期限
知的財産権の管理
特許、実用新案、商標、意匠などに関する出願から登録にいたるまでの手続きに加え、権利化後の年金管理・更新手続きなども行います。
弊所では厳重な管理システムを構築しており、当然のことながら期限管理上のミスが発生したことはございませんので、安心してお任せ頂けます。
米国(6): 早期審査・審査促進(特許審査ハイウェイ(PPH)等)
米国には、多岐に亘る早期審査・審査促進に関する制度がありますが、それらの幾つかは非常にプラグマティックであり、お国柄が反映された興味深いものとなっています。例えば、優先審査(Prioritized Examination)は、$4,800という高額の費用を支払えば優先的に審査を行うというものであり、早期審査[MPEP708.02(a)に規定された審査促進プログラム(Accelerated Examination Program)]は、米国特許庁に代って出願人自らの責任で先行技術調査と特許性評価を行えば、早期に処理してもらえるというものです。また、2011年12月31日をもって終了してしまいましたが、未審査の出願を取下げることを条件に、別の出願1件について優先的に審査してもらえるという一種のバーター取引のような制度[Patent Application Exchange Program(出願交換プログラム)]も以前は存在しました。
具体的な要件や手続きについては詳細な説明がなされているサイトが多数存在しますので、ここでは各制度の特徴(メリット・デメリット)を中心に概要について説明致します。
[I] 優先審査(Prioritized Examination)制度
米国特許法改正法(Leahy-Smith America Invents Act: AIA)の発効とほぼ同時に導入された新しい制度です。
2011年9月26日以降に提出された出願について、この優先審査制度を利用すれば、平均で12ヶ月以内に最終的な審査結果(許可通知(Notice of Allowance)または最終拒絶(Final Rejection))が得られることになっています。(尚、この優先審査は"Track One"と称されておりますが、"Track Two"は通常審査であり、"Track Three"は通常より実体審査の開始を30ヵ月遅らせた審査のことを意味します。)
近年の米国特許庁における審査の遅延状況を考えると魅力的な制度では有りますが、この制度には以下のような制約やデメリットが有ります:
(1)優先審査の請求は、特許出願(パリ優先権主張出願、継続出願、分割出願を含む)若しくはRCEと同時に行うことが必要
(2)PCT経由の米国出願は対象外(但し、継続出願やRCEを行って、それと同時に優先審査を請求することは可能)
(3)費用が非常に高額である(米国特許庁に支払う申請料:Large entity $4800 、Small entity $2400)
(4)クレーム数に制限が有る(クレーム総数が30以下、且つ独立クレーム数が4以下)
(5)特許庁からのオフィスアクション(拒絶理由通知等)に対し、応答期間(3ヶ月)の延長を行った場合、優先審査の対象から外され、通常出願の取扱となる(費用の払い戻しは無し)
[II] 早期審査制度[MPEP708.02に規定された審査促進プログラム(Accelerated Examination Program)]
2006年8月25日以降の出願について、早期審査制度[審査促進プログラム(Accelerated Examination Program)]を利用することもできます。こちらも、優先審査(Prioritized Examination)の場合と同様に、平均して12ヶ月以内に最終的な審査結果(許可通知(Notice of Allowance)または最終拒絶(Final Rejection))が得られることになっております。
対象となる出願や申請のタイミングは、上記の優先審査とほぼ同様(但し、RCE提出と同時に請求することはできない)ですが、優先審査と比較して以下の様な相違点が有ります:
(1)特許庁に支払う申請料は$130と低額(優先審査では、$4,800(Large Entity))
(2)クレーム数の制約が、上記優先審査の場合より若干厳しい(クレーム総数が20以下且つ独立クレーム数が3以下)
(3)出願人は、先行技術調査を行い、出願と同時に、特許性を明らかにした早期審査補助文書(Accelerated Examination Support Document)を提出することが必要
(4)特許庁からのオフィスアクション(拒絶理由通知等)に対して30日以内に応答することが必要。期間延長は原則として認められず、期限を徒過すると出願放棄となる
特に(3)の出願人による先行技術調査と早期審査補助文書(Accelerated Examination Support Document)の作成に要する手間と費用、並びに提出した情報に漏れが合った際にInequitable Conduct(不衡平行為)によって権利行使不能(unenforceable)となるリスクの観点から、この手続きの制度の利用に対するネガティブな意見も多く聞かれます。(絶対に利用すべきではないと強く主張している米国の弁護士もいるようです。)
