最後  補充  指定  Appeal  証拠  当事者系  有効  口頭審理  導入  現在  通知  再審査  欧州特許庁  特許権者  許可  file  複数  言語  関連  発行  決定  代理人  Inter  井上  異議  付与後異議申立  答弁書  知的財産  所謂  訴訟  客様  特許権  以外  基本的  European  案件  違反  経由  parte  Auxiliary  アソシエイツ  当然  同時  審判請求  維持  原則的  議論  主題  事項  構成  見解  時間  予定  単一性  提起  国内  用語  専門家  partes  欧州特許出願  程度  審判  Rule  経験  修正  欠如  機会  何度  実施可能要件  書面  新規事項  両方  加盟  義務  従属  異議申  送付  re  特許明細書  成立  簡単  確実  適切  会社  異議申立人  異議決定  付与後異議  特許無効  確保  関係  Main  優先  無効審判  希望  特許取消  特許成立  Technical  Ex  企業  当事者  異議部  指示  典型的  無効訴訟  不明  Proceedings  個別  申請書  異議理由  取消  不備  申立  ユーロ  添付  異議申立手続  提出期限  関与  事前  相談  矛盾  不可  存続期間  準備  数多  main  実施可能  期間内  原則  掲載  Oral  結論  番号  全体  主請求  是非  攻撃  廃止  副請求  実績  特許取  進歩  per  出席  セット  クレームセット  豊富  却下  方式上  当初  審判理由補充書  関連性  召喚状  異議申立制度  経緯  各指定国  代理  以内  審理  優先的  付与後異議申立制度  公用  単一  利用可能性  原稿  方式審査  複数提出  日以後  part  産業上  特許維持  発言権  発言  公用語  万円弱  以降  予備見解  経験豊富  異議申立書  特許権者以外  付与後  付与  第一希望  第二希望以降  相談下  理由書  納付  Division  要請  要件違反  Opposition  revocation  late  口頭審理前  maintenance  方針  提出物  月前  利用可能  送達  新規  実施可能要件違反  弁駁書  審判理由補充  障害  審判請求書  知的財産部  予備的見解  以後  口頭審理中  不明瞭  不明瞭性  答弁書提出  公報  再審査制度  出願人企業  出願当初  特許無効審判  理由補充書  無関係  異議申立期間  利害関係  番号付  異議手続  明細  国内法  設定  統計  統計的  有資格者  Re  man  mm  ed  Expert 

リンク集

各国特許庁

サーチ関連(国内)

サーチ関連(海外)

知的財産権に関する条文(日本)

知的財産権に関する条文(外国)

その他

相互リンク

その他相互リンク

 かんたん相互リンクに参加しています。

タグ:

特許  米国  PCT  中国  出願  発明  日本  欧州  EPO  米国特許  翻訳  審査  or  patent  商標  可能  手続  意匠  特許出願  欧州特許  USPTO  データ  作成  Japan  実用新案  方法  an  説明  Patent  制度  特許庁  外国  not  情報  特許審査  Office  action  EP  各国  at  ヨーロッパ  art  rce  特許法  調査  提供  アメリカ  特許事務所  情報提供  search  office  判決  概要  MPEP  状況  epc  欧州特許庁  詳細  epo  判例  関連  日本特許庁  www  ガイドライン  種類  Inter  II  英文  サーチ  pace  IP  知的財産  インド  事務所  European  中国特許  we  海外  method  under  III  確認  law  医薬  We  国内  保護  go  独立  欧州特許出願  米国特許法  patents  タイ  経験  特許翻訳  条約  so  jpo  ex  米国特許商標庁  知識  弁理士  practice  サイト  re  ライン  知的財産権  オーストラリア  会社  legal  Design  カナダ  無料  uspto  htm  関係  経過  ページ  first  翻訳会社  United  データベース  ホームページ  Search  cgi  ii  WIPO  do  個別  裁判所  States  模倣  index  data  inoue  ep  Intellectual  european  パテント  リンク  相談  世界  structure  Property  検索  Department  main  対策  article  和文  条文  相互  日本特許  per  html  am  sea  its  太陽  ベース  参加  価格  ku  出願手続  gov  長年  気軽  iii  紹介  url  link  tokkyo  センター  web  商標法  Patents  ratio  著作権  mpep  裁判  act  part  lines  意匠法  所有  事務  中国国家知識産権局  便利  courts  社団法人  先進国  経過情報  相談下  IPC  China  Trademark  Trade  ウェブ  デザイン  Organization  各国特許庁  収集  up  国際  特許出願手続  texts  hanrei  特許公報  利便性  大学作成  大学  運営  審査状況  審査経過  電子  医薬翻訳  知的財産権判決速報  世界知的所有権機関  中国商標  機関  公報  特許庁特許電子図書館  特許商標庁  共同  コーネル  シンガポール  エンジン  特許意匠商標庁  日本国  リン  ノウハウ  oa  Singapore  State  Re  offices  low  World  mm  ml  Web  Unit  Korea  quick  recent  JAPAN  red  pc  Ministry  fr  fips  ed  find  ip  try  AIPPI  Commerce  sonota  Australia  structured  DE  shiryou  General 


お問い合わせ

Share | rss
ホームページ制作