勿論

弊所の基本理念

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例えば同じ所有権でも「土地」であれば、明確な境界線を引いて権利を主張することができます。

一方、特許は、無形の知的財産に関して、言葉で目に見えない境界線を引くことにより、自らの権利範囲を明らかにしなければなりません。これは大変な知識と技術を要する高度な作業です。僅かな表現の違いによって、当然権利範囲に入ると考えていたものに権利が及ばなかったり、逆に意図していた範囲より広すぎて従来の物との違いを明らかにできずに権利が無効となってしまうこともあります。

意図した通りの範囲の知的財産権を取得するためには、法律及び技術に関する知識のみならず、非常に高度な論理構成力が要求されます。料理人が違えば、材料が同じでも全く異なる味の料理が出来るのと同じように、特許の世界でも、出願人から提供される情報が同じであっても、それを処理する人間によって結果は全く異なったものとなります。

所望の範囲の権利取得のために優れた明細書が必須であることはいうまでも無く、審査や係争事件においては、同じ議論や証拠を提出するのであっても、順序や提示の仕方によっては、本来認められるべきであった議論や証拠の有効性が認められないということも起こり得ます。

井上&アソシエイツでは、長年、外国特許実務に携わることで蓄積した経験に基づき、お客様からのご依頼内容と頂いた情報を徹底的に検討し、技術及び法律の知識を駆使し、論理的、明快且つ説得力のある文書を作成することにより、確実且つ効率的な権利の取得と保護を可能にします。

特許実務も一種の職人技ですが、弊所には一切妥協することなく約35年に亘って外国特許実務に携わることによって蓄積した技術とノウハウがあります。また少数精鋭にて高品質なサービスを安定して供給致します。

特に外国への出願について日本国内代理人の意議やあり方に疑問を抱いておいでの方は、是非弊所を 一度お試し下さい。勿論、日本国内の出願につきましても、同様に高度な技術を駆使し、質の高い権利取得を可能にします。

課題2:中間処理(拒絶理由通知に対する応答など)の効率化とコスト低減

弊所は、他の特許事務所で出願した案件が難しい状況に陥ってから中途で引き受けたことが何度か有りますが、これまで全て成功に導いております。即ち、そのような案件は全て先任の国内外代理人の検討不足によるものであったということになりますが、外国特許出願の場合には、責任の所在が不明確になり、検討不足の状態が生じ易いということがあると思います。その原因として以下のようなことが考えられます。

(1)外国出願の日本国内特許事務所における扱いに関しては、言語と法律の違いにより、翻訳者が外国出願用英文明細書を作成し、その後の対応は外国代理人に一任に近い形になる。即ち、日本出願明細書(若しくはPCT出願和文明細書)を作成した本人は、外国出願で使用する英文明細書の作成にも、その後の中間処理においても余り関与しない。

(2)外国代理人は、自ら明細書を作成したわけではないので、発明の理解が不十分であり且つ権利化に対する責任感が希薄になる傾向がある。

無駄に審査が長引けば、当然、経費が増加します。また、難しい状況になって米国や欧州の代理人の助言を仰いだり、詳細な検討を依頼したりすると高額な請求が来てコストが大きく膨らんでしまうということもあります。

課題2に対する弊所の対応

弊所の外国出願担当者は、上で述べたように、明細書の作成は勿論、米国・欧州特許庁の拒絶に対する回答書や外国での係争における理由書・答弁書などの作成も基本的に自ら行いますので、上記のような問題は起りません。

外国出願であっても、成功するか否かは我々の責任であるという認識を常に持って対応します。

弊所が中途で引き受けた案件には、最終拒絶理由通知(final office action)と継続審査請求(RCE)を繰り返して国内外代理人がお手上げの状況になった米国出願なども有りましたが、弊所で引き継ぎ後1又は2回の回答で許可を得ています。そのような案件の場合、出願時から弊所に任せて頂いていれば権利化までの経費は半額以下で済んだはずであると思います。

『法律も実務も異なる外国出願の中間処理を日本の代理人が処理できるのか?』と疑問を抱かれるかも知れませんが、弊所は開設時から、上記の様な実務を行っており、スタッフは全員厳しく教育され、外国案件も自分でこなせるようになった少数の者のみで構成されています。従って、外国特許関連手続については圧倒的な経験値を有しており、各国の制度や実務に準じたアドバイスや対応が可能です。実際に、外国特許庁へ提出する書類も実質的に弊所で完成させてしまうというスタイルについては、お客様より評価を頂いたことはあっても、クレームを受けたようなことは皆無です。

