基礎

井上&アソシエイツにおける対策

弊所は英文特許明細書の質には絶対的な自信が有ります。弊所では、単なる翻訳者は一切使用せずに、高い英語力を有する特許技術者自身が、発明を完全に理解した上で外国特許出願用英文明細書を作成します。

一般の特許事務所の場合、通常、外国特許出願用の明細書は、翻訳者が作成します。翻訳者は、特許や技術に関する知識が十分で無く且つノルマにも追わ れているため、不明確な記載や不正確な記載を含む英文明細書となってしまいがちです。このことが原因となり、英語の明細書から中国語に翻訳する場合に、二 重翻訳となって誤訳が発生する確率が高くなるといわれることもあります。

これに対して、弊所では、例えばPCT出願の中国移行の場合、PCT出願明細書を作成した特許技術者本人が中心となり、外国用英文明細書を作成しま す。この際に発明の内容を完全に理解した特許技術者が英語への変換を行うため、PCT出願時に残ってしまった不明確な記載も、英文では明確にします。尚、 この際、英文は極力平易且つ明瞭であり誤解を招かないものとするよう細心の注意を払います。従って、日本基礎出願 → PCT出願 → 指定国移行と進むにつれ、明細書の質が向上し、外国代理人に送付する英文明細書は高度に洗練されたものとなります。

従って、弊所でPCT出願の中国国内移行を行う場合、通常、上記のようにして作成した英文明細書を中国語に翻訳するよう指示し、PCT和文明細書は 参考程度に使用するように指示致します。そのようなやり方で、中国代理人から内容に関する質問などは殆ど来ませんし、中国特許庁から記載不備の拒絶を受け ることも殆どありません。


弊所が作成した英文明細書の質は、欧米の代理人にも高く評価されており、優れた中国語明細書の作成に大いに貢献できるものと考えております。

課題1:出願明細書の質と出願コストのバランス

イニシャルコスト(出願時の費用)は一番分かり易いコストですので、これを低減しようとしがちですが、イニシャルコストの低減に力を入れすぎると、見かけ上は一時的にコストダウンが達成されるかも知れませんが、中・長期的な観点からは余計な経費が必要になったり、損失につながることが少なくありません。

特許が知財戦略における重要なツールであるならば、出願時は費用よりも明細書の質を優先すべきであると考えます。

質の高い明細書は、以下のようなメリットをもたらします。

 ① 中間費用(拒絶に対する対応など権利化までのコスト)の低減
 ② 特許不成立又は無効となるリスクの低下
 ③ 意図した範囲の特許保護
 ④ 意図した範囲の技術に関するライセンス料の回収

従って、出願明細書の質を向上させることは、長い目で見ればコスト削減や損失の防止にもつながるはずです。

 

課題1に対する弊所の対応

弊所の考えは上記の通り出願時はコストよりも明細書の質を重視すべきということですので、弊所が明細書の質を向上させるため心がけている点を列挙します。

外国出願の基礎となる最初の日本出願については、通常、明細書の質はある程度犠牲にしても早期に提出することが重要視されます。従って、外国出願する際には、明細書を徹底的に検討し直す必要が有るはずです。基本的なチェックポイントとして、例えば、以下のようなものが挙げられます。

開示要件について


(1)関連技術に関する周知・公知事項を把握した上で実施可能要件が満たされているか検討
(2)適切な用語が使用されているか(用語が不適切であるが故に、権利化や権利行使に支障を来たすことが少なくない)
(3)クレームされた発明が、明細書に充分サポートされているか

新規性・進歩性について

(4)再度の先行技術調査
(5)外国特許庁による審査結果の予想
(6)上記(5)に基づいて、対応案を提示(実施例・比較例の追加や審査段階において許容範囲内での減縮を可能にする記載の追加など)

また、発明が属する技術分野、クレームの形式(物、方法、プロダクト-バイ-プロセスなど)、発明の種類(用途発明、選択発明、特殊パラメータ発明など)及び出願する国による要求の違いも充分に考慮に入れた上で、外国出願用明細書を作成します。

いずれも当たり前のことではありますが、これらを適切に行うには豊富な経験が必要です。

井上&アソシエイツの担当者は、上記した通り、米国・欧州の特許庁による拒絶に対する回答書なども数百件とこなしてきた経験者ですので、外国出願用明細書に何が要求されるのか知り尽くしております。

