反応

二次的考慮事項(Secondary Consideration)の主張:商業的成功(Commercial Success)

商業的成功(Commercial Success)

進歩性(非自明性)欠如の拒絶に対する対応のアプローチの一つとして、商業的成功(Commercial Success)の主張についてこちらで説明いたしましたが、今回は、その具体例を1つ挙げたいと思います。

化学反応用の触媒の発明においては、「得られる化合物の収率において、本発明の触媒と従来技術の触媒との間に僅か1%前後ほどの差しかないが、この一見して「僅かな差」でも商業的には非常に重要であり、実は「高収率」と評価すべきものであり、したがって本発明には進歩性がある」という状況があり得ます。そして、この場合、審査官から、収率において一見して「僅かな差」しかないことを指摘されて進歩性を否定される場合があります。そのような拒絶理由を受けた場合には、収率の「僅かな」向上でも商業的には重要であることを審査官に分かりやすく説明する必要があります。

参考までに、上記のような拒絶理由に対して、実際に弊所で作成・提出した意見書において述べた議論の例を以下にご紹介します。これは韓国特許庁による拒絶に対して行った主張ですが、この主張が認められて特許成立致しました。また、対応の米国特許出願も同様の理由で拒絶を受けましたが、以下の主張内容を、37 C.F.R. § 1.132に基づく宣誓供述書の形式で提出した結果、特許性を認められました。(なお、以下の例では、発明の効果として「高収率」と「工業的使用に適した高い耐摩耗強度」を主張したものですが、以下では、詳細説明としては、「高収率」に関するものだけを示します。)

「上記のように、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造においては、目的生成物の収率が高く、また工業的使用に適した高い耐摩耗強度を有する触媒の開発が従来望まれており、本発明はそれを達成したものであるが、ここでいう「高収率」や「工業的使用に適した高い耐摩耗強度」の具体的な意味について以下に説明する。

まず、収率は、少しでも向上することが望まれる。その理由について以下に説明する。

石油化学工業においては、取扱量(即ち原料物質の量および目的生成物の量)が莫大である。従って反応工程の合理化や生産コストの低減などを目的として、少しでも高い収率を有する触媒が求められる。特に本願発明の触媒を用いる、アクリロニトリルやメタクリロニトリルの製造用の大規模(商業的規模)プラントにおけるプロセスでは、収率が例えば僅か0.1%増加した場合でも、1つのプラントで得られる生成物の生産量は年間数百トン規模で増加する。従って、収率などの触媒性能はたとえ僅かな向上であっても、石化資源の有効活用や製造の合理化に大きく寄与できる。以下、この点について具体的に説明する。

一般に、日本国内における通常のアクリロニトリル製造プラントの年間生産量は1プラント当たり約10万~30万トンである。例えば年間生産規模が約10万トンのプラントの場合、本願明細書の比較例3のようにアクリロニトリルの収率が84.0%であるとすると、原料として必要なプロピレンの量は下記式によって求めることができる。

(プロピレン量):100,000(トン/年)/53/0.84 42 = 94,300(トン/年) (1) (上記式(1)中、「53」はアクリロニトリルの分子量であり、「42」はプロピレンの分子量である。)

これに対し、本願明細書の実施例2のようにアクリロニトリルの収率を84.2%とする(即ち比較例3におけるよりも0.2%向上する)と、原料として必要なプロピレンの量は下記式によって求めることができる。

(プロピレン量):100,000(トン/年)/53/0.842 42 = 94,100(トン/年) (2) (上記式(2)中、「53」及び「42」は上記式(1)におけるのと同じ)

従って、年間生産量10万トンのアクリロニトリル製造プラントにおいては、収率が僅か0.2%向上することにより、原料プロピレンの量を、94,300(トン/年)-94,100(トン/年)= 約200(トン/年)も削減することが可能になる。これは大変な量であり、これをコストに換算すると、その削減効果は、プロピレン取引価格(極東アジア市況2006年10月実績)が(約14万円/トン;ドル換算で$1,185/トン)なので(14万円/トン) 200(トン/年)=2,800万円/年(ドル換算で$237,000/年)にもなる。(注:上記の「約14万円」は、「$1,185」から、円ドル為替レート「118.5円/$」で円換算した値(1,185×118.5=140,422.5円)から端数422.5を切り捨てた値である。後述のアクリロニトリル取引価格についても同様である。)(なお、原料には他にアンモニアもあり、それも節約できるが、簡便のためここでは考慮に入れない。)