以上の通り、弊所では明細書を作成した担当者自らが回答書作成も行うため、十分な発明理解に基づいた効果的・効率的な対応が可能であり、現地代理人費用も削減することが出来ます。

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米国(2): RCE (Request for Continued Examination)

もう一つ米国特許制度の大きな特徴と言えるのが、RCE(Request for Continued Examination)の存在です。

RCEは、最後の審査通知(final office action)が出た後に、拒絶を克服できない場合に、継続審査を要求できる制度です。[*但し、意匠特許(design patent)や再審査中の特許に関しては、利用できません。]そしてこのRCEは出願が生きている間は何度でも請求することができます。(数年前に、米国特許庁がこのRCEの回数を制限するためのルール改正を行うことを発表したが、訴訟になり、結局は特許庁が敗訴してルール改正は無くなった。)

要するに、米国出願は、出願が生きている限り何度最後の拒絶を受けても許可になるまで何度でもチャレンジできるということになります。このような制度は、米国にしかありません。例えば、日本でしたら、特許性を否定され続けた場合には以下の経緯を辿ることになります。

日本の場合
最後の審査通知 → 拒絶査定 (特許庁審査部)

拒絶査定不服審判 (特許庁審判部)

知的財産高等裁判所への提訴

最高裁判所への上告

日本においても、裏技的な手段として、拒絶査定を受けたら分割出願を行うということもありますが、この場合、勿論、分割出願の請求項を親出願と同じにならないよう補正する必要があります。即ち、分割出願はあくまで新たな出願として審査されるのであって、米国のように審査が継続されるわけではありません。(日本では、もし仮に分割出願の請求項に親出願の審査において拒絶された発明が含まれていると、最初の審査通知であっても、最後の拒絶理由通知への応答の場合と同様に補正の制限が課される。要するに削除、減縮、誤記訂正、明瞭化の目的の補正のみが可能で、新たな特徴を付加するような補正は許可されない。)

欧州では、拒絶査定になってしまったら、欧州特許庁の審判部(Board of Appeal)における拒絶査定不服審判で争いますが、原則その先はありません。即ち、拒絶査定不服審判で特許性を認められないと特許は不成立ということになります。以前は、日本と同様に分割出願を行って延命するという方法があったのですが、2010年の法改正により、分割出願の時期と機会が制限され、拒絶査定を受けた際の延命措置としての分割出願は実質的に不可能になりました。

RCEが可能な時期

審査終結状態にある(prosecution is closed)が、出願が生きている段階であれば請求することができます。具体的には、例えば、以下のような状況で、RCEが可能です。

・ 最後の審査通知(Final Action)発行後で且つ出願放棄確定前

・ 許可通知(Notice of Allowance)発行後で且つ登録料納付前

・ USPTO審判部における審判係属中

審判請求書(Notice of Appeal)提出後に、RCEした場合には、審判請求は取り下げられたとみなされ、審査が再開されます。

審査中で最新の審査通知がfinalで無い場合には、RCEは認められません。

RCE申請手続き

RCEの申請は、料金(large entityで$930、small entitiyで$465)の支払いと共に、RCE申請フォームと以下の書類を提出することが必要です。

出願の状態 RCE請求時に提出する必要がある書類
最後の審査通知(Final Action)後 最後の審査通知に対する応答(既に提出済みの場合は、原則的に必要無し)
査定系クウェイル通知*(Ex Parte Quayle action)後  (*方式的不備を訂正すれば特許査定となる旨を通知するもの) Ex Parte Quayle actionに対する回答
許可通知(Notice of Allowance)後 IDS、補正、新たな議論、新たな証拠など
審判請求後 最後の審査通知に対する応答(例えば、提出済みの審判理由書や審判部の見解に対する答弁書における議論を援用する旨の上申書)