質の高い明細書を作成することにかける熱意及び技術については、他の特許事務所に劣ることはありません。料金も標準的な範囲内であると思います。(以前は、お客様から「質は高いが料金も高い」と言われましたが、近年の不況により値下げし、現在は大手の特許事務所よりは安い位であると思います。しかし、書類の質については一切妥協致しません。)

弊所では、将来、特許成立するか否かを無視して、ただ出願するということは絶対に致しません。あらゆる状況を想定して、出願人の許容範囲で且つ確実に特許にできると確信した明細書で出願致します。

弊所は少数精鋭で、このような実務が可能であるスタッフのみが外国特許出願案件を担当致します。

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中国(5): 早期審査・審査促進(特許審査ハイウェイ(PPH)等)

優先審査制度

特定の重要産業分野の発明に関する特許出願の優先審査を可能にする「発明特許出願優先審査管理弁法」が、2012年8月1日より施行されます。

しかし、この制度は、適用が特定の重要産業分野における「重要技術」に制限されていることに加えて、中国を第一国とする特許出願しか利用できません(即ち、日本出願に基づくパリ優先権を主張して中国に出願する場合や、日本で出願したPCT経由で中国に出願する場合には利用できません)。技術の重要性がどのように評価されるのかは定かではありませんが、日本の出願人が広く利用できる制度とは言えないようです。

尚、優先審査の対象となる技術分野は、省エネルギー又は環境保護、新世代通信技術、バイオテクノロジー、ハイエンド設備製造、新エネルギー、新素材、新エネルギー自動車、低炭素技術、資源節約などグリーン開発に寄与する技術などとなっております。

実用新案(実用新型専利)の利用(特許との同時出願)

中国の実用新案(実用新型専利)制度は、権利期間10年、方法は保護対象外、無審査登録などの点では、日本の実用新案制度と類似しています。無審査のため、特許(発明専利)が権利化まで2年半~3年半程度要するのに対して、実用新案は約6ヶ月程度で権利化できます。

中国では、日本と異なり、同一の発明に関して、特許出願と実用新案出願を同時に提出することが正式に認められています。そして、特許出願が許可になり登録されたら、実用新案権を放棄するということが許されます。従って、最終的には特許権獲得を目指す場合でも、先ず実用新案で早期に権利を取得しておくということが可能です。

日本でも、実用新案を特許出願に変更することはできますが、その時点で、実用新案権は放棄しなければなりません。従って、特許出願が許可にならなかったら、全く権利がなくなってしまいます。

また、日本では実用新案に基づく権利行使には、特許庁より技術評価書(ここでは、特許出願の審査と同様に、新規性・進歩性が評価されるが、要求される進歩性は特許と比較して低い)を入手することが必要ですが、中国では不要です。

中国において特許出願と実用新案出願を同時に提出し、権利化を図る際には、以下の要件を満たす必要があります(中国専利法9条、及び専利法実施細則41条):

(1) 同じ出願人が同日に特許出願と実用新案出願を行う。

(2) 特許と実用新案の両方の出願において重複して出願している旨を明記する。

(3) 特許が登録となった際に、実用新案権を放棄する。

従って、中国における早期権利化を望む場合、特許と実用新案を同時出願するということは、有効なオプションの1つとして検討に値すると考えられます。

但し、国際出願(PCT出願)の場合、中国へ移行する際に実用新案を選択することは可能ですが、特許と実用新案を両方出願することはできません。従って、特許と実用新案を同時出願するのであれば、中国を第一国として出願するか、最初の日本出願から1年以内にパリ優先権を主張して出願する必要があります。

特許審査ハイウェイ(PPH)

日本国特許庁(JPO)と中国国家知識産権局(SIPO)は、特許審査ハイウェイ試行プログラムを2011年11月1日より実施しており、2012年10月31日に一旦終了しますが、更に1年間この試行期間が延長されました。延長後の施行期間は、2013年10月31日に終了する予定です。この試行プログラムでは、PCT出願の国際段階成果物に基づく申請も可能です。

尚、2012年11月1日からの新たな施行においては、それ以前の申請手続きと比較して、必要提出書類に関する制約が若干緩和されましたが、それ以外の点については実質的な違いは有りません。

上記した通り、中国には、PPH以外にも優先審査制度が有りますが、これが利用できるのは非常に限られた場合のみとなっていますので、中国における早期権利化を目指す場合には、PPHは非常に有用なオプションとなります。