さらに、これが例えば本願明細書の比較例5のようにアクリロニトリル収率が82.5%である場合と、本願明細書の実施例4のようにアクリロニトリル収率が84.5%である場合とに当てはめて比較すると、その収率の差は2.0%なので、200(トン/年) 10 =2,000(トン/年)の原料プロピレン量削減となり、従って、実施例4の触媒を使用する場合は、比較例5の触媒を使用する場合と比較して、2,800万円/年(ドル換算で$237,000/年) 10 = 28,000万円(=2.8億円)/年(ドル換算で$2,370,000/年)ものコスト削減になる。

別な見方をすれば、触媒を用いた場合の目的生成物の収率を少しでも高めることにより、使用する原料の量を変えずに、アクリロニトリルを増産できることになる。例えば、94,300(トン/年)の原料プロピレンからは、上記式(1)のように収率が84.0%のとき、10万トン/年のアクリロニトリルが製造される。一方、収率が84.2%に向上(0.2%向上)した場合、同じ94,300(トン/年)の原料プロピレンからは、100,200(トン/年)のアクリロニトリルが製造できる。この値は、下記式(3)によって求められる。

(アクリロニトリル量):94,300(トン/年)/42 0.842 53 = 100,200(トン/年)(3) (上記式(3)中、「42」はプロピレンの分子量であり、「53」はアクリロニトリルの分子量である。)

即ち、0.2%の収率向上に伴う生産増分は100,200(トン/年)-100,000(トン/年)= 200(トン/年)である。これを売上高ベースでみた場合、現在のアクリロニトリル取引価格(極東アジア市況20XX年X月実績)を約19.3万円/トン(ドル換算で$1,630/トン)とすると、19.3万円/トン($1,630/トン) 200(トン/年)=3,860万円/年($326,000/年)の売上高増となる。そして、収率が2.0%向上した場合は、上記売上高増分の10倍、即ち3.86億円/年($3,260,000/年)の売上高増となる。

さらに、原料プロピレンの量を削減することは、反応に伴う温室ガス(CO2)の排出量削減にもつながり、環境保護の面でも貢献できる。約200(トン/年)の原料プロピレンを削減することにより、約 630(トン/年)の温室ガス(全てCO2になると仮定した場合)の排出を抑制できる。上記の排出削減量(約 630(トン/年))は、下記式(4)によって求められる。

(温室ガス量): (200(トン/年)/42) 44 3 = 630(トン/年) (4) (上記式(4)中、「42」はプロピレンの分子量であり、「44」はCO2の分子量、そして「3」はプロピレン1分子から生成するCO2の分子数である。)

上記から明らかなように、取扱規模の莫大なアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造においては、僅か0.1%や0.2%の収率の向上が、数百トン規模以上の原料プロピレン使用量の削減または目的生成物生産量の増加、あるいは数千万円(または数十万ドル)規模以上の原料コスト削減または売上高の増加に貢献する。このように、僅かでも収率が向上することは工業的生産においは極めて大きな商業的成功(commercial success)につながるものであり、殊に最近のような原油市場の置かれている厳しい現状に鑑みれば、この効果は一層重要なものとなる。(また、環境保護にも大いに貢献する。)

このようなわけで、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造においては、目的生成物の収率はたとえ0.1%でも向上することが切望されている。」

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「後知恵」(hind-sight)による拒絶に対処しやすい明細書作成について

審査基準における「後知恵」

現在の日本の審査基準には「後知恵」の防止に関する規定は存在していません。しかし、1993年に審査基準に導入されて以来、2000年の改訂前までの審査基準には「その他の留意事項」として「後知恵」の防止規定が存在しました。2000年の改訂で削除されたその規定は以下の通りです:

「本願の明細書から得た知識を前提として事後的に分析すると、当業者が容易に想到できたように見える傾向があるので注意を要する。例えば、原因の解明に基づく発明であって、いったん原因が解明されれば解決が容易な発明の進歩性を分析するときは、原因の解明も含めて技術水準に基づいて検討する。解決手段を考えることが当業者にとって容易であるという理由だけでは進歩性を否定することができない。」)

一方、米国の審査基準(MPEP)(MANUAL OF PATENT EXAMINING PROCEDURE)では、「2142: Legal Concept of Prima Facie Obviousness [R-6]」に「However, impermissible hindsight must be avoided and the legal conclusion must be reached on the basis of the facts gleaned from the prior art.」(...許容できない後知恵は防止しなければならず、法律的結論は先行技術から収集した事実に基づいて下さなければならない)と記載され、「後知恵」の防止に関する規定が存在します。

なお、米国の審査基準では、「後知恵」を防止する観点から、prima facie obviousness(一応の自明性)が成立する要件には以下の2項目が含まれています:
(1)TSMテスト(teaching, suggestion, or motivation test)(「2143.01: Suggestion or Motivation To Modify the References [R-6]」などを参照)と
(2)reasonable expectation of success(成功するという合理的な期待)(「2143.02: Reasonable Expectation of Success Is Required [R-6]」などを参照)。