RCEを提出する状況で一番多いのは、Final Actionを受けて補正書、意見書、証拠などを提出したが、それが新たな争点(New Issue)を提起するものであって考慮出来ないとの指摘をUSPTOから受けて、その対応としてRCEを提出するという状況だと思います。そのような場合に、単に提出済み書類を考慮させたいのであれば、RCE申請フォームと料金を支払うだけで済みます。そしてRCEにより審査が再開され、審査官はFinal Action後に提出したクレームの補正や証拠を考慮した上で、non-finalの審査通知若しくは許可通知(Notice of Allowance)を発行します。

RCEに関する注意事項

場合によっては、折角RCEしたのに、RCE後の最初の審査通知がFinal(しかもRCE前のFinal Actionと同じ拒絶理由)となってしまうことも有りますので注意が必要です。

具体的には、以下の2つの要件が同時に満たされると、RCE後の最初の審査通知がFinal Actionとなってしまいます。

(1) RCE前のクレームとRCE後のクレームとが同一である。

(2) RCE後の審査における拒絶の理由がRCE前の審査における拒絶の理由と同一である。

このような状況になるのは、例えば、Final Actionに対して補正を行わず単に反論のみを提出した場合、Final Actionに対に対する回答が間に合わず、延命措置としてRCEを提出した場合などが挙げられます。

上記のような状況になる可能性がある場合には、RCEと同時若しくはRCE後、速やかに何らかの補正を提出するなどの手段を講じることが望ましいです。その際の補正は純粋に形式的なものでよく、例えば、得に重要でない特徴に関する従属クレームの追加などでも構いません。また、そのクレームが不要であれば、後で削除することもできます。

もしも補正や新たな証拠を提出する予定があるが、準備に暫く時間がかかるような場合には、RCEと同時又はその直後に審査の一時中断を申請する(Request for a 3-month Suspension of Action by the USPTO under 37 CFR 1.103 (c))ということも考えられます。

RCE制度の現状と今後

上記したようにRCEの回数を制限しようとするルール改正は断念されましたが、近年、別の手法でRCE制度の利用を抑制する方向の動きが見られます。

USPTOにおける処理スケジュール

1つは、2009年11月15日から導入されている新たな管理体制です。

以前は、原則として、審査官はRCE後2ヶ月以内にアクションを出すことが求められており、RCEにより、審査が大きく遅れるようなことはありませんでした。しかし、2009年11月15日以降は、RCEが請求された件は、“special new” docket に入れられることになり、そこでは「2ヶ月以内」という制約はなく、審査官は、自らの仕事の負荷に応じて比較的自由なスケジュールで処理することが許されています。

これに伴い、最近は、RCE後の処理の遅れが目立つようになってきています。米国特許庁のウェブサイトで提供されているPAIR(Patent Application Information Retrieval)システムで、出願の経過を確認することができますが、最近は、RCEを請求すると、その後 “Docketed New Case—Ready for Examination” という状態になったまま長らく動きが止まってしまいます。RCE後、半年以上経過してもアクションが出ないケースもあります。

RCE請求の手数料の値上げ

RCEを利用するために、米国特許庁へ支払う料金は、それが何回目の請求であるかに関わらず1回のRCEにつきlarge entityで$930、small entityで$465であったものが、2013年3月19日以降は、一回目のRCEの料金がlarge entity$1,200、small entity$600に、二回目以降のRCEの料金がlarge entity$1,700、small entity$850に値上げされます(2013年1月18日に公表された新料金)。

RCEを不要にする制度の試行

RCE等を利用せずに、審査の効率化を図る目的で以下のような試行プログラムが実施されています。

・ After Final Compact Prosecution (AFCP) 試行プログラム (試行期間:2013年5月18日まで(当初、2012年6月16日までの予定だったが延長された))

現行の規則に従えば、最終庁指令通知(Final Office Action)後に提出された補正や証拠を審査官に考慮させるためには、RCE等の手続きが必要になることが多いが、AFCP試行プログラムでは、Final後に提出された補正や新たな証拠について、限定的な(特許で約3時間、意匠で約1時間以内で済むような)検討や調査によって、該補正や証拠により特許査定できるとの判断が可能な場合、RCE等を行わずに補正や証拠を審査官に考慮させることが可能。

・ Quick Path Information Disclosure Statement (QPIDS)試行プログラム(試行期間:2013年9月30日まで(当初、2012年6月16日までの予定だったが延長された))

米国の現行のシステムにおいては、登録料支払い後にIDSを提出して考慮させる為には、RCEや継続出願が必要だが、QPIDS)試行プログラムでは、登録料支払い後にIDSをUSPTOに考慮させることが可能。


