留意

欧州(9): 早期審査・審査促進(特許審査ハイウェイ(PPH)等)

欧州出願について、早期審査を受けるための手続きとして、PACE (Program for accelerated prosecution of European patent applications)があります。また、欧州特許庁と相互の特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway, PPH)利用について合意している国における出願が欧州出願よりも先に許可になった場合には、その情報に基づいてPPHを利用することにより早期審査を受けることが出来ます。

以下、PACEとPPHの要件について簡潔に説明し、最後に両手続きを比較します。

PACE (Program for accelerated prosecution of European patent applications)

EPOのPACEプログラムでは、EPC出願に対するサーチ(先行技術調査)と審査手続のいずれか又は両方を促進することができます。

PACEは、EPO手数料は不要で、単に申請するだけで利用できます(要するに、早期審査を希望する理由の説明などは不要です)。

また、申請する時期についても特に制限は無く、例えば既にEPOから1回以上の審査通知を受けた後でも申請する事ができます。

PACEプログラムの利用を認めるか否かはEPOの自由裁量で決定され、EPO審査部の作業負荷上の問題がなければ、PACEプログラム利用が認められます。

弊所で、これまでにPACEプログラムの利用申請をした件で、申請が却下されたことは無く、また実際に申請後速やかに審査通知が発行されました。利用者が増加すれば、料金を含めた運用が変更される可能性がありますが、現時点では利用者は全出願の1割に満たないという状況であり、そのため無料且つほぼ無条件で利用が認められるという状態でも充分な審査促進効果が達成されているということのようです。尚、利用者が少ない理由については、手続きや効果に問題があるということではなく、欧州特許に関しては、むしろ出願人が早い審査を望まないケースの方が多いからであると言われています。

サーチ(調査)段階におけるPACE

優先権主張していないEP出願の場合、PACEの申請を行わずとも、通常、原則的に出願日から約6ヶ月以内にサーチレポートが発行されます。

優先権主張したEP出願の場合には、PACEの申請により、EPOは可及的速やかにサーチレポートを発行することになっています。

審査段階におけるPACE

審査請求が適正になされていれば、基本的にいつでもPACEによる早期審査を請求することができます。

EPOは、PACE申請受理後、3ヶ月以内に最初の審査報告書を発行するよう努めます。但し、審査通知に対して応答期間の延長を行わずに応答することが要求され、もし延長してしまうと、通常審査に戻されてしまいます。

特許審査ハイウェイ(PPH)

2010年1月29日から開始されていた日本国特許庁(JPO)-欧州特許庁(EPO)間の特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムは2012年1月28日に一旦終了しましたが、要件を改定した上で、PPH施行プログラムが継続されます。この施行期間は、2012年1月29日から2014年1月28日までの2年間です。

また、以下の説明は、JPO-EPO間のPPH施行プログラムに関してですが、日本出願に基づく優先権を主張して(場合によってはPCT経由で)、米国と欧州の両方に出願した場合、米国の方が先に特許になるということが多いと思います。そのような場合、米国特許庁(USPTO)-EPO間のPPH施行プログラムを利用することも出来ます。

但し、日本や米国でクレームを補正して許可になった場合には、欧州では補正の許容条件が厳しいことに留意が必要です。PPHを利用する場合でも、他国で認められた補正が、無条件で欧州でも認められるわけではありません。あくまで、補正が欧州の規則に違反していないことが必要です。

特に米国での審査結果を利用する米国特許庁(USPTO)-EPO間のPPH施行プログラムの場合、比較的補正に寛容な米国で許容された補正が、欧州では認められないということも十分に考えられます。例えば、数値範囲は、米国であれば基本的に明細書の記載されている数値(実施例における特定の数値を含む)を適宜選択してクレームにおける数値範囲の上限と下限とすることが認められますが、欧州では明確に記載されている数値範囲のみにしか補正することが出来ません。また、米国では図面を根拠とした補正にも比較的寛容ですが、欧州では、図面にしか根拠が無い補正は認められない傾向があります。

1. PPHの概要

PPHとは、他国の審査結果又はPCTの調査成果に基づいて審査促進(早期審査)をするものです。これに関して、PPHを利用すると、日本で特許査定になったら、その結果をもって直ちに米国でも特許が取得出来るとお考えの方が多いようですが、そうではありません。あくまで日本の審査結果を利用して審査促進するというものです。結果的に、特許成立する確率は高いですが、例えば欧州特許庁(EPO)は、他国の審査結果に従うことを要求されたり推奨されたりするものではありません。

2. 日本国特許庁の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ(PPH)の適用をうけるための条件

PPHの適用をうけるための条件を簡単に纏めますと以下の通りです。

1) 日本出願と欧州出願の対応関係について:

 PPHの適用が可能な日本出願と欧州出願の対応関係は大きく分けて以下の3通りになります。

 - 欧州出願と日本出願のどちらかが他方の優先権出願である(欧州出願又は日本出願がPCT経由の出願である場合を含む)。

 - 欧州、日本以外の第三国における出願が、欧州出願と日本出願の共通の優先権出願である(欧州出願又は欧州出願と日本出願の両方がPCT経由の出願である場合を含む)。

 - 欧州出願と日本出願とが、共通のPCT出願から派生したものである(ここでPCT出願は、優先権主張していないものも含む)。

また、PCT経由の欧州出願で、国際調査機関(JPO又はEPO)又は国際予備審査機関(JPO又はEPO)が、PCT出願の請求項の特許性に関して肯定的な見解を示した場合には、それに基づいてPPH(PCT-PPH試行プログラム)を申請することも可能です(PCT-PPH:三極特許庁間におけるPCT成果物に基づく特許審査ハイウェイ試行プログラム)。こちらも、当初、2012年1月28日で終了の予定でしたが、要件を修正し、PCT-PPHの期限を2014年1月28日まで延長されることになりました。より具体的には、PCT出願における少なくとも一つの請求項が新規性、進歩性、そして産業上の利用可能性を有することを示す、国際調査機関(JPO又はEPO)又は国際予備審査機関(JPO又はEPO)の見解書若しくは国際予備審査機関(JPO又はEPO)の国際予備審査報告に基づいてPPHを申請することが可能です。詳細につきましては、日本特許庁のホームページに提供されている以下の資料をご参考下さい:

http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/pph_pct/pdf/pct/pct_epo_apply_japanese.pdf

