欠落

米国(4)

Q. 再発行(reissue)で認められる訂正はどのようなものか?また、特許権者が指摘した再発行申請理由以外の理由で特許性を否定されることがあるのか

A. 再発行制度は、出願人の過誤(error)を訂正するためのものであり、その過誤が、それにより特許の全部または一部が実施不能(inoperative)または無効(invalid)となるようものである場合に、訂正が認められます。クレームが狭すぎるという理由でクレームの拡大が許されることも有りますが、その場合、原特許発行から2年以内に申請する必要があります。また、クレームを拡張する場合、その他にも幾つか注意事項が有りますが、それについては、次のQ&Aに譲りますので、そちらをご覧下さい。

訂正の対象としては、クレームのみならず、明細書本文や図面を訂正することも可能です。また、優先権の主張の欠落や誤りを修正することも出来ます。

再発行を申請する際には、既に発行されている特許が、その特許に含まれてしまった詐欺的意図のない特定の過誤により、全体的あるいは部分的に「効力/効果が無い(inoperative)」あるいは「無効である(invalid)」ことを述べる宣誓書を提出しなければなりません。

審査過程においては、上記の過誤だけがチェックされるのではなく、全クレームが全ての特許要件について改めて審査されます。従って、上記の過誤以外の欠陥を審査官に指摘されて拒絶され、有効な回答ができず、結局、再発行特許を受けることができないこともあり得ます。

Q. 本来、発明に不要な要件を米国特許のクレームに記載してしまったため、その必須でない要件を外して発明を実施している第三者に対して侵害差し止めを請求出来ない。米国で、特許後に上記の不要な要件を外す補正をすることは出来ないか?

A. 不要な要件を外すということは、クレームを「拡大」することになりますが、そのような場合、再発行制度(Broadening Reissue)(35 U.S.C. 251)を利用してクレームの拡大することが可能です。(再審査(Reexamination)では、クレームを拡大する補正は不可。)クレームを拡大する再発行については、以下の点に注意することが必要です。

(1)通常の再発行は、特許存続期間中であれば、いつでも可能だが、クレームを拡大する再発行は、原特許発行から2年以内に申請する必要がある(35 U.S.C. 251, MPEP 1412.03)。

(2)審査段階において、特許を取得するために放棄された発明の主題(surrendered subject matter)を再取得(recapture)することは許されない(MPEP 1412.02)。即ち、再発行によりクレームから削除しようとしている主題が、審査段階において拒絶を克服するために、補正によりクレームに導入されたもの、若しくは発明の重要な特徴として主張されたものである場合、これを再発行によって削除することは許されない

(3)特許クレームに変更(ここでいう「変更」とは、減縮、拡張等のクレームの権利範囲を実質的に変更するものをいう。クレームの権利範囲に影響を及ぼさないものは含まない。)を加えた場合、変更前の元の特許クレームは初めから存在しなかったものとみなされる(一方、再発行において変更されずに残ったクレームについては、原特許に基づく権利が有効に維持される)。また、再発行の後の変更されたクレームについては、特許権者は、再発行の後になされた第三者の行為に対してのみ、損害賠償や差止めを請求することができる。しかも、この場合の特許権の行使は、第三者のintervening rightによって制約を受ける("intervening right"は「中用権」と訳されることが多いが、日本の特許法における「中用権」、即ち、日本の特許法第80条に規定される通常実施権とは、意味が異なる)。詳しくは、「米国における特許訂正の効力について」の項を参照されたい。

Q. 米国でパテントトロールとおぼしき会社に特許侵害訴訟を提起された。訴訟が提起されたのは、パテントトロールに好んで利用されることで有名なテキサス州東地区裁判所である。この管轄について、他の管轄への移転を請求することはできるのか?

A. テキサス州東地区裁判所は、パテントトロールの聖地のような裁判所であり、特許権者に対して有利な判決を出す傾向が極めて顕著であることで有名な裁判所です。この裁判所では、特許侵害訴訟における原告(特許権者)の勝訴率が、80%にも及ぶと言われています。

この管轄について、他の管轄への移転を申立てることができ、一定の要件を満たせば、この申立てが認められることがあります。移転の申立てを認めるか否かは、以下の様な「私益」及び「公益」の要因の観点から検証を行う多因子テストによって判断されます。

「私益」の要因: (1) 証明情報源へのアクセスの容易さ、(2) 証人出廷を実現するための強制的な手続が可能か否か、(3) 証人が自発的に出廷するための費用、(4)事実審の容易化、迅速化、費用低減、その他のあらゆる実際的な事項。