尚、この審査促進プログラムについて、以下の場合には、申請により(1)の費用が免除されます:
- 発明者の少なくとも1人が、病気又は65歳以上の場合
- 発明が、環境改善(environmental quality)、エネルギー資源の開発又は省エネルギー(development or conservation of energy resources)、対テロリズム(countering terrorism)に関するものの場合
[注:しばしば誤解されている方がいらっしゃるようですので、念のために指摘しておきますと、MPEP 708.02のサブセクションI-II及びV-XII(製造の予定や侵害されている等の事情や組み換えDNA、超伝導など特殊発明に関する要件)は、2006年8月25日以前の申請に関する要件であり、現時点での請求には適用されません。]
上記のことから分かる通り、優先審査及び早期審査は、コスト、手間、リスクの観点から、気軽に利用できる制度とは言い難いものとなっています。
日本において既に所望の権利範囲で特許許可されているならば、日本の審査結果に基づく審査促進を可能にするPPHが、最適なオプションの1つとして検討に値すると思われます。
[III] 特許審査ハイウェイ(PPH)
日米間では、平成20年1月4日から、日米特許審査ハイウェイ(PPH)を本格実施しています。データ的には、日本-米国PPHの適用を受けた場合の許可率は約95%と言われております。(http://www.vennershipley.co.uk/show-news-id-202.html)
[III-1] PPHの概要
PPHとは、他国の審査結果又はPCTの調査成果に基づいて審査促進(早期審査)をするものです。これに関して、PPHを利用すると、日本で特許査定になったら、その結果をもって直ちに米国でも特許が取得出来るとお考えの方が多いようですが、そうではありません。あくまで日本の審査結果を利用して審査促進するというものです。結果的に、特許成立する確率は高いですが、例えば米国特許庁(USPTO)は、他国の審査結果に従うことを要求されたり推奨されたりするものではありません。
弊所で、USPTOにPPHを申請した件では、USPTOが日本では引かれなかった新たな先行技術文献を引いてきたり、日本で既に考慮された先行技術文献に基づいた新たな拒絶理由を提示してきたことも有りました。そのような件でも、結果的には通常審査よりも早期に特許成立致しましたが、USPTOが、他国の審査結果に従い直ちに特許許可するとは限らないということは念頭に入れておく必要があります。
PPHの申請に関する情報は、日本特許庁のホームページに公開されています。(http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/highway_pilot_program.htm)
[III-2] 日本国特許庁の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ(PPH)の適用をうけるための条件
PPHの適用をうけるための条件を簡単に纏めますと以下の通りです。
(1) 日本出願と米国出願の対応関係について:
PPHの適用が可能な日本出願と米国出願の対応関係は大きく分けて以下の3通りになります。
- 米国出願と日本出願のどちらかが他方の優先権出願である(米国出願又は日本出願がPCT経由の出願である場合を含む)。
- 米国、日本以外の第三国における出願が、米国出願と日本出願の共通の優先権出願である(米国出願又は米国出願と日本出願の両方がPCT経由の出願である場合を含む)。
- 米国出願と日本出願とが、共通のPCT出願から派生したものである(ここでPCT出願は、優先権主張していないものや米国及び日本以外の国における出願に基づく優先権を主張しているものも含む)。
尚、米国出願が優先権出願である場合、この出願は仮出願であっても構いません。
また、PCT経由の米国出願で、国際調査機関(JPO又はUSPTO)又は国際予備審査機関(JPO又はUSPTO)が、PCT出願の請求項の特許性に関して肯定的な見解を示した場合には、それに基づいてPPH(PCT-PPH試行プログラム)を申請することも可能です。より具体的には、PCT出願における少なくとも一つの請求項が新規性、進歩性、そして産業上の利用可能性を有することを示す、国際調査機関(JPO又はUSPTO)又は国際予備審査機関(JPO又はUSPTO)の見解書若しくは国際予備審査機関(JPO又はUSPTO)の国際予備審査報告に基づいてPPHを申請することが可能です。詳細につきましては、日本特許庁のホームページに提供されている以下の資料をご参考下さい: http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/pdf/patent_highway/after_uspto_japanese_kai.pdf