また、EPOの審査基準(Guidelines for Examination in the EPO)では、「C_IV_11.9.2: "ex post facto" analysis; surprising technical advantage」と「C_IV_11.7.3: Could-would approach」に「事後分析("ex post facto" analysis)」(後知恵)の防止に関する規定が存在します。〕

「後知恵」に関する考察

上記のような一種の「戒め」の存在からも分かる通り、国を問わず、特許庁の審査官にとって最大のタブーの一つが、いわゆる「後知恵」(hindsight)に基づく拒絶を出してしまうことです。

「後知恵」は、進歩性(非自明性)の判断において問題になることが多く、「後知恵」による進歩性欠如の拒絶の説明で、しばしば引き合いに出されるのが有名な「コロンブスの卵」です。要するに、以前には誰にも成されていなかった発明に対して、最初に発明したことの価値を無視して、後から結果が容易に見えることのみに基づいて評価してしまうのが、「後知恵」による拒絶です。

しかし、考えてみれば、審査官が審査に先立って先行技術文献をサーチする際には、当然に本発明の内容を頭に入れてそれを基準にしてサーチするわけですのですので、そこには必然的に「後知恵」のバイアスがかかります。そして、そのようにしてサーチしてきた先行技術文献に対する発明の特許性を評価する段に至っては、その「後知恵」に基づく色眼鏡を外して、サーチを行った審査官自身にとってではなく、発明がなされた当時の「当業者」にとって発明が容易であったということを、充分な根拠をもって「理論付け」することが出来るか否かを検討します。

一般人には、この「色眼鏡」を外すことが難しいのですが、特許庁の審査官は必ず「色眼鏡」を外して発明と先行技術の関係を評価することが要求されます。

そして、その「理論付け」の根拠が一応、一見して充分なものであれば、「後知恵」はないことになり、もしもその「理論付け」の根拠が全く無い若しくは明らかに不充分であれば「後知恵」による拒絶ということになります(ただし、欧米・日本・韓国などの先進国では後者の状況は通常はごく稀にしか生じません)。

しかし、実際は、「理論付け」が充分かどうか自体についての純粋に客観的な判断基準はないわけですので、多くの場合の、ある意味では、拒絶理由にはほとんど必然的に「後知恵」的な要素が存在し得るとも言えます。この点に関連して、米国Albany Law Schoolの教授が、陪審を想定して一般市民400人を対象に、hingsightの影響についての調査を行ったところ、事前に本発明の知識を有していた人が、その発明を自明と判断する確率は、本発明の予備知識がなかった人の場合と比較して約2倍であり、TSMテストやGrahamテストに従って、判断させても結果はそれほど変わらなかったそうです。

また、発明の技術は出願時からの時間経過ともに陳腐化しますので、一般に、「後知恵」による判断が生じるリスクは出願時から経時的に増加してゆく傾向があると考えられています。つまり、出願時には「とても意外な知見」に基づくとの印象を与える発明であっても、審査の時点、さらには裁判の時点というように、時間の経過にともない、「意外な知見」との印象はどんどん減少していき、したがって、「後知恵」による判断の生じるリスクが高まると考えられています。

このように、ある意味で、拒絶理由にはほとんど必然的に「後知恵」的な要素が存在し得ると考えられ、更に、「後知恵」による判断が生じるリスクは出願時から経時的に増大してゆく傾向があると考えられます。

そして、一旦、拒絶理由を受けてしまえば、如何にその理由が「後知恵」に基づくように見えたとしても、単に「後知恵」のみを主張して拒絶が撤回されることは殆ど無いと言って良く、結局は、出願人が発明の新規性・進歩性(非自明性)を明確にすることが必要になります。

要するに、如何に「後知恵」に基づくと思われる拒絶であっても、拒絶を受けてから「後知恵だ」と主張しても「後の祭り」であり、予め「後知恵」に基づく拒絶を受けないよう、明細書作成の段階で準備をしておくことが肝心であると考えます。

「後知恵」に基づく拒絶を未然に防止するための明細書

一般的な考え方

「後知恵」に基づく拒絶を未然に防止するための明細書とは、一言で言ってしまえば、先行技術に対する新規性・進歩性(非自明性)が明確に示されている明細書ということになります。

要するに、格別な手段が有るわけではないのですが、特に一見して先行技術との構成上の違いが小さい発明は、「後知恵」による進歩性欠如(自明性)の拒絶を受け易いので、発明の構成の困難性(先行技術同士若しくは先行技術と周知技術を組み合わせることに関する困難性)や予想外の効果などについて強調しておくとよいでしょう。