[I] PPHの概要

PPHとは、他国の審査結果又はPCTの調査成果に基づいて審査促進(早期審査)をするものです。これに関して、PPHを利用すると、日本で特許査定になったら、その結果をもって直ちに中国でも特許が取得出来るとお考えの方が多いようですが、そうではありません。あくまで日本の審査結果を利用して審査促進するというものです。日本特許庁に特許性を認められている訳ですから、PPH参加により結果的に中国でも特許成立する確立は高くなる筈ですが、例えば中国国家知識産権局は、他国の審査結果に従うことを要求されたり推奨されたりするものではありません。

PPHの申請に関する情報は、日本特許庁のホームページに公開されています。
http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/japan_china_highway.htm

尚、日中PPHには、日本国特許庁(JPO)の国内出願の審査結果を利用するものとJPOのPCT国際段階成果物を利用するものが有ります。JPOの国内出願の審査結果を利用するPPHの場合、日米PPHと比較すると、適用可能な条件に制約が大きく、特に申請可能な時期が非常に限られておりますので注意が必要です。

[II] 日本国特許庁(JPO)の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ(PPH)

II-1.JPOの国内出願の審査結果を利用したPPH(以下「JPN-PPH」)の適用をうけるための条件:

日米PPHと比較すると、中国でPPHの適用をための条件にはかなり制約が有ります。PPHの適用を受けるための条件を簡単に纏めますと以下の通りです。

(II-1a) 日本出願と中国出願の対応関係について
JPN-PPHの適用が可能な日本出願と中国出願の対応関係は大きく分けて以下の2通りになります。

 - 日本出願が中国出願の優先権出願である(中国出願がPCT経由の出願である場合を含む)。
 - 中国出願と日本出願とが、共通のPCT出願から派生したものである(ここでPCT出願は、優先権主張していないか日本出願に基づく優先権を主張しているPCT出願)。

日本以外の国(中国を含む)における出願が、中国出願の優先権出願である場合にはJPOの審査結果に基づくJPN-PPHの適用は受けられません。(中国出願に基づく優先権主張をした日本出願であって、JPOが審査を開始する前に中国出願が先に特許になった場合には、SIPOの中国国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイをJPOに対して申請することができます。)

更に後述するように申請可能な時期についてもかなり制約が有ります。

(II-1b) JPOによる特許性判断
日本出願の少なくとも一つの請求項が、JPOによって特許可能と判断されていなければなりません。即ち、特許査定を受けていなくても、少なくとも一つの請求項が特許可能と認められていれば、それに基づいてPPHの申請が可能です。例えば、JPOに日本出願の請求項1は拒絶されたが、それに従属する請求項2については特許可能(拒絶理由を発見しない)と明示された拒絶理由通知や拒絶査定を受けたような場合にも、中国出願の請求項1を該日本出願の請求項2に対応するように補正してPPHの適用を受けることが出来ます。

(II-1c) 日本出願の請求項と中国出願の請求項の対応関係
PPHに基づく早期審査を申請する中国出願のすべての請求項が、対応する日本出願の特許可能と判断された一又は複数の請求項と十分に対応しているか、十分に対応するように補正されていることが必要です。尚、中国出願の請求項の範囲が日本出願の請求項の範囲より狭い場合も、請求項は「十分に対応」するとみなされます。

補正する場合は、中国においては、自発補正の時期が審査請求時又は実体審査移行の通知の受領から3か月以内に制限されていることに注意が必要です。

(II-1d) PPH申請可能な時期
JPN-PPHに基づく審査を申請する中国出願は、以下の時期的条件を満たしている必要があります。

 - 当該中国出願が公開されていること。
 - 当該中国出願が実体審査段階に移行していること。(SIPOから実体審査移行の通知を受領していることが必要。ただし、例外として、審査請求と同時であればPPHの申請が可能。)
 - 当該中国出願に関しSIPOにおいて、PPH申請時に審査の着手がされていないこと。

II-2.PPH申請時に提出する書類

PPHの申請書と共にJPOによる審査に関する以下の書類を提出する必要があります。

 (a) 対応する日本出願に対してJPOから出された(JPOにおける特許性の実体審査に関連する)すべての審査通知の写とその翻訳文(中国語又は英語)(注:これらの書類については、2012年11月1日以降は、JPOのサイトからオンラインで入手可能な場合には提出不要)
 (b) 対応する日本出願の特許可能と判断されたすべての請求項の写とその翻訳文(中国語又は英語)
 (c) JPOの審査通知において審査官により引用された文献
 (d) 中国出願のすべての請求項と対応する日本出願の特許可能と判断された請求項との関係を示す請求項対応表

