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米国(6): 早期審査・審査促進(特許審査ハイウェイ(PPH)等)

米国には、多岐に亘る早期審査・審査促進に関する制度がありますが、それらの幾つかは非常にプラグマティックであり、お国柄が反映された興味深いものとなっています。例えば、優先審査(Prioritized Examination)は、$4,800という高額の費用を支払えば優先的に審査を行うというものであり、早期審査[MPEP708.02(a)に規定された審査促進プログラム(Accelerated Examination Program)]は、米国特許庁に代って出願人自らの責任で先行技術調査と特許性評価を行えば、早期に処理してもらえるというものです。また、2011年12月31日をもって終了してしまいましたが、未審査の出願を取下げることを条件に、別の出願1件について優先的に審査してもらえるという一種のバーター取引のような制度[Patent Application Exchange Program(出願交換プログラム)]も以前は存在しました。

具体的な要件や手続きについては詳細な説明がなされているサイトが多数存在しますので、ここでは各制度の特徴(メリット・デメリット)を中心に概要について説明致します。

[I] 優先審査(Prioritized Examination)制度

米国特許法改正法(Leahy-Smith America Invents Act: AIA)の発効とほぼ同時に導入された新しい制度です。

2011年9月26日以降に提出された出願について、この優先審査制度を利用すれば、平均で12ヶ月以内に最終的な審査結果(許可通知(Notice of Allowance)または最終拒絶(Final Rejection))が得られることになっています。(尚、この優先審査は"Track One"と称されておりますが、"Track Two"は通常審査であり、"Track Three"は通常より実体審査の開始を30ヵ月遅らせた審査のことを意味します。)

近年の米国特許庁における審査の遅延状況を考えると魅力的な制度では有りますが、この制度には以下のような制約やデメリットが有ります:

(1)優先審査の請求は、特許出願(パリ優先権主張出願、継続出願、分割出願を含む)若しくはRCEと同時に行うことが必要

(2)PCT経由の米国出願は対象外(但し、継続出願やRCEを行って、それと同時に優先審査を請求することは可能)

(3)費用が非常に高額である(米国特許庁に支払う申請料:Large entity $4800 、Small entity $2400)

(4)クレーム数に制限が有る(クレーム総数が30以下、且つ独立クレーム数が4以下)

(5)特許庁からのオフィスアクション(拒絶理由通知等)に対し、応答期間(3ヶ月)の延長を行った場合、優先審査の対象から外され、通常出願の取扱となる(費用の払い戻しは無し)

[II] 早期審査制度[MPEP708.02に規定された審査促進プログラム(Accelerated Examination Program)] 

2006年8月25日以降の出願について、早期審査制度[審査促進プログラム(Accelerated Examination Program)]を利用することもできます。こちらも、優先審査(Prioritized Examination)の場合と同様に、平均して12ヶ月以内に最終的な審査結果(許可通知(Notice of Allowance)または最終拒絶(Final Rejection))が得られることになっております。

対象となる出願や申請のタイミングは、上記の優先審査とほぼ同様(但し、RCE提出と同時に請求することはできない)ですが、優先審査と比較して以下の様な相違点が有ります:

(1)特許庁に支払う申請料は$130と低額(優先審査では、$4,800(Large Entity))

(2)クレーム数の制約が、上記優先審査の場合より若干厳しい(クレーム総数が20以下且つ独立クレーム数が3以下)

(3)出願人は、先行技術調査を行い、出願と同時に、特許性を明らかにした早期審査補助文書(Accelerated Examination Support Document)を提出することが必要

(4)特許庁からのオフィスアクション(拒絶理由通知等)に対して30日以内に応答することが必要。期間延長は原則として認められず、期限を徒過すると出願放棄となる

特に(3)の出願人による先行技術調査と早期審査補助文書(Accelerated Examination Support Document)の作成に要する手間と費用、並びに提出した情報に漏れが合った際にInequitable Conduct(不衡平行為)によって権利行使不能(unenforceable)となるリスクの観点から、この手続きの制度の利用に対するネガティブな意見も多く聞かれます。(絶対に利用すべきではないと強く主張している米国の弁護士もいるようです。)