実際には、この点の対応が充分でない明細書を目にすることが良くあります。特に発明者の方は、発明が属する特定の技術分野の専門家ですから、自分では構成上の小さな改変にも困難性を伴うことを良く認識しており、それを当然のことと考えてしまい、専門外の第三者にとっては容易に見えるかもしれないという認識が無い場合が少なくありません。この様なことが原因となって、進歩性(非自明性)が明確に読み取れない明細書となってしまうのだと思います。

したがって、これは、弁理士や特許技術者の仕事の範疇とも言えますが、明細書を書く際に、発明が属する特定分野の専門知識が無い第三者にとって、発明がどのように解釈されるかを客観的にイメージすることが非常に重要です。客観的な視点からの配慮を欠いた明細書での出願は、後知恵に基づく拒絶を受けやすいと言えます。

具体的には、出願明細書において、本発明に最も近い先行技術から本発明に到達することについての困難性や予想外の効果が得られることが直感的に理解できるようなポイントを、発明の課題と解決手段の項目などで、要領よく説明しておけば、「後知恵」による拒絶を未然に防止できることがあります。また、ポイントさえ巧みに述べてあれば、拒絶を受けても、それをベースにして、意見書で大幅に詳しい説明にすることが容易になります。

特に効果の話となると、米国を除く多くの国において、出願時の明細書に教示も示唆もされていないような効果について、出願後の審査の段階で主張しても考慮されませんので、出願時に何らかの記載を含めることが重要です。

具体例と注意事項

たとえば、公知技術として、ある種のポリマーAの重合反応の特徴に着目して設計されたポリマーA製造用の重合反応装置があり、本発明は、その公知の重合反応装置を他のポリマーBの製造に適用した製造方法に関する発明である、という場合を例に取ります。

一般的には、化学分野など結果の予測が難しい分野においては、反応の原料が異なれば、適する反応方式や条件も異なるという一般的常識がありますが、審査官が、上記の重合反応装置をポリマーBの製造に適用することの容易性について何ら具体的な根拠を示さずに、「本発明で成功している」という結果を念頭において、公知の重合反応装置を他のポリマーに適用することなど当たり前などという理由で拒絶をしたならば、この拒絶は「後知恵」に基づくものと言えるかも知れません。

しかし、具体的な証拠の提示は無くとも、恐らく審査官は「異なる重合反応であっても、殆どの場合に、同じ反応装置が利用できることは周知」などを指摘してくるでしょう。それに対して、単に審査官の主張は、「後知恵」に基づく不当なものだと主張しても、通常、それだけでは審査官の判断が覆ることはなく、結局は、組み合わせの困難性や予想外の効果を明らかにすることが必要になると思います。

従って、「後知恵」の拒絶を防止し、またそのような拒絶を受けても効率的に拒絶を撤回させるためには、やはり出願明細書において、発明の構成の困難性や効果の意外性などを分かり易く説明しておくということが最も有効です。

上記の例では、一見して、先行技術におけるポリマーAを、単にポリマーBに置換しただけという第一印象を受けると思います。そこで、進歩性を明らかにする為に特に有効な手段としては、例えば、以下のような点を明細書で強調しておくことが考えられます:

(1) 当業者が、ポリマーA製造用の重合反応装置をポリマーBの製造に適用することを阻害する要因(いわゆる「阻害要因」または「阻害事由」)(英語では"teach away")の存在があったことを明らかにする。

(2) 上記(1)を明らかにした上で、先行技術と同じ又は類似の効果(例えば、選択率や転化率の向上など)を証明する。

(3)先行技術には教示も示唆もされていなかったような効果を証明する。(例えば、先行技術において達成された効果が選択率と転化率の向上のみである時に、本発明ではポリマーBの重合で問題視されていた有毒な副生物の生成抑制が達成されることを証明するなど。)

上記(1)の阻害要因については、例えば、上記のポリマーAの重合に関する先行技術文献において、ポリマーAの重合反応の平衡定数の低さに着目して、上記の特定の重合装置を設計し、一定範囲以上の平衡定数を示す重合反応に、この重合装置を利用すると不都合が起きるという趣旨のことが記載されていたとしましょう。そこで、ポリマーBの重合反応の平衡定数が、上記先行技術に記載されている範囲より高ければ、阻害要因があったと言うことが出来ると思います。

上記(2)については、ポリマーAに関する上記先行技術において、上記の重合装置の使用により、選択率や転化率が向上し、本発明における効果も同様であり、且つ阻害要因も無かったということであれば、本発明の効果が意外なものとは認められない可能性が有ります。勿論、例外も有るでしょうが、阻害要因もなく且つ先行技術と同じ方向性の目的の発明ということであれば、一般的には、進歩性を認めさせるのが難しい場合が多いと思います。