[III]  JPOのPCT国際段階成果物を利用したPPH

III-1. JPOのPCT国際段階成果物を利用したPPH(以下「PCT-PPH」)の適用をうけるための条件

(III-1a) PCT-PPHの根拠となり得るPCT出願
PCT出願の国際段階における国際調査機関(JPO)が作成した見解書、国際予備審査機関(JPO)が作成した見解書及び国際予備審査報告のうち、最新に発行されたものにおいて特許性(新規性・進歩性・産業上利用可能性のいずれも)「有り」と示された請求項が少なくとも1つ存在することが要求されます。

日本でPCT出願する場合、英文明細書で出願した場合は、国際調査機関、国際予備審査機関としてEPOを指定することも出来ますが、その場合、中国出願についてPCT-PPHを利用することは出来ません。

また、PCT-PPH申請の基礎となる最新国際成果物の第VIII欄に何らかの意見(請求の範囲、明細書及び図面の明瞭性又は請求の範囲の明細書による十分な裏付についての意見)が記載されている場合、当該出願はPCT-PPH試行プログラムへの参加が認められません。

優先権出願が中国出願であってもPCT受理官庁がJPOであって国際調査機関(ISA)、国際予備審査機関(IPEA)がJPOであれば、PCT-PPHを利用することが出来ます。

(III-1b) PCT出願の請求項と中国出願の請求項の対応関係、並びにPPH申請可能な時期
上記JPN-PPHの場合と同様です。

III-2. PPH申請時に提出する書類

PPHの申請書と共にPCT出願に関する以下の書類を提出する必要があります。
 (a) 特許性有りとの判断が記載された最新国際成果物の写とその翻訳文(中国語又は英語)
 (b) PCT出願の最新国際成果物で特許性有りと示された請求項の写とその翻訳文(中国語又は英語)
 (c) PCT出願の最新国際成果物で引用された文献の写
 (d) 中国出願の全ての請求項と、特許性有りと示された請求項とが十分に対応していることを示す請求項対応表

(注: 上記(a)及び(b)の書類については、中国出願が、対応PCT出願の国内段階である場合及びPATENTSCOPEにおいてこれらが公開されている場合には提出不要。)

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米国(1)

Q. 米国における"utility patent"とはどのようなものか?

A. 米国特許には、実用特許(utility patent)、意匠特許(design patent)、植物特許(plant patent)の3種類があり、実用特許(utility patent)は、日本などにおける通常の特許に対応します。米国における"utility patent"を、日本における「実用新案」に対応するものと誤解されることが多いようですが、実用新案を表す英語は"utility model"です。

Q. 米国における「仮出願」とはどのようなものか?

A. 文字通り、優先権を確保するという目的のためだけの「仮の出願」(provisional application)です。通常の出願と異なり、要求事項が非常に少ないのが特徴です。主な特徴は以下の通りです。

- 出願言語は問われず日本語など英語以外の言語でも出願可。

- 通常の出願に要求されるような明細書の体裁は不要(クレームも不要、手書き図面もOK)1)

- 仮出願に対して審査が行われることは無く、出願日から12カ月以内に仮出願に基づく優先権主張をして通常の特許出願(non-provisional application)をしないと、その仮出願は自動的に放棄される。

- 通常の特許出願に移行した場合に限り、仮出願の出願日が、米国特許法第102条(a)項(2)号(旧法の102条(e)に対応)における「先願」としての基準日、即ち、後願排除の有効日となる2)

- 日本や欧州など殆どの国において、米国の仮出願に基づくパリ条約優先権主張が認められる3)

- 出願料は250ドル(約2万円)。

2011年の法改正(Leahy-Smith America Invents Act,AIA)によって米国は先発明主義から先願主義に移行しますが、それに伴って仮出願制度の重要性が増すであろうと言われております。

注:

1) 但し、仮出願の明細書に、発明が理解でき且つ実施可能な程度に記載されていなければなりません。即ち、記載要件と実施可能要件(明細書の記載に関する特許法112条第一パラグラフ)を満たす書類を提出する必要があります。といっても、上記のように、仮出願には通常の出願に要求されるような明細書の体裁は不要ですので、何らかの形で発明が十分に開示されていれば、仮出願に基づく優先権は通常認められます。例えば、仮出願において、説明を書き加えた図面を提出し、それを優先権の根拠とすることもできます。