尚、この審査促進プログラムについて、以下の場合には、申請により(1)の費用が免除されます:

- 発明者の少なくとも1人が、病気又は65歳以上の場合

- 発明が、環境改善(environmental quality)、エネルギー資源の開発又は省エネルギー(development or conservation of energy resources)、対テロリズム(countering terrorism)に関するものの場合

[注:しばしば誤解されている方がいらっしゃるようですので、念のために指摘しておきますと、MPEP 708.02のサブセクションI-II及びV-XII(製造の予定や侵害されている等の事情や組み換えDNA、超伝導など特殊発明に関する要件)は、2006年8月25日以前の申請に関する要件であり、現時点での請求には適用されません。]

上記のことから分かる通り、優先審査及び早期審査は、コスト、手間、リスクの観点から、気軽に利用できる制度とは言い難いものとなっています。

日本において既に所望の権利範囲で特許許可されているならば、日本の審査結果に基づく審査促進を可能にするPPHが、最適なオプションの1つとして検討に値すると思われます。

[III] 特許審査ハイウェイ(PPH)

日米間では、平成20年1月4日から、日米特許審査ハイウェイ(PPH)を本格実施しています。データ的には、日本-米国PPHの適用を受けた場合の許可率は約95%と言われております。(http://www.vennershipley.co.uk/show-news-id-202.html

[III-1] PPHの概要

PPHとは、他国の審査結果又はPCTの調査成果に基づいて審査促進(早期審査)をするものです。これに関して、PPHを利用すると、日本で特許査定になったら、その結果をもって直ちに米国でも特許が取得出来るとお考えの方が多いようですが、そうではありません。あくまで日本の審査結果を利用して審査促進するというものです。結果的に、特許成立する確率は高いですが、例えば米国特許庁(USPTO)は、他国の審査結果に従うことを要求されたり推奨されたりするものではありません。

弊所で、USPTOにPPHを申請した件では、USPTOが日本では引かれなかった新たな先行技術文献を引いてきたり、日本で既に考慮された先行技術文献に基づいた新たな拒絶理由を提示してきたことも有りました。そのような件でも、結果的には通常審査よりも早期に特許成立致しましたが、USPTOが、他国の審査結果に従い直ちに特許許可するとは限らないということは念頭に入れておく必要があります。

PPHの申請に関する情報は、日本特許庁のホームページに公開されています。(http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/highway_pilot_program.htm

[III-2] 日本国特許庁の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ(PPH)の適用をうけるための条件

PPHの適用をうけるための条件を簡単に纏めますと以下の通りです。

(1) 日本出願と米国出願の対応関係について:

 PPHの適用が可能な日本出願と米国出願の対応関係は大きく分けて以下の3通りになります。
 - 米国出願と日本出願のどちらかが他方の優先権出願である(米国出願又は日本出願がPCT経由の出願である場合を含む)。
 - 米国、日本以外の第三国における出願が、米国出願と日本出願の共通の優先権出願である(米国出願又は米国出願と日本出願の両方がPCT経由の出願である場合を含む)。
 - 米国出願と日本出願とが、共通のPCT出願から派生したものである(ここでPCT出願は、優先権主張していないものや米国及び日本以外の国における出願に基づく優先権を主張しているものも含む)。