一方、上記(3)のように、先行技術には教示も示唆されていなかったような効果であれば、意外な効果と認められる可能性が高いと思います。ただ、やはり、上記の例のように、一見して先行技術との構成上の差が小さい時には、阻害要因の存在を明らかにできることが理想的です。

実際に「後知恵」に基づくと思われる拒絶を受けた場合の対応

拒絶理由通への回答において「後知恵」を明示的に主張することは、審査官の判断能力を否定することに等しいため、心証の観点から、よほどの証拠(たとえば、審査官の拒絶理由の論理における明示的・致命的な欠陥の存在や、明らかな「阻害要因」の存在など)でもないかぎり、あまり露骨に「後知恵」を主張しないほうがよいのではないかと考えます。

多くの場合に望ましいアプローチとしては、「後知恵」には直接言及せずに、阻害要因などの議論をする中で、審査官自身が「後知恵」的な要素の存在を自然に自覚して改めてくれるように話しをもっていくというやり方が望ましいと考えます。

但し、担当の審査官が変った場合や、審判・訴訟手続きにおいて、審査官の判断や相手の主張に対して行うのであれば、この限りではありません。むしろ、「後知恵」を強力に主張することが得策の場合もあると考えます。また、近年の知財高裁判決の進歩性判断において「後知恵」が積極的に言及されることが増えていますので、裁判での「後知恵」の議論の有効性は増す傾向にあると考えられます
(たとえば、平成18年(行ケ)第10422号 審決取消請求事件
(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070330151919.pdf)
平成20年(行ケ)第10130号 審決取消請求事件
(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20081225160745.pdf)
平成20年(行ケ)第10096号 審決取消請求事件
(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090129104737.pdf)を参照。)

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《判決文》

(和英)

原文:

そして前記アで説示したとおり、相互に非相溶の樹脂同士を溶融混練すれば、体積割合の多い 方の樹脂が構成する海(連続相)の中で、少ない方の樹脂相が島構造となる可能性が高いこと は、当業者であれば容易に予想することができること、もともと海相中に含まれる導電性物質 等の第3成分が島相に移行するためには、海相中を移動する島相が当該第3成分と接して、なお かつ海相-島相間の海面を拡散して島相中へ入り込む必要があり、拡散が通常は正逆方向に移 行可能な反応であること(移行の程度は異なっても、一旦島相に入り込んだ第3成分が再び海相 へ戻る可能性もある。)をも考え合わせると、当初は海相中にのみ含まれていた導電性物質等の 第3成分が、押出機等による比較的短い時間での溶融混練中に海相から島相へ一方的に大量に移 行し、過半を超えるような事態は当業者においておよそ想定しがたいものと認められるから、 「導電性物質の局在化が保たれる」との本件審決の認定に誤りはない。

 英訳文:

Further, as explained in item A above, those skilled in the art can readily anticipate that, when two types of resins which are incompatible with each other are melt-kneaded, a resin having a smaller volume ratio is very likely to form an island structure in the sea portion (continuous phase) formed by another resin having a larger volume ratio.   In addition, the migration of a third component (such as an electroconductive substance) which has originally been contained in a resin forming a sea phase into an island phase requires not only the contact between the island phase (moving through the sea phase) with the third component but also the diffusion of the third component at the sea phase-island phase interface into the island phase (further, it is possible that the third component which has once migrated into the island phase returns to the sea phase although the extent of the migration may vary).  In view of the above, it is recognized that those skilled in the art would hardly expect a migration of a large amount of a third component (such as an electroconductive substance) which has originally been contained only in a resin forming a sea phase into an island phase during the melt-kneading performed by an extruder or the like only for a relatively short time, which results in the presence of more than half amount of the third component in the island phase. Therefore, the Board of Appeal has not erred in recognizing that “localized dispersion of the electroconductive substance is maintained”.

欧州(6.2): 補正の制限 EPC137条(5)

前項で触れたEPC規則123条は補正のサポートについてでしたが、本項では、EPC規則137条(5)[旧137条(4)]に規定されているクレーム補正の制限に関して解説します。これは日本におけるシフト補正の禁止(日本特許法17条2第4項)に対応する規則と考えることが出来ます。

EPC規則137条(5)[旧137条(4)]

EPC規則137条(5)には、以下のように定められています。

 「補正されたクレームは、元々クレームされていた発明若しくは単一の包括的発明概念を形成する一群の発明と関連していない未調査の主題を対象とすることができない。また、規則62a又は規則63に従って調査されていない主題を対象とすることもできない。