また、英語以外の言語で仮出願した場合には、仮出願もしくは本出願において、仮出願の翻訳文を提出しなければ、仮出願の出願日への遡及を享受することができません。

2) 要するに、適正に本出願に移行した場合、仮出願は、その出願日以降に出願された第三者の出願に対して、102条の新規性及び/又は103条の自明性に関する先行技術となり得ます(Giacomini判決を参照;また、上記判決で言及されるAlexander Milburn Co. v Davis-Bournonville Co.を参照)。

なお、米国特許法第102条(a)項(2)号における「先願」としての基準日、即ち、後願排除の有効日については、こちらで詳しく述べましたように、2011年の改正法(AIA)により、旧法の102条(e)における所謂「ヒルマードクトリン(Hilmer Doctrine)」が廃止されました。これにより、米国以外の第一国出願の出願日も後願排除目的に有効な出願日(effective filing date)として認められることになりましたので、パリ条約に基づく優先日が後願排除の有効日とみなされることになり、また、PCT出願は(その出願言語に関わらず)、優先権主張していれば優先日、優先権主張していなければ国際出願日が、後願排除の有効日とみなされることになります。

3) 米国の仮出願に基づくパリ優先権を主張して、米国外に出願することも可能です。しかし、その様な場合、米国外の出願が、米国の仮出願にサポートされているか否か(優先権主張の有効性が認められるか否か)の判断は、その国の法律・規則に基づいて判断されます。この点、特に欧州は、欧州出願の発明が、基礎出願明細書から直接的且つ一義的に導き出せるものである場合にのみ優先権主張の有効性が認められますので、米国では優先権の有効性が認められるようなケースでも、欧州では認められないということが起こりえます。例えば、米国においては、上記の通り、図面に基づくサポートにも寛容であり、多くの場合認められますが、欧州においては、図面のみをサポートとして主張しても、認められない傾向があります。

Q. 出願明細書には必ず実施例を記載する必要があるのか

A. 当業者が過度の実験なしに発明を実施できるように記載されていれば、明細書に実施例を記載する必要は有りません[In re Borkowski, 422 F.2d 904, 908, 164 USPQ 642, 645 (CCPA 1970)]。

Q. 日本における特許出願の場合は、請求項が発明の詳細な説明によりサポートされていなければならないと規定されている(特許法第36条6項1号)が、米国の場合も同様の規定があるか

A. 米国の審査基準(MPEP)にも、日本特許法第36条6項1号の規定に相当する規定が有ります。即ち、MPEP § 608.01(g)及び608.01(o)には以下の規定が有ります。

608.01(g)   Detailed Description of Invention

A detailed description of the invention and drawings follows the general statement of invention and brief description of the drawings. ・・・・・ Every feature specified in the claims must be illustrated, but there should be no superfluous illustrations. 

608.01(o)   Basis for Claim Terminology in Description

The meaning of every term used in any of the claims should be apparent from the descriptive portion of the specification with clear disclosure as to its import; and in mechanical cases, it should be identified in the descriptive portion of the specification by reference to the drawing, designating the part or parts therein to which the term applies. ・・・・・The specification should be objected to if it does not provide proper antecedent basis for the claims by using form paragraph7.44.

上記608.01(g)においては、クレームに記載された全ての特徴について、明細書本文に説明がなければならないと規定されています。但し、当業者には自明の周知事項まで明細書に説明する必要はありません。

上記608.01(o)には、クレームについて明細書本文にも適切な開示が無い場合には、拒絶される旨規定されています。

従って、米国においても日本と同様に、クレームが明細書本文の記載にサポートされていることが要求されると考えます。

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日本

Q. 特許出願したが、特許許可を得られる見込みが無いと判断した。何らかの形で権利化したいのだが、今から実用新案出願に変更することは可能か?

A. 実用新案法第十条の規定により、特許出願を実用新案登録出願に変更することが可能です。ただし、拒絶査定の送達日(「特許出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日」)から3ヶ月経過後又はその特許出願日から9年6ヶ月経過後は、実用新案出願への変更は出来ません。