尚、米国出願が優先権出願である場合、この出願は仮出願であっても構いません。

また、PCT経由の米国出願で、国際調査機関(JPO又はUSPTO)又は国際予備審査機関(JPO又はUSPTO)が、PCT出願の請求項の特許性に関して肯定的な見解を示した場合には、それに基づいてPPH(PCT-PPH試行プログラム)を申請することも可能です。より具体的には、PCT出願における少なくとも一つの請求項が新規性、進歩性、そして産業上の利用可能性を有することを示す、国際調査機関(JPO又はUSPTO)又は国際予備審査機関(JPO又はUSPTO)の見解書若しくは国際予備審査機関(JPO又はUSPTO)の国際予備審査報告に基づいてPPHを申請することが可能です。詳細につきましては、日本特許庁のホームページに提供されている以下の資料をご参考下さい: http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/pdf/patent_highway/after_uspto_japanese_kai.pdf

このPCT-PPH試行プログラムは、2012年1月28 日に終了する予定であり、現時点では試行期間延長や本格実施についての情報はありません。

(2) JPOによる特許性判断:

日本出願の少なくとも一つの請求項が、JPOによって特許可能と判断されていなければなりません。

(3) 日本出願の請求項と米国出願の請求項の対応関係:

PPHに基づく審査を申請する米国出願のすべての請求項が、対応する日本出願の特許可能と判断された一又は複数の請求項と十分に対応しているか、十分に対応するように補正されていることが必要です。尚、米国該出願の請求項の範囲が日本出願の請求項の範囲より狭い場合も、請求項は「十分に対応」するとみなされます。

(4) PPH申請可能な時期:

PPHに基づく審査を申請する米国出願は、USPTOによる審査が開始されていない必要があります。

尚、親出願において認められたPPHプログラムへの参加申出及び特別な地位は、継続出願には引き継がれません。継続出願も独自に上記(1)~(4)の要件を満たす必要があります。

[III-3] PPH申請時に提出する書類

PPHの申請書と共にJPOによる審査に関する以下の書類を提出する必要があります。

(1) 許可になった請求項及びその英訳文

(2) 日本出願の「特許査定」の直前の日本出願の審査通知(すなわち、最新の「拒絶理由通知書」)の写と、その英訳文(最初の審査通知が特許査定である場合には、特許査定の翻訳文は不要で、最初の審査通知が特許査定であった旨を説明する)

(3) JPOの審査通知においてJPOの審査官により引用された文献[情報開示申告書(IDS)として提出]

(4) 日本出願と米国出願の請求項の対応表

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その他(商標)

Q1. 日本の商標登録出願に基づく優先権主張をして外国に商標登録出願する場合、特許の場合と同様に、日本出願から1年以内に外国出願すれば良いのか?

A2. パリ条約に基づく優先期間は、特許については1年ですが、商標については6ヶ月と定められています。従って、日本の商標登録出願の日から6ヶ月以内に外国出願手続きを完了させなければ優先権を享受することはできません。

Q2. 直接外国へ商標登録出願することに対する国際商標出願(マドリッドプロトコル出願)のメリットとデメリットは

A2. マドリッドプロトコル出願(所謂「マドプロ出願」)のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット

マドプロ出願のメリットとしては、現地代理人を介さずに出願から登録手続までを完結できますので、基本的には現地代理人費用が発生しません

但し、いずれかの指定国において拒絶理由が見つかった場合には、その指定国の代理人が応答手続を行わなければならないことになっているため、その時点からの現地代理人費用が発生します。

また、もしも登録する国や商標を使用する対象を増やす可能性があるならば、マドプロ出願には、事後指定(指定国、指定商品・役務の追加)が可能です。但し、指定商品・役務の追加は、国際登録の範囲内でのみ可能です。従って、後に商標を活用する国や対象が増えた場合に対応できるというメリットがあります。

さらに、登録後も更新、各種変更手続きを一括で行うことができます。

デメリット

マドプロ出願の場合、先ず、日本に出願する必要があります。従って、日本での商標権が不要という場合は、日本での出願費用が無駄になってしまいます。

また、基礎出願が登録にならない場合や基礎登録が取消された場合、マドプロ出願・登録も取消されてしまうという不利があります(所謂「セントラルアタック」)。この場合、各国出願への切り替えを行うことができますが、新たに出願費用がかかります。