2) JPOによる特許性判断:

日本出願の少なくとも一つの請求項が、JPOによって特許可能と判断されていなければなりません。

3) 日本出願の請求項と欧州出願の請求項の対応関係:

PPHに基づく審査を申請する欧州出願のすべての請求項が、対応する日本出願の特許可能と判断された一又は複数の請求項と十分に対応しているか、十分に対応するように補正されていることが必要です。尚、欧州該出願の請求項の範囲が日本出願の請求項の範囲より狭い場合も、請求項は「十分に対応」するとみなされます。

4) PPH申請可能な時期:

PPHに基づく審査を申請する欧州出願は、EPOによる審査が開始されていない必要があります。

3. PPH申請時に提出する書類

PPHの申請書と共にJPOによる審査に関する以下の書類を提出する必要があります。

1) 日本で許可になったクレームと欧州出願のクレームの対応関係に関する宣誓書(Declaration)、

2) 日本特許庁が発行した全ての審査通知の写とその翻訳文(欧州特許庁公用語である英語、フランス語又はドイツ語のいずれか)、

3) 許可になった請求項及びその翻訳文、及び

4) 日本特許庁に引用された非特許文献全ての写

PPHの申請が認められると、上記のPACEプログラムに従って処理されます。

PACEとPPHとの比較

日本や米国で既に特許成立している場合に、PACEとPPHのどちらを選択すべきかは、一概には言えず、状況に応じて判断されることとなります。

手間と費用

PACEもPPHも、EPO手数料は不要です。しかし、PACEは単に簡単な申請書類を提出するだけであるのに対して、PPHは、他国の審査結果に関する種々の資料等の提出が必要になるため、代理人手数料が高くなります。どの程度高くなるかは、資料のボリューム次第です。

従って、手間と費用の観点からは、PACEの方が有利であると言えます。

早期権利化

PPHも結局、申請が認められればPACEプログラムに従って処理されるため、最初の審査通知が出るまでの期間は、PPHでもPACEでも大きな差はないと思われます。

PPHの利用は、日本や米国で、出願人の所望の権利範囲で特許許可されたということが前提になると思いますが、PPHは、他国の審査結果に関する資料が提供されるため、審査手続きの迅速化の効果は期待できます。

特に、かなり近い技術を開示した先行技術文献があり、日本や米国において、その先行技術との違いを明確にする為に補正を行い、更に効果の違いを明確にする為に実験データを補完して許可を得たというような場合には、PPHによる早期権利化が達成される可能性は高いと考えられます。

但し、上記したように欧州は補正の制限が厳しいため、日本や米国において補正クレームで許可されたような場合に、その補正が欧州で許容されるようなものでないならばPACEを選択する方が賢明ということになります。

また、例えばEPOのサーチレポートで、カテゴリーXの文献(単独で新規性の障害となる文献)が引かれているのに、日本では、そのような文献が考慮されずに特許許可されたような場合には、EPOの審査官は、日本の審査結果はあまり参考にしないでしょうから、余計な費用をかけてPPHを利用するよりも、PACEを利用するほうが賢明であると言えるでしょう。

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「後知恵」(hind-sight)による拒絶に対処しやすい明細書作成について

審査基準における「後知恵」

現在の日本の審査基準には「後知恵」の防止に関する規定は存在していません。しかし、1993年に審査基準に導入されて以来、2000年の改訂前までの審査基準には「その他の留意事項」として「後知恵」の防止規定が存在しました。2000年の改訂で削除されたその規定は以下の通りです:

「本願の明細書から得た知識を前提として事後的に分析すると、当業者が容易に想到できたように見える傾向があるので注意を要する。例えば、原因の解明に基づく発明であって、いったん原因が解明されれば解決が容易な発明の進歩性を分析するときは、原因の解明も含めて技術水準に基づいて検討する。解決手段を考えることが当業者にとって容易であるという理由だけでは進歩性を否定することができない。」)

一方、米国の審査基準(MPEP)(MANUAL OF PATENT EXAMINING PROCEDURE)では、「2142: Legal Concept of Prima Facie Obviousness [R-6]」に「However, impermissible hindsight must be avoided and the legal conclusion must be reached on the basis of the facts gleaned from the prior art.」(...許容できない後知恵は防止しなければならず、法律的結論は先行技術から収集した事実に基づいて下さなければならない)と記載され、「後知恵」の防止に関する規定が存在します。

なお、米国の審査基準では、「後知恵」を防止する観点から、prima facie obviousness(一応の自明性)が成立する要件には以下の2項目が含まれています:
(1)TSMテスト(teaching, suggestion, or motivation test)(「2143.01: Suggestion or Motivation To Modify the References [R-6]」などを参照)と
(2)reasonable expectation of success(成功するという合理的な期待)(「2143.02: Reasonable Expectation of Success Is Required [R-6]」などを参照)。

また、EPOの審査基準(Guidelines for Examination in the EPO)では、「C_IV_11.9.2: "ex post facto" analysis; surprising technical advantage」と「C_IV_11.7.3: Could-would approach」に「事後分析("ex post facto" analysis)」(後知恵)の防止に関する規定が存在します。〕

「後知恵」に関する考察

上記のような一種の「戒め」の存在からも分かる通り、国を問わず、特許庁の審査官にとって最大のタブーの一つが、いわゆる「後知恵」(hindsight)に基づく拒絶を出してしまうことです。