このPCT-PPH試行プログラムは、2012年1月28 日に終了する予定であり、現時点では試行期間延長や本格実施についての情報はありません。
(2) JPOによる特許性判断:
日本出願の少なくとも一つの請求項が、JPOによって特許可能と判断されていなければなりません。
(3) 日本出願の請求項と米国出願の請求項の対応関係:
PPHに基づく審査を申請する米国出願のすべての請求項が、対応する日本出願の特許可能と判断された一又は複数の請求項と十分に対応しているか、十分に対応するように補正されていることが必要です。尚、米国該出願の請求項の範囲が日本出願の請求項の範囲より狭い場合も、請求項は「十分に対応」するとみなされます。
(4) PPH申請可能な時期:
PPHに基づく審査を申請する米国出願は、USPTOによる審査が開始されていない必要があります。
尚、親出願において認められたPPHプログラムへの参加申出及び特別な地位は、継続出願には引き継がれません。継続出願も独自に上記(1)~(4)の要件を満たす必要があります。
[III-3] PPH申請時に提出する書類
PPHの申請書と共にJPOによる審査に関する以下の書類を提出する必要があります。
(1) 許可になった請求項及びその英訳文
(2) 日本出願の「特許査定」の直前の日本出願の審査通知(すなわち、最新の「拒絶理由通知書」)の写と、その英訳文(最初の審査通知が特許査定である場合には、特許査定の翻訳文は不要で、最初の審査通知が特許査定であった旨を説明する)
(3) JPOの審査通知においてJPOの審査官により引用された文献[情報開示申告書(IDS)として提出]
(4) 日本出願と米国出願の請求項の対応表
タグ:
特許 米国 PCT 出願 クレーム 発明 日本 補正 PPH 新規性 提出 必要 進歩性 RCE 米国特許 費用 上記 以下 翻訳 審査 拒絶 or patent 先行技術 判断 PCT 可能 弊所 請求項 手続 出願人 分割出願 特許出願 比較 利用 審査官 主張 開示 適用 申請 USPTO データ 作成 日本出願 要求 対象 an 範囲 対応 説明 JPO 期限 可能性 Patent 請求 要件 制度 プログラム 優先権 メリット 出来 検討 制限 特許庁 早期審査 規定 同様 公開 通常 情報 ハイウェイ 考慮 理由 延長 具体的 存在 Final 応答 特徴 拒絶理由 時期 特許審査 翻訳文 国際調査機関 AIA 米国出願 月以内 審査通知 支払 期間 発明者 先行技術文献 EP 文献 Examination at 見解書 技術 最初 特許性 パリ 引用 継続出願 拒絶理由通知 非常 意味 rce 特許法 特許査定 調査 実施 十分 after PPH Notice 改正 提供 以前 優先権主張 new 結果 デメリット 権利 不要 観点 EP 試行 導入 30 概要 MPEP 通知 状況 近年 製造 仮出願 許可 詳細 コスト 分割 Rejection 審査結果 行為 複数 entity 日本特許庁 www 書類 英訳文 英訳 権利行使 米国特許庁 II 以上 平成 参考 侵害 条件 開始 取得 最終的 国際調査 以外 優先審査 経由 優先権出願 pdf 法改正 under 同時 指摘 日以降 III 審査促進 提示 見解 all 放棄 制約 相違 評価 特殊 処理 Conduct 誤解 Inequitable 予定 Act 国際予備審査機関 権利範囲 不衡平行為 国内 地位 特許可能 Invents America 高額 取下 JPO Application IDS go 独立 米国特許法 応答期間 Prior エネルギー 他国 タイ 許可通知 20 program 確率 継続 so 実体審査 jpo 早期 ex high 試行期間 両方 拒絶理由通知書 国際予備審査報告 サイト 時点 特許許可 対応関係 先行技術調査 re 国際予備審査 国内出願 成立 torikumi 簡単 参考下 申請可能 日本国特許庁 リスク タイミング uspto アクション 意見 htm 関係 energy 現時点 ページ 申請時 出願放棄 日米 優先 特許成立 徒過 事情 Allowance quality Ex 対象外 ホームページ Program Accelerated 発効 相違点 弁護士 所望 申請書 共通 日以内 日以前 念頭 プロ 資料 13 本出願 原則 文書 免除 オプション 調査機関 米国特許法改正 終了 Entity 中心 肯定的 最新 一種 開発 結果的 情報開示 行使 pilot highway 日本特許 Leahy 進歩 平均 特許性判断 html 権利行使不能 Document japan 促進 親出願 am 日本以外 絶対 Smith Track japanese 参加 反映 責任 ku 手間 気軽 情報開示申告書 派生 米国及 最終 最終拒絶 訳文 unenforceable 期間延長 以内 対応表 優先的 一又 オフィスアクション 他方 多数存在 利用可能性 取扱 取得出来 直前 ratio 改善 Large 推奨 早期審査制度 産業上 独自 how 以降 development 米国出願又 優先審査制度 change 見解書若 able One 通常審査 許可率 Small Prioritized 調査成果 説明致 審査結果又 本格実施 査定 show self up 報告 国際 改正法 利用可能 請求項及 通常出願 新規 遅延 MPEP708 JP 項及 拒絶理由通知等 魅力 魅力的 02 取引 第三国 予備審査 予備審査報告 機関 先行 特許成立致 出願又 申請料 特別 早期審査補助文書 最適 日米間 日米特許審査 日本国 総数 肯定 バーター 若干厳 未審査 Support Re XII low ml force ed ip All resources way