Q3. マドリッドプロトコルの加盟国は

A3. 現在のところ、日本、米国、EU、ロシア、中国、韓国などを含む86カ国が加盟しています。近年、注目を集めている新興国では、ベトナム、フィリピン、イラン、エジプトなどは加盟していますが、マレーシア、タイ、インド、インドネシア、メキシコ、バングラディシュなどの国は未加盟です(2012年9月現在)。詳しくは、こちらで確認できます。

Q4. 展示会に自社製品を出品するにあたり、新たな商標を使用しようと考えているが、特許出願の場合のように、展示の後に、新たな商標について新規性を喪失せずに出願することはできるのか?

A4. まず、商標に関しては、特許におけるような所謂「新規性」という概念は存在しません。特許、実用新案、意匠等は、新たな技術などを発明、考案又は創作し、その新しい技術などの保護を目的とするものですが、商標権は「選択物」であると言われます。これは、商標権に関しては、既存の言葉などを選択して特定の商品やサービスを特定するために用いる権利であるという考え方に基づきます。

しかし、商標登録出願にも、特許制度などにおける「新規性の喪失の例外」(特許法第30条)の規定に類似の規定は存在します。商標法の第9条(出願時の特例)においては、特定の博覧会において出品・出展した商品やサービスについて使用をした商標について、その出品・出展の日から6ヶ月以内にその商標について出願した場合は、その出品・出展の日が商標登録出願の出願日とみなされます。この際、商標自体並びに商標登録出願の指定商品又は役務は、出品・出展したものと同一にする必要があります。

特許等の場合、新規性の喪失の例外の適用を受ける場合、出願前に公開した技術と出願に係る発明は必ずしも同一である必要はありませんが、商標に関する上記「出願時の特例」については、上記の通り、商標及び指定商品・役務は、出品・出展の時のものと同一であることが要求されます。また、特許などの場合、特許出願の出願日は、出願前の公開の日に遡及することは有りませんが、商標の上記「出願時の特例」においては、出願日は出品・出展した日に遡及します。

また、商標登録出願について「出願時の特例」を受けるためには、その旨を記載した書面を商標登録出願と同時に特許庁に提出し、且つ当該商標登録出願における商標及び指定商品・役務は、出品・出展の時のものと同一であることを証明する書面を商標登録出願の日から30日以内に提出しなければなりません。

尚、商標法第9条(出願時の特例)において定める特定の博覧会は以下のようなものです。

 ①日本政府等が開設する博覧会、
 ②日本政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するもの、
 ③パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会、
 ④パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国のいずれにも該当しない国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するもの。

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中国(6): 実用新案(実用新型専利)の有効活用

中国の実用新案は、国際的な視点からは少々トリッキーな存在となっており、中国における特許中心の知財戦略を検討するのであれば、実用新案制度も是非とも熟知しておくべき非常に重要な制度です。日本においては、実用新案はそれほど有用な権利とは認識されておらず、出願件数も特許と比較すると非常に少ないのに対し、中国においては、実用新案出願件数は特許出願件数よりも多く、且つその殆どが中国国内の出願人によるものです。このような極端な傾向は、実用新案制度を有する他の国では見られません。

実用新案出願件数が多いことの原因として考えられるのは、日本と同様に中国でも実用新案は低コストで容易に権利を取得できるということに加えて、日本と比較して、中国の実用新案権は権利行使し易く且つ無効になり難いということが挙げられます。また、中国企業の方針として、時間とコストをかけて先駆的な技術を開発するよりも、既存技術のマイナーバリエーションを実用新案で幅広く抑えておくということが有るのかも知れません。

更には、日本と異なり、同一の発明について特許と実用新案の両方を出願することが出来るという点も、中国における実用新案が広く活用されている要因の一つであると考えられます。