[注:下線部分は、旧137条(4)にはなく、137条(5)で新たに追加された。137条(5)が適用されるのは、2010年4月1日以降に欧州サーチレポート又は補助欧州サーチレポートが作成された出願に適用される。]

要するに、調査報告(欧州サーチレポート又は補助欧州サーチレポート)を受けたクレームは、主題を大きく変更することや、出願人が調査の対象として選択しなかったクレームの主題(EPC規則62a又は規則63)に変更することが禁じられています。

尚、上記EPC規則62aは、1つのカテゴリーに複数の独立クレームを含む場合に関するものであり、この規則に従い、原則的にサーチの対象とする独立クレームを1つ選択することが要求されます。

上記EPC規則63は、クレームが不明瞭であるなどの理由により有意義なサーチが出来ない場合に関するものであり、サーチすべき対象を特定することが要求されます。 

EPC規則137条(5)[旧137条(4)]の精神と禁止される補正

EPC規則137条(5)[旧137条(4)]の精神は、出願人が調査費用を支払った対象である発明から、それとは異なる発明に変更する補正は許可しないということです。

条文からは、クレームは元々記載されていなかった事項を明細書本文から抜き出してクレームに導入する補正は許されないような印象を受けますが、必ずしもそうではありせん。調査後にクレームを補正する典型的な状況は、引用された先行技術に対する特許性を明確にするために発明の構成要素をより具体的なものに減縮補正するというような場合であると思いますが、そのような減縮補正を明細書の開示の範囲内で行うのであれば、EPC規則137条(5)[旧137条(4)]に違反しません。

まず、欧州特許庁による調査の対象に関して、欧州審査基準B-III 3.5には以下のように定められています。

「クレーム補正の予測

サーチは、原則的には、可能且つ合理的な範囲内で、クレームが関連している主題並びに補正により関連することが合理的に予測できる主題の全てに対して行われるべきである(但し、単一性欠如の場合は、B-VII, 1.3参照)。


電子回路に関する出願が、機能や操作方式のみに関する1つ以上のクレームを含んでおり、明細書の記載や図面が、具体的な自明でないトランジスター回路を含んでいる場合、そのような回路も調査の対象に含めなければならない。」

関連の審判部判例も多数存在します。例えば、旧137条(4)適用の件では、T 0274/03において審判部は以下の様に述べています:

「従って、調査後に主題の「切り替え」(”switching”)をするということは、主題の性質に重大な変更を加えることを意味することは明確であり、それは通常、元のメインクレームに既に存在していた要素を更に定義するために明細書本文の記載から特徴を加えることと同等に扱うべきことではない。

審判部の判例 (T 377/01、項目3.1項及びT 708/00、項目17:これらは共に欧州特許庁公報には掲載されていない)に従った審判部の見解は、原明細書の記載から補完的な特徴を追加することにより、元のメインクレームを制限することは、未補正クレームの特許性に対する拒絶に際しての出願人の反応として許容し得るものであり、EPC規則86(4)の導入により禁じようとする類のシステム濫用とはならない。従って、たとえ追加の調査が必要になったとしても、この種の補正は通常、本規則の違反とは見なされない。」

また現行の137条(5)EPC適用の比較的最近の判例として、T 2334/11においても、上記T 0274/03と類似の状況で、審判部は上記と類似した趣旨のことを述べています。

これらの判例から分かることは、基本的に、明細書の開示の範囲内で、発明を下位概念に減縮するような補正であれば許容されるはずということです。(但し、下記Bで述べる選択されなかった主題へ変更する補正は除く。)

一方、禁止される補正は、調査されたクレームに記載されていた構成要素や物性などの特徴を、他の構成要素や特徴で「置換」することや「削除」することにより請求する範囲を変更してしまう補正、並びに調査や審査の対象として選択されなかった主題に変更する補正です。

A. クレームの範囲を変更する補正

A-1 削除

構成要素や特徴を削除する場合は、発明を制限する要素が減るわけですから、当然、請求範囲も広くなり、明らかに137条(5)EPCに違反することになってしまいます。

A-2 置換

一方、置換の場合、様々な状況がありえるでしょうが、例えばクレームに記載されている成分やパラメータを、それとの関連性の定かでない異なる成分やパラメータで置換する補正などは、137条(5)EPCを違反することになるでしょう。例えば調査対象クレームが分子量により特定されたポリマーに関するものであったところ、補正により、分子量の限定を構造式で置換してしまった場合などにおいては、補正前と補正後のクレームで重複する部分はあるかも知れませんが、請求されている「範囲」が異なることは合理的に理解できますので、137条(5)違反と看做されると考えられます。