欧州(3): 調査報告(サーチレポート)に対する応答と自発補正
欧州サーチレポートに対する応答に対する応答義務
2010年4月1日に施行された欧州特許条約(EPC)の施行規則改定により、欧州サーチレポートに対する応答(正式にはサーチレポートに添付されている調査見解書に対する応答)が義務化されました。 但し、応答の義務があるのは、欧州サーチレポートが否定的な内容である場合(特許性の瑕疵の指摘や補正の必要性の指摘などを含んでいる場合)にのみ応答が必要となります。期限内に応答しない場合には、出願取り下げとなってしまいます。肯定的な内容である場合は、応答の必要はありません。
応答の対象となるレポートや応答の期限は、出願の方式により異なります。日本国内の出願人による欧州出願の場合、応答の対象となるレポートや応答の期限は以下のようになります。
国際調査機関/ 国際予備審査機関 | 応答すべきサーチレポート*1 | 応答期限 | |
Case 1: 非PCT経由の欧州出願 |
--- | EESR (ESR+調査見解書 | EESRの公開から6ヶ月以内*2 |
Case 2: 日本語でPCT出願 → 欧州移行 |
JPO | EESR (SESR+調査見解書) | EESR公開の約1ヶ月後に発行される応答要求の通知(規則70(2)、70a(2))から6ヶ月以内 |
Case 3: 英語でPCT出願 → 欧州移行 (国際調査機関及び国際予備審査機関として、JPO又はEPOのいずれかを選択できる) |
JPOの場合(Case 3-1)
|
EESR (SESR+調査見解書) | EESR公開の約1ヶ月後に発行される応答要求の通知(規則70(2)、70a(2))から6ヶ月以内 |
EPOの場合(Case 3-2) | ISR/IPER | ISRの公開又は欧州移行の遅い方から約2ヶ月後にEPOより発行される応答要求の通知(規則161(1))から6ヶ月以内 |
*注:
1) ESR: European Search Report, 欧州調査報告
SESR: Supplementary European Search Report, 補充欧州調査報告
EESR: Extended European Search Report, 拡張欧州調査報告 (ESR又はSESR+調査見解書)
ISR: International Search Report, 国際調査報告
IPER: International Preliminary Examination Report, 国際予備審査報告
2) 実際には、EESRの発行前に審査請求がされていた場合には、EESR発行後に出される審査請求の確認要求通知に対する回答期限ということになるが、この回答期限は実務上はESSR発行後6ヶ月であるため、結局は、審査請求の有無によらずEERS発行後6ヶ月の期限ということになる。
自発補正
2010年4月1日の規則改正により自発補正が可能な時期が制限されましたが、自発補正の期限は上記のサーチレポートに対する応答期限と同様になります。
上記Case 2とCase 3-1(JPOが国際調査機関及び国際予備審査機関であるPCT出願)の場合には、SESR(補充欧州調査報告)よりも前に発行される規則161(2)の通知から1ヶ月以内にも自発補正を行うことが出来ます。
タグ:
特許 PCT 出願 日本 欧州 補正 必要 EPO 上記 以下 審査 or サーチレポート 可能 英語 EPC 出願人 移行 欧州特許 要求 対象 an JPO 期限 EESR 請求 出来 制限 選択 同様 公開 応答 日本語 実際 時期 国際調査機関 月以内 自発補正 EP Examination 規則 at 見解書 特許性 調査 補充 改正 内容 ISR 拡張 EP 国際調査報告 審査請求 通知 欧州出願 epo 否定 発行 Inter 応答期限 施行 サーチ IP 国際調査 European 経由 EPO 指摘 確認 見解 国際予備審査機関 国内 Report JPO 回答 必要性 ESR 実務 施行規則 条約 結局 Case ex 国際予備審査報告 欧州特許条約 義務 re 国際予備審査 end SESR national 応答義務 International 70a Ex Search 有無 日本国内 添付 ep 実務上 回答期限 否定的 IPE 正式 調査機関 発行後 肯定的 調査見解書 Supplementary 補充欧州調査報告 IPER am 規則改正 施行規則改定 レポート Preliminary 以内 欧州調査報告 欧州移行 改定 自発 応答要求 ESSR 発行前 ended Extended 161 16 able 調査報告 拡張欧州調査報告 up 報告 期限内 国際 JP 予備審査 予備審査報告 機関 公開又 瑕疵 国際調査機関及 日本国 肯定 Re ed