そして、実用新案制度が存在せず馴染みの無い国(米国など)や実用新案制度があっても権利行使が難しく有用性が低い国(日本、ドイツなど)が多いことから、中国国外の出願人にはあまり利用されていないというのが現状のようです。

概要

権利の種類

中国特許法(専利法)によれば、日本における特許、実用新案及び意匠は、何れも「専利」の一種ということになり、以下の様に称されます。

発明専利 → 日本の「特許」、米国のUtility Patent

実用新型専利 → 日本の「実用新案」(米国は実用新案制度無し)

外観設計専利 → 日本の「意匠」、米国のDesign Patent

保護対象と権利期間(日本とほぼ同様)

中国における実用新案の保護対象は「製品の形状、構造又はその組合せについてなされた実用に適した新しい技術方案」です(専利法実施細則第2条第2項)。これは、日本と実質的に同様であり、方法や用途、組成物などに関する発明(考案)は実用新案を利用できません。更に、日本と同様、出願には必ず図面を含めることが要求されます。

権利期間が、出願から最大10年である点も日本などと同様です。

権利化までの期間(日本とほぼ同様)

方式審査のみで登録となるため、特許(発明専利)が権利化まで2年半~3年半程度要するのに対して、実用新案は約6ヶ月程度で権利化できます。

出願件数 - 中国における膨大な実用新案出願件数 -

日本ではあまり活用されていない実用新案制度ですが、中国では以前から出願件数が非常に多く、特に2010年以降は、特許の出願件数を上回っています。

日本においては、実用新案の出願件数は特許と比較すると非常に少なく、2011年は特許出願の約1/40の出願件数(特許出願約34.3万件に対し、実用新案出願は約8千件)であるのに対し、中国においては、実用新案出願件数は特許出願件数よりも多く(2011年は特許出願約52.6万件に対し、実用新案出願は約58.5万件)、且つその99%以上が中国国内の出願人によるものです。

権利行使 - 中国における権利行使の容易さ -

日本では、特許権と比較した場合の権利の不安定さやリスクの大きさから、実用新案権に基づく権利行使はあまり現実的なオプションとは考えられていませんが、中国においては、特許の場合とほぼ同様の感覚で実用新案権の権利行使が可能です。

技術評価書(調査報告書)(中国では要求されない限りは不要)

日本では、実用新案権に基づく権利行使をする場合には、特許庁が作成した実用新案技術評価書を入手する必要があります(日本国実用新案法第29条の2)。技術評価書においては、特許の審査と同様に、新規性、進歩性などが評価されます(但し、法律の文言上は、実用新案に要求される進歩性は、特許の場合よりも低い)。

一方、中国においては、権利行使の際に技術評価書を提示する必要はなく、裁判所に要求されたら提出すればよいことになっています。

実用新案に要求される進歩性

日本と同様に、中国でも実用新案権について無効審判を請求することができます。当然、そこで新規性・進歩性が認められなければ、実用新案権は無効となってしまうわけですが、実用新案は特許ほど顕著な進歩性は要求されません。

この点、日本においても、法律の文言上は、特許と実用新案に要求される進歩性に差が設けられているのですが、実務上その違いは必ずしも明確では有りません。一方、中国においては、「実用新案に要求される進歩性(創造性)の基準が低い」ということが、審査基準に明確に規定されています(審査基準第四部分第六章第4 節)。そして、具体的に以下の2点で特許の進歩性基準との差を明確にしています。

(1)特許に関しては、発明が属する技術分野のみならず、それに近い分野や関連分野、及び当業者が参考にするであろう他の技術分野についても考慮されるが、実用新案に関しては、一般的には、当該実用新案の属する技術分野を考慮することが重視される。

(2)特許は3以上の文献を組み合わせて進歩性を否定できるが、実用新案は原則的に2つまで。

従って、中国の実用新案は、日本と比べて無効にすることが難しいと言えます。

参考までに、中国において、ここ約10年で、付与後の特許が無効になった割合は約26%程度、実用新案が無効になった割合は約33%程度で、極端に大きな開きは有りません。むしろ、実用新案が無審査で登録になっているにも関わらず、1/3程度しか無効にならないということは特筆に値します。