尚、参考までに、実用新案出願は、特許出願のような審査が行われることなく、自動的に登録になります。但し、実用新案は、権利期間や権利行使の方法が特許の場合と異なります。

特許の存続期間は、出願から20年ですが、実用新案の存続期間は、日本では10年です。

また、上記致しましたように、基本的に無審査で登録となりますが、権利行使する(他者を権利侵害で訴える)ためには、特許庁より技術評価書を入手する必要があります。この技術評価書においては、特許出願の審査と同様に、新規性・進歩性が判断されますが、新規性は特許庁に認められており、進歩性の判断基準は特許の場合と比較して低いものとなります(要するに、特許の場合と比較して、高い評価が得られやすい)。

Q. 日本出願に基づく優先権を主張して国際出願する際に、自動的に全加盟国を指定したことになるが、日本での権利化を目指す場合、優先権主張した日本出願とPCTの日本移行出願の両方を共存させることが出来るのか?

A. 優先権主張した日本出願に関しては、PCT出願時に日本を指定国から除外するか、若しくは優先日から15ヶ月以内に所定の手続きを取らないと、みなし取り下げとなってしまいます。具体的には、以下のいずれかの方法により、優先権主張した日本出願のみなし取下げを回避することが出来ます。

(1) 国際出願の願書において日本国の指定を除外する。

(2) 優先日から15 ヵ月を経過する以前に、PCT 規則90 の2.2 に従い、「指定国の指定取下書」を提出して、日本の指定を取り下げる。

(3) 優先日から15 ヵ月を経過する以前に、「上申書」(日本における出願人全員の授権がある委任状を添付)を提出して、国際段階で国内優先権主張を取り下げる。

Q. 通常、審査請求から最初の審査通知が発行されるまでの期間はどれ位か?また、早期審査を請求するとどれ位この期間が短縮されるのか?

A. 審査請求から最初の審査通知が発行されるまでの期間については、2010年における平均は、28~29ヶ月でした。早期審査を行うと、平均1.7ヶ月に短縮されます。

但し、早期審査が認められるためには、以下(1)~(5)のいずれかに該当する出願であることが必要です。

(1) 実施関連出願[出願人自身又は出願人から実施許諾を受けた者が、発明を実施している特許出願(「早期審査に関する事情説明書」の提出日から2年以内に実施予定の場合と特許法施行令第三条に定める処分(農薬取締法における登録、薬事法における承認)を受けるために必要な手続(委託圃場試験依頼書、治験計画届書の提出等)を行っている場合を含む。)]

(2) 外国関連出願[出願人がその発明について、日本国特許庁以外の特許庁又は政府間機関へも出願している特許出願(国際出願を含む)であるもの]

(3) 中小企業、個人、大学、公的研究機関などの出願

(4) グリーン関連出願

(5) 震災復興支援関連出願

出願後速やかに審査請求と早期審査の申請を行い、その結果に基づいて、外国出願(PCT出願を含む)をするか否かの決定の判断材料にすることも出来ます。 また、国際出願(PCT出願)の基礎とした日本出願又はPCT出願からの日本移行出願に関して、早期審査制度を利用して速やかに特許査定を得、その情報に基づいてPCT出願に基づく米国出願や韓国出願について特許審査ハイウェイプログラム(PPH)の適用申請をし、早期権利化を図る出願人も増えています。

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PCT出願料金及び外国出願用英文明細書作成料金

(前提: 和文明細書50ページ(英文65ページ)、優先権主張1件)

費用項目 井上手数料(円) 単価 備考
PCT 出願 基本手数料
250,000
優先権主張手数料
13,000
2件目以降  3,000/件
優先権証明書入手提出
15,000
2件目以降  3,000/件
和文明細書検討料
30,000
優先権の基礎となる日本出願の
明細書があるという前提
タイプ代【和文】
(50ページ)
75,000
1,500/枚
小計
383,000
中間 指令決定報告
(国際調査報告)
15,000
指令決定報告
(予備審査報告)
15,000
答弁書及び
非公式コメントなど
50,000
5,000/枚
頁数10枚として計算
小計
80,000
合計
463,000
指定国移行用
(外国出願用)
英文明細書作成
出願 明細書英訳料(円)
(英文65ページ)
650,000~
812,500
10,000~
12,500/枚
40~50/w 
(難易度や緊急度
などによる)
タイプ代【英文】(円)
(65+50=115ページ)
230,000
2,000/枚


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