B. 選択されなかった主題へ変更する補正

以下のような主題への変更が禁止されます。

B-1 発明の単一性欠如(EPC82条)の拒絶を受けて、審査の対象から外れたクレームがある場合、そのような審査の対象外となったクレームの主題

B-2 規則62a(同一のカテゴリに複数の独立クレームが有る場合、調査対象として1つ選択することを要求)に従って、調査対象となる独立クレームを選択した場合に選択しなかった独立クレームの主題

B-3 規則63(クレームが不明瞭であるなどの理由により有意義な調査が出来ない場合に、調査対象を特定することを要求)に従って、調査対象の主題を特定した場合に、そこに含まれなかった主題

EPC規則137条(5)[旧137条(4)]違反の拒絶を受けた場合の対応

このEPC規則137条(5)[旧137条(4)]の要件を満たさない補正をしたい場合には、分割出願するしかありません。(勿論、補正は明細書の開示の範囲内であることが必要です。)

しかし、旧137条(4)からEPC規則137条(5)への改正は2010年の"Raising the bar"をスローガンとした規則改定に含まれていたものですが、この規則改定以後、137条(5)による拒絶が濫発される傾向に有り、実際には拒絶の根拠が不適切であるということも十分にあり得ます。そのような場合、反論によって審査官が納得すれば、137条(5)違反の拒絶は撤回されます。

これに関連して、EPC規則137条(5)[旧137条(4)]違反の拒絶に対して直ちに分割出願せずに反論する場合には、欧州では分割出願可能な時期が大きく制限されていることに注意が必要です。分割出願を行わずに反論し、その結果、分割出願の期限を過ぎてから、規則違反が確定してしまうことがあり得ます(例えば、審査部が137条(5)[旧137条(4)]違反の拒絶を維持したまま拒絶査定となり、それに対して審判を請求したが、分割出願の期限を過ぎた時点で、審判部が違反を認めたような場合)。

そのような場合、その時点でクレームを出願時のもの若しくはそれに近い形に戻すことを余儀なくされ、その結果、先行技術に対する新規性・進歩性を明らかに出来なくなるという可能性が有ります。

一方で、一旦特許になってしまえば、137条(5)[旧137条(4)]違反は異議申立の根拠とはなりませんので、第三者から137条(5)[旧137条(4)]違反を根拠に異議を申立てられて、特許取消しになるというようなことは起こりません。従って、分割出願の期限までに、審査官に規則違反が無いということを納得させることができれば問題無いということになります。

欧州出願時に注意すべきこと

上記した通り、単一性欠如(82条)の拒絶や規則62a、63の調査対象特定指令を受けてしまうと、将来クレームの補正が制限されてしまう恐れがあります。

従って、137条(5)[旧137条(4)]による補正の制約を回避するための対策としては、不要なクレームは含めず、更にクレームの範囲も必要以上に広くしないということが考えられます。

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欧州(2)

Q. 口頭審理(Oral Proceedings)には誰が出席できて、誰が発言することができるのか?

A. 前もってEPOに知らせておけば基本的には誰でも出席することは出来ますが、発言を許される人は制限されます。例えば、出願人企業の知的財産部の方なども出席できますが、確実に発言権を確保するためには事前に技術の専門家(Technical Expert)であることをEPOに通知しておくことが望ましいです。

実際には、それほど厳密に管理はされていないようで、弊所の所員が発言権を確保せずに出席した際にも、その場で発明者の通訳や簡単なコメントを致しましたが、特に咎められるようなことはありませんでした。しかし、確実に発言権を確保するためには事前に申請しておくことをお勧めいたします。

 

Q. 口頭審理において、パソコンなどを利用したプレゼンテーションは可能か?

A. 審査官や審判官の指示に従って、ノートパソコンやその他の電子器機、若しくはコンピュータを利用したスライドショーなどを使用することが許されます(審査ガイドラインE-II,8.2.1,8.5.1

 

Q. 欧州特許に対する異議申立てに関して、異議決定(特許維持)に対する不服審判請求を行う際に、異議段階で提出可能であったにもかかわらず提出しなかった特許性に重要な影響を与える新たな証拠を、審判請求時に初めて提出した場合、審判部はそのような証拠を考慮してくれるのか?