「後知恵」は、進歩性(非自明性)の判断において問題になることが多く、「後知恵」による進歩性欠如の拒絶の説明で、しばしば引き合いに出されるのが有名な「コロンブスの卵」です。要するに、以前には誰にも成されていなかった発明に対して、最初に発明したことの価値を無視して、後から結果が容易に見えることのみに基づいて評価してしまうのが、「後知恵」による拒絶です。

しかし、考えてみれば、審査官が審査に先立って先行技術文献をサーチする際には、当然に本発明の内容を頭に入れてそれを基準にしてサーチするわけですのですので、そこには必然的に「後知恵」のバイアスがかかります。そして、そのようにしてサーチしてきた先行技術文献に対する発明の特許性を評価する段に至っては、その「後知恵」に基づく色眼鏡を外して、サーチを行った審査官自身にとってではなく、発明がなされた当時の「当業者」にとって発明が容易であったということを、充分な根拠をもって「理論付け」することが出来るか否かを検討します。

一般人には、この「色眼鏡」を外すことが難しいのですが、特許庁の審査官は必ず「色眼鏡」を外して発明と先行技術の関係を評価することが要求されます。

そして、その「理論付け」の根拠が一応、一見して充分なものであれば、「後知恵」はないことになり、もしもその「理論付け」の根拠が全く無い若しくは明らかに不充分であれば「後知恵」による拒絶ということになります(ただし、欧米・日本・韓国などの先進国では後者の状況は通常はごく稀にしか生じません)。

しかし、実際は、「理論付け」が充分かどうか自体についての純粋に客観的な判断基準はないわけですので、多くの場合の、ある意味では、拒絶理由にはほとんど必然的に「後知恵」的な要素が存在し得るとも言えます。この点に関連して、米国Albany Law Schoolの教授が、陪審を想定して一般市民400人を対象に、hingsightの影響についての調査を行ったところ、事前に本発明の知識を有していた人が、その発明を自明と判断する確率は、本発明の予備知識がなかった人の場合と比較して約2倍であり、TSMテストやGrahamテストに従って、判断させても結果はそれほど変わらなかったそうです。

また、発明の技術は出願時からの時間経過ともに陳腐化しますので、一般に、「後知恵」による判断が生じるリスクは出願時から経時的に増加してゆく傾向があると考えられています。つまり、出願時には「とても意外な知見」に基づくとの印象を与える発明であっても、審査の時点、さらには裁判の時点というように、時間の経過にともない、「意外な知見」との印象はどんどん減少していき、したがって、「後知恵」による判断の生じるリスクが高まると考えられています。

このように、ある意味で、拒絶理由にはほとんど必然的に「後知恵」的な要素が存在し得ると考えられ、更に、「後知恵」による判断が生じるリスクは出願時から経時的に増大してゆく傾向があると考えられます。

そして、一旦、拒絶理由を受けてしまえば、如何にその理由が「後知恵」に基づくように見えたとしても、単に「後知恵」のみを主張して拒絶が撤回されることは殆ど無いと言って良く、結局は、出願人が発明の新規性・進歩性(非自明性)を明確にすることが必要になります。

要するに、如何に「後知恵」に基づくと思われる拒絶であっても、拒絶を受けてから「後知恵だ」と主張しても「後の祭り」であり、予め「後知恵」に基づく拒絶を受けないよう、明細書作成の段階で準備をしておくことが肝心であると考えます。

「後知恵」に基づく拒絶を未然に防止するための明細書

一般的な考え方

「後知恵」に基づく拒絶を未然に防止するための明細書とは、一言で言ってしまえば、先行技術に対する新規性・進歩性(非自明性)が明確に示されている明細書ということになります。

要するに、格別な手段が有るわけではないのですが、特に一見して先行技術との構成上の違いが小さい発明は、「後知恵」による進歩性欠如(自明性)の拒絶を受け易いので、発明の構成の困難性(先行技術同士若しくは先行技術と周知技術を組み合わせることに関する困難性)や予想外の効果などについて強調しておくとよいでしょう。

実際には、この点の対応が充分でない明細書を目にすることが良くあります。特に発明者の方は、発明が属する特定の技術分野の専門家ですから、自分では構成上の小さな改変にも困難性を伴うことを良く認識しており、それを当然のことと考えてしまい、専門外の第三者にとっては容易に見えるかもしれないという認識が無い場合が少なくありません。この様なことが原因となって、進歩性(非自明性)が明確に読み取れない明細書となってしまうのだと思います。

したがって、これは、弁理士や特許技術者の仕事の範疇とも言えますが、明細書を書く際に、発明が属する特定分野の専門知識が無い第三者にとって、発明がどのように解釈されるかを客観的にイメージすることが非常に重要です。客観的な視点からの配慮を欠いた明細書での出願は、後知恵に基づく拒絶を受けやすいと言えます。

具体的には、出願明細書において、本発明に最も近い先行技術から本発明に到達することについての困難性や予想外の効果が得られることが直感的に理解できるようなポイントを、発明の課題と解決手段の項目などで、要領よく説明しておけば、「後知恵」による拒絶を未然に防止できることがあります。また、ポイントさえ巧みに述べてあれば、拒絶を受けても、それをベースにして、意見書で大幅に詳しい説明にすることが容易になります。

特に効果の話となると、米国を除く多くの国において、出願時の明細書に教示も示唆もされていないような効果について、出願後の審査の段階で主張しても考慮されませんので、出願時に何らかの記載を含めることが重要です。

具体例と注意事項

たとえば、公知技術として、ある種のポリマーAの重合反応の特徴に着目して設計されたポリマーA製造用の重合反応装置があり、本発明は、その公知の重合反応装置を他のポリマーBの製造に適用した製造方法に関する発明である、という場合を例に取ります。