特にAFCPは、試行期間が延長されましたが、出願人や実務者にとって非常に有益な試みであり、常設的なプラクティスとなることが望まれます。これまでは、審査の経緯や審査官の主張の趣旨から考えて、本格的な検討や調査を行わずとも、出願を特許可能な状態にできることが明らかな補正や証拠であっても、Final後は、新たな争点(New Issue)を提起するものであって考慮できないとの指摘を受け、結局、RCEや審判請求が必要になってしまい、非合理的なプラクティスだと感じていた出願人や実務者も多いはずです。そのような指摘も受けての試行プログラムでしょうから、本格実施へ移行する可能性も十分にあると考えられます。

2000年に導入されて以来、盛んに利用されてきたRCE制度ですが、上記のことから分かりますとおり、近い将来、その運用が大きく変わる可能性があります。

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米国(7): 費用(米国代理人事務所の選別の観点から)

円高により、米国出願関連の経費が安くなったことを実感します。但し、2011年9月の法改正により、米国特許庁に支払う政府料金は、15%値上げされました。この15%というのは、日本からの出願に関する限り、ちょうど近年の円高による差益を帳消しするような値上げ幅です。米国代理人からの請求は、政府料金+米国代理人の手数料ですので、米国代理人からの請求額が総じて15%増しになるわけではありませんが、円高による割安感は若干減じます。

米国出願に際して注意すべきなのは、米国特許事務所によって代理人費用が大きく異なることです。どこの国でもそうですが、米国の場合は特に差が大きいので注意が必要です。一般に米国の特許事務所には、主に出願を扱う「出願系」の特許事務所と主に訴訟を扱う「訴訟系」の特許事務所に大別できます。勿論、「訴訟系」の事務所に出願してもらうこともできますが、「訴訟系」の事務所は総じて費用が高いです。また同じ事務所であっても、担当者によって費用が大きく異なることがあります。

出願時における費用はそれ程でもないと思いますが、審査通知に対する対応など米国代理人による検討を要する作業になると、費用の差が顕著になります。米国のある「訴訟系」の事務所に出願を担当させ、審査通知に対する回答書の作成・提出をさせたら500万円を超える請求が来て驚いたというような話も聞いたことがあります。(弊所でしたら、ほぼ現地特許庁にそのまま提出できる英文の回答書案を現地に送付しますので、米国代理人のアドバイスを仰いだような場合でも米国特許事務所の費用はせいぜい50万円程度です(通常は10~30万円程度)。)

「もし米国で特許訴訟になってしまったら・・・」という懸念から出願時から訴訟系の特許事務所を採用しているという方もいるかも知れません。しかし、訴訟の対象となる特許はごく僅かであり、またもし訴訟になったら訴訟に強い特許事務所に案件を移せばよいだけの話であって、訴訟の懸念から出願も訴訟系の特許事務所に依頼するというのは無駄であるように思います。

出願を担当したアトーニーがそのまま訴訟も担当すれば、その特定の件に明るくてよいはずとお考えになるかも知れませんが、出願系の特許事務所でも、殆どの場合、出願を担当するアトーニーと訴訟を担当するアトーニーは異なります。むしろ、案件を第三者的な観点から見ることができるということが新たな観点からの議論に結びつくということもよくあることです。従いまして、出願時は、あくまで出願系の事務所に依頼するのが賢明であると考えます。例えば、こちらに出願件数が多い米国特許事務所のランキングがあります。
http://www.iptoday.com/issues/2011/03/top-patent-firms.asp)米国代理人事務所決定の際の一つの目安にはなると思います。

当ホームページに、弊所と提携している米国代理人事務所の概算の費用も併せて示してありますのでご参考下さい。また、もし現在使用している米国代理人について「ちょっと費用が高すぎるんじゃないか?」などとお考えの際は是非ご相談下さい。

韓国(3): 特許審査ハイウェイ(PPH)