A. 証拠の重要度にもよりますが、異議段階で相手に考慮させなかったのがアンフェアとみなされると、一審(異議段階)に差し戻される可能性が有ります(T 611/00)。しかし、指定された提出期間内に提出された証拠であれば、審判部が全くこれを考慮せずに(また一審に差し戻すこともせずに)決定を出すようなことは無いと予想されます。

Q. 自社の欧州特許に対して異議申立てを受け、相手に先使用(public prior use)の証拠を提出された。先使用技術に対しては、新規性のみを有していれば良いのか?それとも進歩性も有する必要があるのか?

A. 先使用が証明された場合、先使用技術に対して新規性のみならず、進歩性も立証する必要があります[T 1464/05(先使用物がclosest prior artと見なされた)]。

Q. 欧州において、公知物質の純度を向上させただけで特許性が認められることはあるか?

A. 多くの場合、公知物質の純度を向上させただけでは新規性が認められません。
例えば、判例T990/96には、低分子量の化合物の発明に関して、以下のように述べられております。

- 化学反応によって得られる化合物は何らかの不純物を含んでいることは常識であり、化合物を精製することも通常行われていることに過ぎない。

- 低分子量反応生成物の精製に従来使用されている方法を採用することは、当業者の常識の範囲内である。

- 従って、一般的に、低分子化合物自体とその製造方法が公知であったならば、あらゆる純度のものが公知であったと見なす。

但し、例外もあります。例えば、従来の精製方法では、特定の純度が達成出来なかった場合などには新規性が認められる可能性があります。

また、勿論、特定の濃度が先行技術に明示的に記載されていないことが前提になりますが、特定の濃度に技術的意義を見出したような場合にも新規性が認められることがあります。

例えば、判例T142/06においては、ポリマーの塩素濃度を特定のものに限定したことにより、新規性が認められております。この判例は、T990/96に基づきながらも、以下の理由で新規性を認めております。

- クレームされた特定の塩素濃度については、単に純度を上げたということではなく、"oxygen barrier properties"及び "boil blushing properties"などの物性に優れるフィルムを得るという目的のために選択された値である。

- 更に、従来、関連技術分野において、クレームされた特定の純度が望ましいと考えられていたということを示す先行技術文献が存在しない。

以上のように、T142/06は、新規性の判断に関するものでありながら、課題の新規性や意外性などの進歩性の要件ともいえるものを要求しておりますが、ここで参照されている判例T990/96が、元々、公知化合物の純度については「従来知られていなくても新規性なし」という一種の矛盾を含んでいるもので、このような理屈を採用しているものと考えます。換言すれば、これらの判例はいずれも選択発明の審査基準に沿って判断されたものと思料いたします。EPOにおける選択発明の新規性判断基準において、以前は「選択された範囲に発明としての効果が有ること」も要求されておりました。現在は、この要件は進歩性判断の基準へ移されてしまいましたが、判例T142/06の当時は、この要件も新規性判断に含まれていたはずです。

また、判例T 786/00では、特定純度の有機化合物である出発物質(starting materials)の使用が必須要件になっている、優れた耐熱水性を有する重合体の製造方法の発明について、「判例T 990/96における純度についての一般原則は出発物質には当てはまらない」旨の判断を述べています。その理由は、該方法の発明では、優れた耐熱水性を有する重合体を得るという目的を達成するために、特定純度の出発物質の使用が必要なのであり、純度そのものが発明の最終的な目的や発明の対象となる物の特徴ではないからです。参考までに、判例T 786/00の要所の原文を下記に引用します。

"In contrast to T 990/96, the present case relates to a process for the manufacture of polymers having specific properties (i.e. resistance to boiling water) characterised by the use of organic compounds having a required purity as starting components, i.e. the purity level of the starting components is therefore an essential technical feature of the process, which can only be carried out in the required range of purity but not in all available grades of purity of the starting materials." "Consequently, the general statements in T 990/96 concerning the purity of final products cannot be applied directly to starting materials or, hence, to the present case."

Q. 欧州におけるAuxiliary Requestとは?

A. 欧州特許出願に関する審査、許可後の異議申立て、審判などの手続きにおいて、出願人や特許権者は、複数セットのクレームを提出し、それをEPO(審査部、異議部又は審判部)に検討させることができます。

より具体的には、第一希望のクレームセットを“Main Request”(主請求)として提出し、第二希望以降のクレームセットを“Auxiliary Request”(副請求)として提出することができます。

Main Requestとしては、1セットのクレームしか提出することができませんが、Auxiliary Requestは複数提出することができます。Auxiliary Requestを複数提出する場合には、Auxiliary Request 1, Auxiliary Request 2.....の様に番号付けし、EPOは番号の若い方から優先的に検討します。

Auxiliary Requestを提出するデメリットとしては、Main Requestよりも請求範囲の狭いAuxiliary Requestを提出する場合、Auxiliary Requestの方が、特許性が明確であることが多いでしょうから、EPOによるMain Requestの検討が疎かになる可能性を否定できないということが挙げられます。

ですので、広い権利範囲を追求するよりも早期に権利化したい場合や、口頭審理の直前のように後が無いような状況で、Auxiliary Requestを提出することが多いです。

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