一般的には、化学分野など結果の予測が難しい分野においては、反応の原料が異なれば、適する反応方式や条件も異なるという一般的常識がありますが、審査官が、上記の重合反応装置をポリマーBの製造に適用することの容易性について何ら具体的な根拠を示さずに、「本発明で成功している」という結果を念頭において、公知の重合反応装置を他のポリマーに適用することなど当たり前などという理由で拒絶をしたならば、この拒絶は「後知恵」に基づくものと言えるかも知れません。

しかし、具体的な証拠の提示は無くとも、恐らく審査官は「異なる重合反応であっても、殆どの場合に、同じ反応装置が利用できることは周知」などを指摘してくるでしょう。それに対して、単に審査官の主張は、「後知恵」に基づく不当なものだと主張しても、通常、それだけでは審査官の判断が覆ることはなく、結局は、組み合わせの困難性や予想外の効果を明らかにすることが必要になると思います。

従って、「後知恵」の拒絶を防止し、またそのような拒絶を受けても効率的に拒絶を撤回させるためには、やはり出願明細書において、発明の構成の困難性や効果の意外性などを分かり易く説明しておくということが最も有効です。

上記の例では、一見して、先行技術におけるポリマーAを、単にポリマーBに置換しただけという第一印象を受けると思います。そこで、進歩性を明らかにする為に特に有効な手段としては、例えば、以下のような点を明細書で強調しておくことが考えられます:

(1) 当業者が、ポリマーA製造用の重合反応装置をポリマーBの製造に適用することを阻害する要因(いわゆる「阻害要因」または「阻害事由」)(英語では"teach away")の存在があったことを明らかにする。

(2) 上記(1)を明らかにした上で、先行技術と同じ又は類似の効果(例えば、選択率や転化率の向上など)を証明する。

(3)先行技術には教示も示唆もされていなかったような効果を証明する。(例えば、先行技術において達成された効果が選択率と転化率の向上のみである時に、本発明ではポリマーBの重合で問題視されていた有毒な副生物の生成抑制が達成されることを証明するなど。)

上記(1)の阻害要因については、例えば、上記のポリマーAの重合に関する先行技術文献において、ポリマーAの重合反応の平衡定数の低さに着目して、上記の特定の重合装置を設計し、一定範囲以上の平衡定数を示す重合反応に、この重合装置を利用すると不都合が起きるという趣旨のことが記載されていたとしましょう。そこで、ポリマーBの重合反応の平衡定数が、上記先行技術に記載されている範囲より高ければ、阻害要因があったと言うことが出来ると思います。

上記(2)については、ポリマーAに関する上記先行技術において、上記の重合装置の使用により、選択率や転化率が向上し、本発明における効果も同様であり、且つ阻害要因も無かったということであれば、本発明の効果が意外なものとは認められない可能性が有ります。勿論、例外も有るでしょうが、阻害要因もなく且つ先行技術と同じ方向性の目的の発明ということであれば、一般的には、進歩性を認めさせるのが難しい場合が多いと思います。

一方、上記(3)のように、先行技術には教示も示唆されていなかったような効果であれば、意外な効果と認められる可能性が高いと思います。ただ、やはり、上記の例のように、一見して先行技術との構成上の差が小さい時には、阻害要因の存在を明らかにできることが理想的です。

実際に「後知恵」に基づくと思われる拒絶を受けた場合の対応

拒絶理由通への回答において「後知恵」を明示的に主張することは、審査官の判断能力を否定することに等しいため、心証の観点から、よほどの証拠(たとえば、審査官の拒絶理由の論理における明示的・致命的な欠陥の存在や、明らかな「阻害要因」の存在など)でもないかぎり、あまり露骨に「後知恵」を主張しないほうがよいのではないかと考えます。

多くの場合に望ましいアプローチとしては、「後知恵」には直接言及せずに、阻害要因などの議論をする中で、審査官自身が「後知恵」的な要素の存在を自然に自覚して改めてくれるように話しをもっていくというやり方が望ましいと考えます。

但し、担当の審査官が変った場合や、審判・訴訟手続きにおいて、審査官の判断や相手の主張に対して行うのであれば、この限りではありません。むしろ、「後知恵」を強力に主張することが得策の場合もあると考えます。また、近年の知財高裁判決の進歩性判断において「後知恵」が積極的に言及されることが増えていますので、裁判での「後知恵」の議論の有効性は増す傾向にあると考えられます
(たとえば、平成18年(行ケ)第10422号 審決取消請求事件
(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070330151919.pdf)
平成20年(行ケ)第10130号 審決取消請求事件
(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081225160745.pdf)
平成20年(行ケ)第10096号 審決取消請求事件
(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090129104737.pdf)を参照。)