侵害訴訟における過失の推定について(実用新案が無効になった場合の損害賠償)

日本では、特許権については、他人の特許権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定されます(日本国特許法第103 条)。要するに、特許権の権利侵害に関しては、「過失の推定」が働き、特許権者は、権利侵害に対する損害賠償請求をするに際して、侵害者の故意・過失を立証する必要がありません。

一方、実用新案権については、そのような「過失の推定」は有りません。従って、日本で実用新案権に基づいて他人に警告や権利行使をした後に、その実用新案権が無効になった場合、原則的に実用新案権者は損害賠償の責任を負います(日本国実用新案法29条の3第1項)。このことが、日本において実用新案があまり活用されていないことの大きな要因の1つとなっています。

これに対し、中国の実務では、特許のみならず、実用新案権に基づく権利行使においても侵害者の過失が推定されるため、実用新案権利者は被疑侵害者に過失があることを証明する必要がありません。要するに、日本と異なり、中国では実用新案権が無効になってしまった際の損害賠償を心配せずに権利行使することができます。

実用新案権の侵害が認められた場合の損害賠償

中国の実用新案侵害で高額な賠償金支払い命令が出たことで有名な事件として、シュナイダーvs正泰集団案((2007)浙民三終字第276号)があります。

この事件では、2007年9月に、中国浙江省の温州市中級法院が、フランスのシュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)社の子会社に対して、同社が中国の正泰集団の実用新案権を侵害したとして、3.3億元(12円/元として約40億円)の損害賠償を命じ、その後、(2009年4月に、シュナイダー側が正泰集団に 1.575億元(12円/元として約19億円)支払うことで和解が成立しました。

シュナイダー事件以前は、特許や実用新案の侵害に対する賠償金は、権利者が被った損害及び侵害者が得た利益の算定が証明できていないとして、法定賠償範囲額(5千元から上限50 万元程度)の範囲内で算定されることが殆どでしたが、シュナイダー事件を境に高額な賠償金支払い命令が出るようになりました。

例えば、特許侵害訴訟になりますが、武漢晶源vs.日本富士化水(2009年12月21日最高人民法院(2008)民三終字第8号)においては、最高人民法院(最高裁判所)が、被告である富士化水と華陽公司が武漢晶源の特許権侵害行為を共同して実施したと認める最終審判決を下し、5061.24万元(12円/元として約約6億円)の支払いを命じました。

シュナイダー事件では種々の特殊な事情が重なって特別高額な賠償金となった例外的な案件という見方もできますが、実用新案権侵害で高額の賠償金支払い命令が出る可能性が有ることを示す例であることには変りありません。

従って、中国で権利を取得するという立場からは、実用新案は低コストで強い権利が取得できるという利点があるわけですが、中国で実際に事業を行う際には、無審査で登録になった大量の実用新案の存在は脅威となり得ます。

中国特有の出願制度 - 特許と実用新案の並行出願 -

中国では、日本と異なり、同一の発明に関して、特許出願と実用新案出願を同時に提出することが正式に認められています。そして、特許出願が許可になり登録されたら、実用新案権を放棄するということが許されます。従って、最終的には特許権獲得を目指す場合でも、先ず実用新案で早期に権利を取得しておくということが可能です。

日本でも、実用新案を特許出願に変更することはできますが、その時点で、実用新案権は放棄しなければなりません。従って、特許出願が許可にならなかったら、全く権利がなくなってしまいます。

中国において特許出願と実用新案出願を同時に提出し、権利化を図る際には、以下の要件を満たす必要があります(中国専利法9条、及び専利法実施細則41条):