「公益」の要因: (1) 裁判所における訴訟の集中による管理上の問題、(2) その地で決定される地方特有の争点に存在する利益、(3) 法廷地と事件に適用される法の親和性、(4) 抵触法または外国法の適用に関する不必要な問題の回避。

但し、上記の申立てが認められるのは、当事者双方がテキサス州東地区において一切事業活動していないなど、他の管轄に移さないことが職権の濫用であることが明らかであるような場合でないと難しいようです。

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PCT出願における、基礎出願に基づく引用による補充について

2007年4月1日に発効したPCT規則改正に伴い、EPOなどのPCT加盟国の多くでは、優先権主張を伴う国際出願について、優先権主張の基礎となる出願(基礎出願)には存在するが、国際出願には存在しない記載について、基礎出願から引用により補充すること(つまり、基礎出願に基づく補正)が認められています。しかしながら、従来、日本では、この「引用による補充」に関する規則の適応を留保していたため、国際出願に欠落した記載が発見されても、基礎出願に基づく補正はできませんでした。

今回、日本は前述した留保を撤回し、2012年10月1日以降に受理された国際出願について、「引用による補充」の手続を認めることになりました。また、日本を指定した国際出願についても、手続に不備がない限り、受理官庁が認めた引用による補充の効果を認めます。

引用による補充を行うための要件

1) 優先権主張を伴う国際出願であること。

2) 欠落した記載が基礎出願に完全に記載されていること。

3) 国際出願の願書に「引用により補充する旨の陳述」が記載されていること(現在の様式には記載されています)。 

引用による補充を行うことのできる期間 

自発的に提出する場合は、国際出願から2ヶ月以内

受理官庁から記載の補充を命じる書面が送付された場合は、命令の発送日から2ヶ月以内 

提出書類 

1) 欠落部分を記載した手続補充書

2) 国際出願の差し替え(または追加)のための用紙

3) 基礎出願の写し(提出済みの場合は省略できます)

4) 基礎出願の和訳文(基礎出願が日本語ではない場合のみ)

5) 意見書(必須ではありません)

引用による補充と国際出願日

引用による補充の手続が認められた場合、国際出願として提出した書類の受理日を国際出願日として認定し、補充された要素または部分は、国際出願として提出された書類に含まれていたものとみなされます。一方、引用による補充の手続が要件を満たしていないと認定された場合、引用による補充に係る書面が受理官庁に到達した日が国際出願日となります

補充の命令に応答しなかった場合

受理官庁から記載の補充を命じる書面が送付され、期限内に引例による補充の手続を行わなかった場合の取り扱いは以下の通りです。

国際出願の「要素」(即ち、明細書の全部又は請求の範囲の全部)の補完を求める命令に応答しなかった場合、国際出願として取り扱わない旨の通知が送付されます。

国際出願の「部分」(即ち、明細書の部分、請求の範囲の部分、図面の部分または全部)の補充を求める命令に応答しなかった場合、国際出願として提出した書類の受理日が国際出願日となりますが、欠落部分のある国際出願のままでその後の処理は行われます。

引用による補充の注意点

この制度の運用によって、基礎出願に記載されている図面の補充などが可能になりました。しかし、手続要件が満たされていないと判断された場合には、国際出願日が補充手続に係わる書類の受理日に変更されるというリスクもあるため、特に自発的に引用による補充を行う際には、十分な検討が必要です(例えば、欠落した請求項の補充の場合、引用による補充の手続以外に、明細書中の記載に基づく自発補正によって請求項を追加することも考えられます。)

また、引用による部分の補充が認められず、国際出願日が訂正された場合、出願人は国際出願日が訂正された旨の通知の日から1ヶ月以内に、補充の無視を請求するための欠落部分の補充の取下書を提出することができます。取下書の提出によって、補充の手続はなかったものとみなされ(よって出願時の明細書に戻りますが)、国際出願日は訂正されなかったものとみなされます(つまり、最初の国際出願日に戻ります)。

PCT:基礎出願に基づく引用による補充

2007年4月1日に発効したPCT規則改正に伴い、EPOなどのPCT加盟国の多くでは、優先権主張を伴う国際出願について、優先権主張の基礎となる出願(基礎出願)には存在するが、国際出願には存在しない記載について、基礎出願から引用により補充すること(つまり、基礎出願に基づく補正)が認められています。しかしながら、従来、日本では、この「引用による補充」に関する規則の適応を留保していたため、国際出願に欠落した記載が発見されても、基礎出願に基づく補正はできませんでした。

今回、日本は前述した留保を撤回し、2012年10月1日以降に受理された国際出願について、「引用による補充」の手続を認めることになりました。また、日本を指定した国際出願についても、手続に不備がない限り、受理官庁が認めた引用による補充の効果を認めます。

詳細につきましては、こちらをご覧下さい。


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