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特許  米国  出願  クレーム  発明  日本  新規性  記載  必要  EPO  進歩性  明細書  韓国  上記  以下  審査  効果  拒絶  or  be  先行技術  判断  可能  弊所  請求項  英語  例外  手続  出願人  比較  利用  審査官  主張  開示  適用  作成  要求  対象  方法  an  範囲  対応  説明  可能性  請求  要件  出来  検討  特許庁  選択  本発明  規定  同様  通常  考慮  理由  具体的  存在  出願時  問題  特徴  claim  明確  実際  拒絶理由  使用  阻害要因  後知恵  特定  発明者  公知  先行技術文献  EP  文献  Examination  at  意見書  技術  第三者  最初  容易  特許性  引用  art  当業者  非常  意味  基準  invention  事件  注意  重要  10  調査  十分  any  証拠  以前  内容  理解  審査基準  一般的  prior  非自明性  有効  search  出願明細書  結果  office  判決  観点  導入  30  MPEP  状況  近年  製造  詳細  根拠  examination  図面  関連  否定  向上  been  www  ガイドライン  課題  決定  参照  増加  影響  出願後  II  目的  以上  削除  分野  平成  技術分野  into  参考  サーチ  自明性  条件  判断基準  訴訟  要素  証明  自明  post  手段  we  pdf  under  当然  合理的  達成  指摘  made  議論  事項  アプローチ  III  提示  充分  知財  構成  時間  項目  all  解決  傾向  評価  類似  must  勿論  示唆  困難  information  process  was  段階  専門家  趣旨  based  明示的  製造方法  19  go  審判  applicant  回答  obviousness  step  最高裁  タイ  具体例  20  ポリマー  原因  確率  would  so  結局  欠如  印象  ex  知識  弁理士  有効性  時点  time  認識  認定  reasonable  原料  re  ライン  成立  disclosure  each  end  However  直接  自分  legal  15  置換  一般  教示  リスク  before  予想外  担当  法律  装置  公知技術  前提  uspto  意見  能力  form  到達  困難性  htm  抑制  関係  想到  経過  注意事項  成功  撤回  claimed  skill  防止  最高裁判決  周知  subject  Law  whole  一応  要因  解決手段  最大  予測  Ex  進歩性欠如  許容  期待  有名  ii  欧米  当該  審決取消請求事件  person  テスト  differences  00  permissible  PATENT  客観的  解釈  test  known  conduct  取消  very  念頭  プロ  分析  刊行物  inoue  ep  化学分野  化学  引用発明  効率的  22  考察  予想  事前  School  一見  Reference  make  matter  approach  side  周知技術  明示  upon  ordinary  reason  準備  13  who  格別  nature  減少  teach  結論  仕事  自体  difference  全体  積極的  進歩性判断  Graham  事由  相手  明細書作成  basis  方向  一種  away  動機  her  進歩  per  html  必然的  am  段落  sea  大幅  ポイント  バイ  whether  一定  back  ベース  解説  term  想定  阻害事由  非自明  his  gov  重合反応  重合反応装置  expectation  iii  often  order  事実  References  純粋  success  論理  問題視  以来  価値  二次的考慮事項  web  容易性  効率  反応  prima  欠陥  直前  阻害  100  ratio  Legal  製造用  obvious  VII  mpep  裁判  act  設計  特許技術者  lines  確定  理論付  意外  留意  意外性  facie  facto  後者  due  技術水準  直感的  自然  analysis  再度  色眼鏡  courts  箇所  先進国  exam  不充分  18  Guidelines  重合装置  How  視点  解明  Success  言及  able  actual  転化率  Obviousness  選択率  訴訟手続  イメージ  view  構成上  専門知識  sight  審決  収集  対処  up  own  未然  now  motivation  平衡定数  teaching  常識  hanrei  無視  then  hind  心証  強調  当時  配慮  改変  教授  都合  重合  如何  文脈  新規  強力  性質  専門外  排除  審査官自身  2000  101  二次的  知見  予備知識  事後  着目  不当  立場  先行  理想的  特許請求  時間経過  明細  一旦  上記先行技術  経時的  バイアス  自身  oa  Re  offices  acts  TSM  ml  Prima  red  fr  hindsight  evaluate  ed  fact  invent  avoided  conclusion  inform  suggestion  Facie  Could  way 

宣誓供述書の書き方について(1):米国(Part 1)

今回は、米国出願における37 C.F.R. § 1.132に基づくDeclaration又はAffidavit(以下、纏めて「宣誓供述書」と証す)の書式についてご説明します。(宣誓供述書で証明が可能な事項については、こちらで説明しております。)

1.形式的な要件

 宣誓供述書に記載する事項は、以下の通りです。

① 「IN THE U.S. PATENT AND TRADEMARK OFFICE」と冒頭に記載する。
② 出願を特定する情報(出願人、出願日、出願番号、審査官の氏名など)。
③ 「DECLARATION UNDER 37 C.F.R. 1.132」という表題。
④ 宣誓者(declarant)の情報、具体的には、氏名、住所、最終学歴、職歴(職歴は、宣誓者として相応しいことを示すことができる限り、「~の研究や開発」という程度で構わない)。こちらでも説明しました通り、宣誓者としては、客観性の観点からは発明者以外が好ましいとされていますが、発明者でも支障はありません。
⑤ 宣誓者と本出願との関係。宣誓者が本出願の現状を理解していること。
⑥ 具体的な供述内容。
⑦ 供述内容に虚偽が無いことの宣誓。
⑧ 署名と日付。

2.供述内容

宣誓供述書を提出する状況として最も多いのは、自明性の拒絶を受けて、それに対して予想外の結果(unexpected results)を証明する場合であると思います。その場合の注意事項を以下に挙げます。

当然のことながら、回答の方針を念頭に入れて作成する必要があります。できれば、宣誓供述書を考慮させたただけで、自明性の拒絶理由が撤回されるような内容にすることが望ましいです。

これに関連して、実験報告書の原案を発明者の方が作成し、それを実質的にそのまま翻訳して提出してしまうということが実務上よく行われています。そして発明者の方は、技術の専門家ではありますが特許の専門家ではないために、必ずしも的確とは言えない内容の宣誓供述書になってしまっているというケースを目にすることがあります。その場合、いかに審査官が供述内容を真摯に検討しようとも、拒絶の撤回の根拠とはならないという状況に陥ってしまいます。従って、少なくとも発明と拒絶理由の内容を完全に理解した国内代理人に宣誓供述書の和文ドラフトを作成させて、それを翻訳させることが望ましいと考えます。(弊所では、必ず発明と拒絶の内容を理解した担当者本人が、英語で宣誓供述書を作成します。)

供述内容の決定手順の例を以下に挙げます。

① 現時点(補正後)のクレームの範囲を把握する。

② 先行技術との違いを特定する。

③ 上記の違いによって効果に差が生じるということが明確になるようなデータを取得する(実施例と比較例の結果の相違がこの特徴の違いに起因することが明確になるような条件設定とし、ここで行う比較実験が先行技術の再現実験として認められるような条件を採用しているかなどの点に留意する)。