欧州(4): 分割出願の期限
2010年4月1日に施行された欧州特許条約(EPC)の施行規則改定により、分割出願が可能な時期について、出願が係属中であるということに加えて以下の制約が設けられました。(*注:この付加的な制約は、2014年4月1日以降、撤廃され、出願がEPOに係属中であれば分割出願可能という従前のルールに戻ることとなりました。)
(i) 自発的な分割出願を行う場合
自発的な分割出願は、最先のEPC出願の審査部による最初の審査通知から24ヶ月以内に行う必要があります。
ここで「最先のEPC出願の審査部による最初の審査通知」とは、分割出願でない最初のEP出願における最初の審査通知のことを指します。
また、この「最初の審査通知」は、あくまでEPO審査部による実体審査においての最初の審査通知であり、サーチレポートではありません。
(ii) 発明の単一性違反の拒絶を受け、審査の対象外となった発明について分割出願する場合
自発的でない分割出願、即ち、発明の単一性の要件を満たさないという理由で拒絶されたために行う分割出願も、そのような単一性の拒絶理由を含む最初の審査通知から24ヶ月以内に行うことが必要になります。
尚、単一性に関する拒絶理由を含まない審査通知が出された後に、単一性に関する拒絶理由を含む審査通知を受け取った場合には、起算日がリセットされ、単一性に関する拒絶理由通知の日が起算日となります。
欧州(7): 異議申立手続き
欧州特許出願が許可になった後、第三者は特許異議申立(Opposition)をすることが可能です。
この異議申立手続きの結論は、”特許取消し”か”特許維持”か(revocation or maintenance of the European patent)ということになります。統計的には、異議申立を受けた件の約1/3が特許取り消しになっております。
この異議申立手続きで特許取消しとなった場合、当然、EPC経由での加盟国への登録は出来ません。
また、欧州特許庁(EPO)での異議申立手続きにおいて特許維持との結論を得ても、登録先の国で特許無効訴訟を提起されることがあり得ます。そのような場合は、各国の国内法に従い、特許の有効・無効が争われ、EPOの異議決定とは矛盾する結論となることもあり得ます。
日本にもかつては異議申立制度が存在しましたが、2003年に廃止されてしまいました。
現在、日本や米国にも第三者が特許の無効を訴える制度はあります。[*日本では特許無効審判、米国では当事者系(Inter partes)再審査制度がある。米国では、2013年より、欧州の異議申立制度に近い付与後異議申立制度を導入する予定。] 日本や米国においては、少なくとも特許の存続期間中であればいつでも特許無効を訴えることができますが、欧州特許に対する異議申立てには「欧州特許を付与する旨の公告後9月以内」という期限が設定されております。この期限が過ぎてしまうと、欧州特許が登録された各指定国において個別に無効訴訟などを起こさなければならなくなるので、多くの企業はライバル会社の欧州特許出願で特許成立すると障害となる恐れがあるものについては、経緯を監視して、欧州特許庁に許可されたら異議を申立てるということをしております。
特許異議申立期間
欧州特許掲載公報発行の日から9ヶ月の異議申立期間内に異議申立書(申請書のみならず異議理由も含む)を提出し、異議申立手数料[745ユーロ(10万円弱)]を納付します。
特許異議申立申請の有資格者
特許権者以外の誰でも異議申立をすることができ、対象の特許との利害関係などを明らかにする必要はありません。異議申立人が、企業名等を伏せるために、ダミー(Straw man)名義での異議申立することも可能です。
特許異議申立理由
以下の理由に基づいて、異議申立することができます。
- 特許性(新規性、進歩性、主題適格性、産業上の利用可能性)の欠如。
- 実施可能要件違反(当業者が実施可能な程度に発明が記載されていない)。
- 特許が、出願当初の明細書に開示されていなかった主題を含む(新規事項の導入)。
不明瞭性や単一性の欠如は異議理由としては採用されません。
異議部(Opposition Division)の構成
通常、EPO異議部は、3人の審査官で構成される合議体であり、この内2人は、審査に関与していなかったことが要求されます。そして、この審査に関与しなかった2人の審査官の内の一方が議長(Chairman)を務めます。
異議手続きの流れ
多くの場合、当事者により口頭審理が請求されますので、口頭審理が請求された場合の典型的な手続きの流れを示します。
1. 異議申立書を特許権者に通知
2. 異議申立ての方式審査(修正可能な方式上の不備が有る場合には、異議申立人は修正を促され、修正不能な方式上の不備が有る場合には、異議申立ては却下される)
3. 異議申立に対する特許権者の答弁書の提出期限(通常、4ヶ月)を知らせる通知