(1) 同じ出願人が同日に特許出願と実用新案出願を行う。

(2) 特許と実用新案の両方の出願において重複して出願している旨を明記する。

(3) 特許が登録となった際に、実用新案権を放棄する。

但し、国際出願(PCT出願)の場合、中国へ移行する際に実用新案を選択することは可能ですが、特許と実用新案を両方出願することはできません。従って、特許と実用新案を同時出願するのであれば、中国を第一国として出願するか、最初の日本出願から1年以内にパリ優先権を主張して出願する必要があります。

特許・実用新案間の出願変更

上記のように中国では、特許と実用新案の同時出願が可能な一方で、実用新案出願を途中で特許出願に切り替えたり、またその逆は出来ません。日本では、そのような出願後の特許から実用新案、実用新案から特許への出願変更が認められています。

しかし、上記の通り、中国では実用新案に要求される進歩性がそれほど高くありませんので、出願済みの特許発明に若干の変更を加えて実用新案出願するということも考えられます。

纏め

以上の通り、中国における実用新案は、日本におけるそれとは大きく意味合いが異なるものとなっており、権利期間が特許の半分(特許は20年、実用新案は10年)であることを除けば、特許と同等に強力な武器となり得ます。

また、実用新案権は低コストで且つ容易に取得できるという点も考えると、特にライフサイクルの短い製品などの保護には実用新案制度の利用は極めて有力なオプションとなるはずです。実用新案は、イニシャルコストが特許出願と比較して安いのみならず、実用新案出願には実体審査がないため、審査請求費用が不要且つ中間手続きの費用が殆どかりません。特許の場合、中国特許庁(SIPO)が、一度も拒絶理由通知を出さずに特許査定することはあまりありません。

これまで中国においては専ら特許制度のみしか利用していなかったならば、実用新案制度の価値を再検討してみることを強くお勧め致します。例えば、PCT国際出願について国際調査報告の内容が望ましくないものであった場合に移行を断念するというようなこともあるかと思いますが、そのような状況でも中国には実用新案として移行しておくというような利用法もあると思います。

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中国(2)

Q. 日本で発明を展示会発表してから6ヶ月以内に新規性喪失の例外の適用を受けて日本出願をした。その日本出願に基づく優先権を主張して中国に出願した場合、日本での発表に対して新規性を確保できるのか?

A. まず、中国においても「世界公知」の先行技術が採用されますから、日本における展示会発表は先行技術と見なされます。そして中国においても新規性喪失の例外の規定は存在します。自らの公開後から出願可能な期間は日本と同様に6ヶ月です。中国においては、この6ヶ月以内に中国出願をする場合の他、この6ヶ月の間に出願日を有する中国以外の国の出願に基づく優先権を主張して、この6ヶ月の期間の経過後に中国に出願した場合にも新規性の喪失の例外の適用を受けることができます。(日本においては、公開後6ヶ月の期間の間に、日本出願又は日本を指定するPCT国際出願を提出する必要があり、外国で新規性の喪失の適用を受けた出願であっても、それに基づく優先件を主張して、公開から6ヶ月を経過した後に日本に出願したような場合、新規性喪失の例外の適用を受けることはできません。)

しかし、中国においては、新規性喪失の例外を適用を受けることができる公開手段が大きく制限されています。中国専利法第24条によれば、新規性喪失の例外規定の適用を受けられる公開手段は、①中国政府が主催、または承認した国際展示会での展示、②定められた学術会議あるいは技術会議での発表、となっています。しかし、具体的にどのような展示会における展示が新規性喪失の例外の適用の対象になるのを明らかにした資料などが存在しません。例えば、2010年に開かれた上海万博での展示などであれば、明らかに同規定の適用の対象となったでしょうが、そのような特別な例を除いては、適用の申請をしてみないと分からないというのが実情のようです。

従いまして、結局のところ中国において新規性の喪失の例外の適用を受けることができる場合は極めて限られており、発明を公開する前に中国に出願しておくことが無難です。


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