④ 発明の特徴と効果の因果関係が明確になるようにデータの提示手段を工夫する。

⑤ データの量が不充分とみなされる可能性がある場合、既存のデータに基づいて、その結果がデータ不足分にも適用が可能であることを、合理的に説明する。場合によっては、公知文献に参照する。

⑥ 結論部(Conclusion)において、提示したデータが非自明の根拠として十分であることを簡潔に整理して説明する。

3.具体例

具体的な宣誓供述書の例を下記に示します。(米国出願の中間処理において弊所が実際に提出したものに基づいていますが、固有名詞・用語・数値などは適宜変更してあります。)

[例1]この例は、新たな実験を行うのではなく、明細書の実施例のデータに基づく考察を行って、結論を述べているものです。

供述内容が長くなる場合や、実験証明書を別途添付したい場合には、下記の例のように詳細をExhibit No.(書証番号、日本での甲号証や乙号証に相当)を付した別紙に記載します。

この例では別紙のExhibit 1において実施例のデータに基づく考察を詳しく行い、上記「⑤ 具体的な供述内容」でその内容を要約して述べています。もちろん、新たな実験に基づく宣誓供述書の場合は、別紙のExhibitにおいてその新たな実験の詳細と結果を述べて、上記「⑤ 具体的な供述内容」でその内容を要約して述べます。

宣誓供述書で結論を含む概要を述べ、詳細は別紙のExhibitとすることのメリットとしては、特に供述内容が長かったり複雑である場合に、審査官に先ず宣誓供述書で供述内容の概要を把握させ、その後、別紙のExhibitに記載された詳細により供述内容の合理性を判断させることにより、供述内容を容易且つ確実に理解してもらえるということが挙げられます。

尚、宣誓者(署名する人)の人称ですが、以前は弊所の実務として"he"や"she"などの三人称を使用しておりましたが、米国の代理人より一人称の"I"を使用するようにとのアドバイスを受けて、現在はこれに従っています。

(明細書の実施例のデータに基づく宣誓供述書の書式の1例)

IN THE U.S. PATENT AND TRADEMARK OFFICE

Applicants: Ichiro SUZUKI et al.
Serial No.: XX/XXX,XXX
Filed: June 10 20XX
For: POLYETHYLENE TEREPHTHALATE RESIN
Art Unit: 4133
Examiner: Thomas More


DECLARATION UNDER 37 C.F.R. 1.132

I, the undersigned, Ichiro SUZUKI, a Japanese citizen, residing at xxxxx, Akasaka 1-Chome, Minatoku, Tokyo 107-0052 Japan, hereby declare and state that:
I took a master course at the Department of Applied Chemistry, School of Engineering, ABCDE University, and I was graduated therefrom in March 1990.[*博士号取得者の場合: I was graduated in 1985 from the Department of Applied Chemistry, Faculty of Engineering, ABCDE University, and took a doctor course in the Graduate School of Engineering, ABCDE University, majoring in applied chemistry, from which I was granted the degree of doctor in 1990.]
I entered FGHIJ Polymer Chemical Co., Ltd. in April 1990.
I have been engaged in the research and development of high performance polyester resins from April 1990 to date.
I am one of the applicants of the above-identified application and I am well familiar with the present case. I have read and understood the Office Action dated October 10, 2007 and the references cited therein.
I carried out Examples 1 to 25 and Comparative Examples 1 to 20 of the present application, and the results are as described on pages 160 to 220 of the specification of the present application.
I have made observations, with reference to Examples 1 and 2 and Comparative Examples 1, 4 and 9 of the present application, to show that both of the side reaction index (C) requirement (i.e., less than 0.055) of step (1) and the "molten state" requirement of step (2) of the method of claim 4 of the present application must be satisfied for producing the polyethylene terephthalate resin of the present invention which possesses all excellent properties recited in claim 1 of the present application. (Hereinafter, the former requirement is simply referrred to as "side reaction index (C) requirement", and the latter requirement is simply referred to as "molten state requirement".)  The method and results are as described in a paper attached hereto and marked "Exhibit 1".

From the results of Exhibit 1, it can be fairly concluded:
that, as shown in Table A in Exhibit 1, the process employed in each of Examples 1 and 2 satisfies all requirements of claim 4 of the present application, whereas:

each of Comparative Examples 1 and 4 employs a crude PET resin having a C value of 0.082 and, hence, do not satisfy the side reaction index (C) requirement, and 

Comparative Example 9 employs a solid-phase polymerization process and, hence, does not satisfy the molten state requirement

that the results of Examples 1 and 2 (i.e. the properties of the PET resins obtained) are excellent; specifically, the obtained PET resins possess all of the target properties recited in claim 1 of the present application (Table B in Exhibit 1);

that the results of Comparative Examples 1 and 4 are poor in that the PET resins obtained in Comparative Examples 1 and 4, respectively, exhibit cyclic polymer contents (% by weight) of 3.45 and 3.34, which exceed the upper limit (not greater than 3 % by weight) recited in claim 1 of the present application (Table B in Exhibit 1);

that the results of Comparative Example 9 are poor in that the obtained PET resin not only exhibits a molecular weight distribution (Mw/Mn) of 3, which exceeds the upper limit (from 2 to 2.7) recited in claim 1 of the present application, but also exhibits disadvantageously high crystallinity of 55 (which causes high brittleness)  (Table B in Exhibit 1);

that, thus, through a comparison between Examples 1 and 2 and Comparative Examples 1 and 4, it is clear that the polyethylene terephthalate resin of the present invention cannot be obtained when the crude PET resin used does not satisfy the side reaction index (C) requirement; in other words, the side reaction index (C) requirement is critical for producing the polyethylene terephthalate resin of the present invention which possesses all excellent properties recited in claim 1 of the present application;

that, further, through a comparison between Examples 1 and 2 and Comparative Example 9, it is clear that the polyethylene terephthalate resin of the present invention cannot be obtained by a solid-phase polymerization process that is a representative conventional process; in other words, the molten state requirement is also critical for producing the excellent polyethylene terephthalate resin of the present invention;

that Comparative Example 9 also shows that, even in the case where the requirements of step (1) of the method of claim 4 (including the side reaction index (C) requirement) are satisfied, the excellent PET resin of the present invention cannot be obtained when the molten state requirement is not satisfied;

that thus, it is apparent that the polyethylene terephthalate resin of the present invention which possesses all excellent properties recited in claim 1 of the present application can be obtained only when the process employed satisfies both of the side reaction index (C) requirement and the molten state requirement.