4. 特許権者の答弁書提出(提出しなくても、そのことにより直ちに特許取消しにはならない)
5. その後、通常、何度か異議申立人と特許権者による提出物の応酬があり、異議部が適切と判断した時期に口頭審理の召喚状を当事者に送付(多くの場合、異議部の予備見解が添付される。また、口頭審理前の書面提出の期限(通常、口頭審理の2ヶ月前)が設定される)
6. 特許権者及び/又は異議申立人による、口頭審理前の準備書面提出
7. 口頭審理が行われ、その場で異議決定の言い渡し
8. 口頭審理の1~2ヶ月後に書面での異議決定送付
Main Request(主請求)とAuxiliary Request(副請求)
特許権者は、複数セットのクレームを提出し、それをEPOに検討させることができます。
より具体的には、第一希望のクレームセットを"Main Request"(主請求)として提出し、第二希望以降のクレームセットを"Auxiliary Request"(副請求)として提出することができます。
Main Requestとしては、1セットのクレームしか提出することができませんが、Auxiliary Requestは複数提出することができます。Auxiliary Requestを複数提出する場合には、Auxiliary Request 1, Auxiliary Request 2.....の様に番号付けし、EPOは番号の若い方から優先的に検討します。
上記した通り、補正による新規事項も異議理由になりますので、補正が新規事項を導入するものであると判断されると、それが理由で特許取消しになってしまいますので、補正には注意が必要です。
また、異議理由に無関係な補正を行うと、例えそれが従属クレームに関するものであっても、補正全体が却下される可能性があります(Rule 80 EPC)。
口頭審理(Oral Proceedings)
口頭審理の請求
異議申立手続きでは、通常、当事者の一方又は両方が口頭審理(Oral Proceedings)を要求します。
口頭審理の召喚状(Summons)と異議部の予備見解
通常、異議申立から1.5年~3年位に口頭審理への召喚状を受けます。そして、この召喚状には、異議部の予備的見解が添付されていることが有ります。
通常、口頭審理の前に期限を切って(通常は口頭審理の2ヶ月前)、新たな書面(証拠、議論、補正クレーム(主請求、副請求)など)の提出を認めています。
その日以後の提出物に関しては、所謂”late-file”とみなされ、EPOはこれを考慮する義務を有しませんが、証拠の関連性などによっては考慮される場合が有ります。
口頭審理の実施
所用時間: EPOにおいて、通常は終日行われますが、簡単な案件は、半日で終わることもあります。また、逆に異議申立人が複数の場合など、数日にわたって行われることもあります。
出席者: 口頭審理には、前もってEPOに知らせておけば、基本的には誰でも出席することは出来ますが、発言を許される人は制限されます。例えば、出願人企業の知的財産部の方なども出席できますが、確実に発言権を確保するためには事前に技術の専門家(Technical Expert)であることをEPOに通知しておくことが望ましいです。
言語: 口頭審理は原則的に特許明細書が作成された言語で行われますますが、要請があればそれ以外の公用語への同時通訳が許されます。
補正: 口頭審理中に、補正の機会が与えられることがあります。多くの場合、口頭審理中に休憩時間が設けられ、この休憩時間中に、代理人が特許権者と相談しながら補正クレームを作成するということがよく行われます。
異議決定: 異議決定は、殆どの場合、口頭審理の最後に言い渡され、書面での決定書は通常1~2ヶ月後に送達されます。
審判(Appeal)
異議部の決定に不服の当事者は、審判請求書を決定通知の日から2ヶ月以内、審判理由補充書を書面による決定書通知の日から4ヶ月以内に提出できます。これらの期間は延長不可です。
尚、井上&アソシエイツは、欧州の異議申立て手続きに関しては、受ける方も攻撃する方も経験豊富です。これまでに数多くの異議申立て事件に携わり、理由書、答弁書、弁駁書などを作成して参りました。通常、欧州代理人は、弊所で作成した原稿をほぼそのまま採用して提出します。そして、守る方、攻撃する方のいずれも好成績を収めております。お客様から具体的な指示を頂かずに、基本的な方針決定から具体的な証拠準備も含めて弊所で全て行ってしまうというようなことも屡々です。欧州での異議申立て手続の対応に苦慮されているというようなことがございましたら、是非、経験と実績が豊富な井上&アソシエイツにご相談下さい。
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欧州(9): 早期審査・審査促進(特許審査ハイウェイ(PPH)等)