The undersigned petitioner declares that all statements made herein of his own knowledge are true and that all statements made on information and belief are believed to be true; and further that these statements were made with the knowledge that willful false statements and the like so made are punishable by fine or imprisonment, or both, under Section 1001 of Title 18 of the United States Code and that such willful false statements may jeopardize the validity of the application or any patent issuing thereon.

Date:

(宣誓者の署名) Ichiro SUZUKI

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特許  米国  出願  クレーム  発明  日本  補正  記載  提出  必要  明細書  上記  以下  application  翻訳  審査  効果  拒絶  or  be  patent  先行技術  判断  可能  弊所  英語  宣誓供述書  出願人  比較  審査官  適用  データ  作成  Japan  実施例  an  範囲  説明  可能性  要件  メリット  Japanese  検討  not  with  変更  情報  考慮  理由  具体的  特徴  claim  明確  実際  拒絶理由  使用  Action  米国出願  Office  特定  発明者  公知  action  EP  文献  date  at  技術  容易  one  art  採用  出願日  invention  注意  実験  present  実施  十分  after  any  以前  内容  理解  has  grant  search  結果  観点  概要  現在  状況  above  詳細  根拠  形式  関連  実質的  only  been  www  case  決定  参照  代理人  書式  such  use  other  自明性  pace  may  条件  取得  証明  phase  will  以外  ケース  自明  手段  we  method  under  当然  specification  合理的  than  between  made  事項  results  提示  充分  all  but  right  相違  相当  中間処理  having  処理  Act  must  国内  also  through  information  process  resin  was  there  用語  専門家  Art  requirement  程度  applicant  回答  実務  step  具体例  比較例  both  so  excellent  ex  high  University  Engineering  時点  下記  even  re  parent  granted  each  residing  確実  今回  Declaration  供述内容  署名  中間  Applicant  April  完全  予想外  担当  identified  obtained  Exhibit  Examples  form  Applicants  関係  現時点  注意事項  statements  公知文献  further  撤回  SUZUKI  out  XX  shown  including  state  producing  Tokyo  数値  properties  United  reaction  Ex  Examiner  有名  日付  Comparative  Ichiro  used  宣誓  do  PATENT  referred  does  were  States  宣誓者  Affidavit  simply  index  念頭  添付  手順  requirements  respect  XXX  補正後  where  inoue  実験証明書  ep  複雑  実務上  考察  予想  School  clear  carried  obtain  side  Chemical  knowledge  Department  recited  well  本人  本出願  比較実験  true  reference  like  PET  結論  起因  番号  applied  供述書  cited  和文  terephthalate  limit  polyethylene  Graduate  declare  簡潔  molten  course  therein  these  willful  開発  satisfied  petition  references  her  別紙  per  applicants  Date  Table  現状  am  客観性  sea  its  把握  Title  poor  バイ  resins  支障  ku  非自明  his  herein  出願番号  result  March  工夫  statement  OFFICE  最終  Example  形式的  アドバイス  EC  citizen  convention  住所  described  代理  dated  thus  thereon  understood  valid  undersigned  冒頭  再現  固有名詞  weight  xxx  words  宣誓供述  issuing  degree  的確  require  ratio  既存  act  chemistry  petitioner  part  less  specific  hence  DECLARATION  留意  she  false  exhibits  hereby  how  satisfy  Faculty  believed  apparent  職歴  attached  familiar  development  現実  conventional  不充分  doctor  発明者以外  ABCDE  20XX  UNDER  要約  TRADEMARK  advantage  虚偽  ドラフト  able  October  適宜変更  late  representative  担当者  unexpected  show  氏名  up  isa  報告  own  possesses  方針  polymer  perform  実験証明  実験報告書  xxxx  now  took  graduated  therefrom  hereto  solid  研究  真摯  不足  乙号証  原案  先行  再現実験  別途  明細  設定  Section  Serial  State  major  man  advantageous  master  Unit  read  punishable  Hereinafter  red  polymerization  Polymer  More  Minatoku  Minato  fr  declares  former  content  contents  critical  crude  great  greater  employed  exhibit  employs  entered  ed  fine  invent  jeopardize  belief  believe  imprisonment  comparison  inform  causes  validity  satisfies  uses  Akasaka  upper  respectively  try  FGHIJ  xx  xxxxx  Chemistry  Code  Chome  Applied  shows  signed  DE  whereas  Filed 

パラメータ発明、パラメータ特許について(Part 3 日本における注意事項)

(II-4)パラメータ発明に関する日本出願の注意事項:

前回"Part 2"で説明しました通り、日本(と韓国)以外の国においては、パラメータ発明であっても他の数値限定発明の場合と要求事項は大差有りませんが、日本(と韓国)においては厳しい要件が有ります。

特に日本では、米国や欧州と比較して、サポート要件と明確性要件が厳しくなっております。

日本では、パラメータ発明の出願などの所謂「複雑出願」(膨大な選択肢を有したり、もたらされる結果で発明を記述したり、特殊なパラメータで発明を記述しようとする特許出願)といわれる出願の増加にともない、サポート要件の審査基準が厳しくなってきています。つまり、従来はクレームと明細書との単なる形式的な記載レベルの整合性が審査されることが主でしたが、近年では、技術の内容に立ち入って実質的な対応関係が審査されるようになりました。具体的には、以下のようなことが要求されます。

データ(実施例)

クレームされた当該パラメータの全範囲にまで発明を一般化できると主張できる充分なデータを明細書に記載すること、つまり、当該パラメータの全範囲をカバーする充分な数の実施例を記載することが重要です。

どの程度で「充分」と言えるのかは、ケース・バイ・ケースですが、例えば、中国の審査基準には以下のような要件が記載されています:

「通常は両端の数値付近(最適は両端値)の実施例を記載し、数値範囲が広い場合には、少なくとも一つの中間数値の実施例を記載しなければならない。」(専利審査指南、第二部分、第二章、2.2.6項)

特に、1つのパラメータで発明が定義されている場合は、国を問わず、上記は有効な指標となるでしょう。

一方、複数のパラメータの論理積(複数パラメータの規定範囲の重複部分)として発明が定義されているような場合は、要求されるデータは必然的に多くなります。その境界における臨界性(範囲内外での効果の違い)を明確にする為に多くのデータが要求されることがあります(理屈としては、ベン図における論理積(重複部分)の境界線を明らかに出来る程度の数のデータが必要になります)。上で述べた偏光フィルム事件は、複数のパラメータで発明が規定された例にあたり、実施例2つと比較例2つでは不十分であると認定されました。

もしも、どうしても出願時点で充分なデータを揃えられないという場合は、次善の策として、少なくとも、明細書に記載されるデータからその式を導き出すこと、及び、クレームされた数値範囲を定めること、が妥当であることを示す一応筋の通った理論や理由を述べておくことが絶対に必要です。

パラメータを規定する式

式などでパラメータを記載する場合は、明細書に記載されるデータからその式を導き出した根拠とクレームされた数値範囲を定めた根拠についての説明を述べることが要求されます。

パラメータで規定する範囲

パラメータの数値範囲が一見して非常に広範囲である印象を与える場合は、一般には具体的にどのくらいの数値範囲となるのかを示すことが望ましいとされています。

パラメータの数値範囲に下限または上限のいずれか片方しかない場合(所謂「オープンエンド(open ended)」のパラメータの場合)は、下限または上限の無い全範囲にわたってサポートされてはいないとみなされる可能性があります(または、不明確であるとみなされる可能性があります)。したがって、下限または上限を記載することが不可能でない限りは、それを、少なくとも明細書には記載しておくことが非常に望ましいと考えます。その際、下限または上限を記載することが真に不可能である場合は、その理由を合理的に記載しておくことが望ましいと考えます。

パラメータの明確性

測定方法が不明確であるために権利範囲が不明確となるという場合の典型例は、以下の通りです。まず、明細書に測定方法が記載されているが不明確である場合があります。また、明細書に複数の測定方法が記載されており、どの方法を用いるかで測定値に違いが生じるので不明確となる場合もあります。また、明細書に測定方法が記載されておらず、一般に複数の測定方法が知られており、どの方法を用いるかで測定値に違いが生じるので不明確となる場合もあります。したがって、当業者が疑問を生じることなく正しく実施できる1つの測定方法を明確に記載する必要があります。

また、当該パラメータが直感的に理解し難い複雑な式などで記載されている場合は、「当該パラメータの技術的意味が不明確である」という指摘や、「当該パラメータを特定の範囲とすることが発明の作用・効果とどのように関連するのかが不明確である」という指摘を審査官から受ける可能性があります。

尚、「技術的意味」について、審査基準では、「発明を特定するための事項の技術的意味とは、発明を特定するための事項が、請求項に係る発明において果たす働きや役割のことを意味し、これを理解するにあたっては、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮する」と述べられています。したがって、直感的に理解し難い複雑な式などでパラメータを記載する場合は、その「技術的意味」、すなわち、「発明において果たす働きや役割」(言い換えると、発明の作用・効果とどのように関連するのか)についての分かりやすい説明を明細書に記載することが必要です。

従って、日本(若しくは韓国)での権利化が重要であれば、審査基準に鑑み以下の様な点に注意して出願明細書を作成することが望ましいと考えます。

① 明細書に、クレームされたパラメータの範囲の技術的意味(すなわち、「発明において果たす働きや役割」)を明確に記載する。

② 式などでパラメータを記載する場合は、明細書に記載されるデータからその式を導き出した根拠とクレームされた数値範囲を定めた根拠についての説明を記載する。

③ パラメータ発明と従来技術のものとの関係を明細書において明確にしておく。すなわち、たとえば、「従来技術のものがクレームに記載するパラメータの範囲に入らず、発明の効果を発揮しないこと」を示すことができる比較実験データを実施例や比較例として記載する。

④ クレームされた当該パラメータの全範囲にまで発明を一般化できると主張できる充分なデータを含む実施例と、出来れば先行技術に相当する比較例やパラメータの臨界性を示す比較例(クレームしたパラメータ要件を満たさない場合、意図した効果が達成できないことを示す実験データ)とを明細書に記載する。  パラメータの数値範囲に下限と上限のいずれか片方しか設けない(open end)ということは、なるべく避けて、下限または上限を記載することが不可能でない限りは、少なくとも明細書には記載しておく。

⑤ パラメータ発明のものを製造する方法(製造条件)を明確に記載する(製造条件に関する種々の具体的な数値を記載する)。特に、当該パラメータを制御してクレーム範囲内の任意の値を容易に達成できるような手段を記載する。

⑥ 当該パラメータの数値を決定するための1つの測定方法を明確に記載する。

⑦ 出願後に実験データなどを提出することによって記載要件(サポート要件や実施可能要件)の不備を解消することは認められていないので、特にこの点で充分なデータや説明を記載しておくように留意する。

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