欧州出願について、早期審査を受けるための手続きとして、PACE (Program for accelerated prosecution of European patent applications)があります。また、欧州特許庁と相互の特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway, PPH)利用について合意している国における出願が欧州出願よりも先に許可になった場合には、その情報に基づいてPPHを利用することにより早期審査を受けることが出来ます。
以下、PACEとPPHの要件について簡潔に説明し、最後に両手続きを比較します。
PACE (Program for accelerated prosecution of European patent applications)
EPOのPACEプログラムでは、EPC出願に対するサーチ(先行技術調査)と審査手続のいずれか又は両方を促進することができます。
PACEは、EPO手数料は不要で、単に申請するだけで利用できます(要するに、早期審査を希望する理由の説明などは不要です)。
また、申請する時期についても特に制限は無く、例えば既にEPOから1回以上の審査通知を受けた後でも申請する事ができます。
PACEプログラムの利用を認めるか否かはEPOの自由裁量で決定され、EPO審査部の作業負荷上の問題がなければ、PACEプログラム利用が認められます。
弊所で、これまでにPACEプログラムの利用申請をした件で、申請が却下されたことは無く、また実際に申請後速やかに審査通知が発行されました。利用者が増加すれば、料金を含めた運用が変更される可能性がありますが、現時点では利用者は全出願の1割に満たないという状況であり、そのため無料且つほぼ無条件で利用が認められるという状態でも充分な審査促進効果が達成されているということのようです。尚、利用者が少ない理由については、手続きや効果に問題があるということではなく、欧州特許に関しては、むしろ出願人が早い審査を望まないケースの方が多いからであると言われています。
サーチ(調査)段階におけるPACE
優先権主張していないEP出願の場合、PACEの申請を行わずとも、通常、原則的に出願日から約6ヶ月以内にサーチレポートが発行されます。
優先権主張したEP出願の場合には、PACEの申請により、EPOは可及的速やかにサーチレポートを発行することになっています。
審査段階におけるPACE
審査請求が適正になされていれば、基本的にいつでもPACEによる早期審査を請求することができます。
EPOは、PACE申請受理後、3ヶ月以内に最初の審査報告書を発行するよう努めます。但し、審査通知に対して応答期間の延長を行わずに応答することが要求され、もし延長してしまうと、通常審査に戻されてしまいます。
特許審査ハイウェイ(PPH)
2010年1月29日から開始されていた日本国特許庁(JPO)-欧州特許庁(EPO)間の特許審査ハイウェイ(PPH)試行プログラムは2012年1月28日に一旦終了しましたが、要件を改定した上で、PPH施行プログラムが継続されます。この施行期間は、2012年1月29日から2014年1月28日までの2年間です。
また、以下の説明は、JPO-EPO間のPPH施行プログラムに関してですが、日本出願に基づく優先権を主張して(場合によってはPCT経由で)、米国と欧州の両方に出願した場合、米国の方が先に特許になるということが多いと思います。そのような場合、米国特許庁(USPTO)-EPO間のPPH施行プログラムを利用することも出来ます。
但し、日本や米国でクレームを補正して許可になった場合には、欧州では補正の許容条件が厳しいことに留意が必要です。PPHを利用する場合でも、他国で認められた補正が、無条件で欧州でも認められるわけではありません。あくまで、補正が欧州の規則に違反していないことが必要です。
特に米国での審査結果を利用する米国特許庁(USPTO)-EPO間のPPH施行プログラムの場合、比較的補正に寛容な米国で許容された補正が、欧州では認められないということも十分に考えられます。例えば、数値範囲は、米国であれば基本的に明細書の記載されている数値(実施例における特定の数値を含む)を適宜選択してクレームにおける数値範囲の上限と下限とすることが認められますが、欧州では明確に記載されている数値範囲のみにしか補正することが出来ません。また、米国では図面を根拠とした補正にも比較的寛容ですが、欧州では、図面にしか根拠が無い補正は認められない傾向があります。
1. PPHの概要
PPHとは、他国の審査結果又はPCTの調査成果に基づいて審査促進(早期審査)をするものです。これに関して、PPHを利用すると、日本で特許査定になったら、その結果をもって直ちに米国でも特許が取得出来るとお考えの方が多いようですが、そうではありません。あくまで日本の審査結果を利用して審査促進するというものです。結果的に、特許成立する確率は高いですが、例えば欧州特許庁(EPO)は、他国の審査結果に従うことを要求されたり推奨されたりするものではありません。
2. 日本国特許庁の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ(PPH)の適用をうけるための条件
PPHの適用をうけるための条件を簡単に纏めますと以下の通りです。
1) 日本出願と欧州出願の対応関係について:
PPHの適用が可能な日本出願と欧州出願の対応関係は大きく分けて以下の3通りになります。
- 欧州出願と日本出願のどちらかが他方の優先権出願である(欧州出願又は日本出願がPCT経由の出願である場合を含む)。
- 欧州、日本以外の第三国における出願が、欧州出願と日本出願の共通の優先権出願である(欧州出願又は欧州出願と日本出願の両方がPCT経由の出願である場合を含む)。
- 欧州出願と日本出願とが、共通のPCT出願から派生したものである(ここでPCT出願は、優先権主張していないものも含む)。
また、PCT経由の欧州出願で、国際調査機関(JPO又はEPO)又は国際予備審査機関(JPO又はEPO)が、PCT出願の請求項の特許性に関して肯定的な見解を示した場合には、それに基づいてPPH(PCT-PPH試行プログラム)を申請することも可能です(PCT-PPH:三極特許庁間におけるPCT成果物に基づく特許審査ハイウェイ試行プログラム)。こちらも、当初、2012年1月28日で終了の予定でしたが、要件を修正し、PCT-PPHの期限を2014年1月28日まで延長されることになりました。より具体的には、PCT出願における少なくとも一つの請求項が新規性、進歩性、そして産業上の利用可能性を有することを示す、国際調査機関(JPO又はEPO)又は国際予備審査機関(JPO又はEPO)の見解書若しくは国際予備審査機関(JPO又はEPO)の国際予備審査報告に基づいてPPHを申請することが可能です。詳細につきましては、日本特許庁のホームページに提供されている以下の資料をご参考下さい:
http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/pph_pct/pdf/pct/pct_epo_apply_japanese.pdf
日本出願の少なくとも一つの請求項が、JPOによって特許可能と判断されていなければなりません。
3) 日本出願の請求項と欧州出願の請求項の対応関係:
PPHに基づく審査を申請する欧州出願のすべての請求項が、対応する日本出願の特許可能と判断された一又は複数の請求項と十分に対応しているか、十分に対応するように補正されていることが必要です。尚、欧州該出願の請求項の範囲が日本出願の請求項の範囲より狭い場合も、請求項は「十分に対応」するとみなされます。
4) PPH申請可能な時期:
PPHに基づく審査を申請する欧州出願は、EPOによる審査が開始されていない必要があります。
3. PPH申請時に提出する書類
PPHの申請書と共にJPOによる審査に関する以下の書類を提出する必要があります。
1) 日本で許可になったクレームと欧州出願のクレームの対応関係に関する宣誓書(Declaration)、
2) 日本特許庁が発行した全ての審査通知の写とその翻訳文(欧州特許庁公用語である英語、フランス語又はドイツ語のいずれか)、
3) 許可になった請求項及びその翻訳文、及び
4) 日本特許庁に引用された非特許文献全ての写
PPHの申請が認められると、上記のPACEプログラムに従って処理されます。
PACEとPPHとの比較
日本や米国で既に特許成立している場合に、PACEとPPHのどちらを選択すべきかは、一概には言えず、状況に応じて判断されることとなります。
手間と費用
PACEもPPHも、EPO手数料は不要です。しかし、PACEは単に簡単な申請書類を提出するだけであるのに対して、PPHは、他国の審査結果に関する種々の資料等の提出が必要になるため、代理人手数料が高くなります。どの程度高くなるかは、資料のボリューム次第です。
従って、手間と費用の観点からは、PACEの方が有利であると言えます。
早期権利化
PPHも結局、申請が認められればPACEプログラムに従って処理されるため、最初の審査通知が出るまでの期間は、PPHでもPACEでも大きな差はないと思われます。
PPHの利用は、日本や米国で、出願人の所望の権利範囲で特許許可されたということが前提になると思いますが、PPHは、他国の審査結果に関する資料が提供されるため、審査手続きの迅速化の効果は期待できます。
特に、かなり近い技術を開示した先行技術文献があり、日本や米国において、その先行技術との違いを明確にする為に補正を行い、更に効果の違いを明確にする為に実験データを補完して許可を得たというような場合には、PPHによる早期権利化が達成される可能性は高いと考えられます。
但し、上記したように欧州は補正の制限が厳しいため、日本や米国において補正クレームで許可されたような場合に、その補正が欧州で許容されるようなものでないならばPACEを選択する方が賢明ということになります。
また、例えばEPOのサーチレポートで、カテゴリーXの文献(単独で新規性の障害となる文献)が引かれているのに、日本では、そのような文献が考慮されずに特許許可されたような場合には、EPOの審査官は、日本の審査結果はあまり参考にしないでしょうから、余計な費用をかけてPPHを利用するよりも、PACEを利用するほうが賢明であると言えるでしょう。
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