日本国特許庁と韓国特許庁は、特許審査ハイウェイプログラムを平成19年4月より実施しています。

[I] PPHの概要

PPHとは、他国の審査結果に基づいて審査促進(早期審査)をするものです。これに関して、PPHを利用すると、日本で特許査定になったら、その結果をもって直ちに韓国でも特許が取得出来るとお考えの方が多いようですが、そうではありません。あくまで日本の審査結果を利用して審査促進するというものです。通常のKIPOにおける審査待ち期間が約10ヶ月であるのに対して、PPHの場合は2~3ヶ月になります。結果的に、特許成立する確立は高いですが、例えば韓国特許庁(KIPO)は、他国の審査結果に従うことを要求されたり推奨されたりするものではありません。

弊所の案件で、日本での審査結果に基づき韓国でのPPHを利用した件では、米国でPPHを利用した件と比較しても、かなり速やかに特許成立しております。しかし、KIPOが、他国の審査結果に従い直ちに韓国特許出願も許可するとは限らないということは念頭に入れておく必要があります。

PPHの申請に関する情報は、日本特許庁のホームページに公開されています。
(http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/t_torikumi/patent_highway.htm

[II] 日本国特許庁の国内出願の審査結果を利用した特許審査ハイウェイ(PPH)の適用をうけるための条件

PPHの適用をうけるための条件を簡単に纏めますと以下の通りです。

(II-1) 日本出願と韓国出願の対応関係について:
 PPHの適用が可能な日本出願と韓国出願の対応関係は大きく分けて以下の2通りになります。

 - 日本出願が韓国出願の優先権出願である(韓国出願が、該日本出願に基づく優先権主張したPCT経由の出願である場合を含む)。
 - 韓国出願と日本出願とが、共通のPCT出願から派生したものである(ここでPCT出願は、優先権主張していないか日本出願に基づく優先権を主張しているPCT出願)。

また、日韓両国は、PCT出願の国際段階成果物を利用した特許審査ハイウェイ(PCT-PPH)も実施することに合意し、早ければ2012年上半期中に施行が開始されることになっています。

(II-2) JPOによる特許性判断:
日本出願の少なくとも一つの請求項が、JPOによって特許可能と判断されていなければなりません。即ち、特許査定を受けていなくても、少なくとも一つの請求項が特許可能と認められていれば、それに基づいてPPHの申請が可能です。例えば、JPOに日本出願の請求項1は拒絶されたが、それに従属する請求項2については特許可能(拒絶理由を発見しない)と明示された拒絶理由通知や拒絶査定を受けたような場合にも、中国出願の請求項1を該日本出願で特許性を認められた請求項2に対応するように補正してPPHの適用を受けることが出来ます。

(II-3) 日本出願の請求項と韓国出願の請求項の対応関係:
PPHに基づく審査を申請する韓国出願のすべての請求項が、対応する日本出願の特許可能と判断された一又は複数の請求項と十分に対応しているか、十分に対応するように補正されていることが必要です。尚、韓国該出願の請求項の範囲が日本出願の請求項の範囲より狭い場合も、請求項は「十分に対応」するとみなされます。

(II-4) PPH申請可能な時期:
KIPOによる審査着手前は勿論、審査着手後であってもPPHの申請が可能です。

PPHに参加している多くの国においては、PPHによる優先審査を請求するためには、その国における審査が開始されていないことが要求されますが、韓国ではそのような要求はありません。

[III] PPH申請時に提出する書類

PPHの申請書と共にJPOによる審査に関する以下の書類を提出する必要があります。

(III-1) JPOが特許可能だと判断した請求項が含まれた特許請求の範囲の写及びその翻訳文(韓国語又は英語)

(III-2) 日本出願に対するJPOの審査関連通知書(特許査定書、拒絶理由通知書、拒絶査定書)の写及びその翻訳文(韓国語又は英語)

(III-3) JPOの審査通知において審査官により引用された文献の写

(III-4) 韓国出願のすべての請求項と対応する日本出願の特許可能と判断された請求項との関係を示す請求項対応表

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新規性の拒絶への対応

出願人の方が「引用された先行技術には、自分の発明には不要な成分が含まれている」ということが新規性の根拠となり得ると考えていることが屡々あります。これは間違いであり、発明が新規である為には、従来技術が有していなかった特徴を有している必要が有ります。

例えば、ある発明Xが「成分(A)、成分(B)および成分(C)からなる組成物」であった場合、すでに出願公開されている特許文献(先行技術文献Y)に、「成分(A)および成分(B)からなる組成物」が記載されていたとします。この場合、発明Xは先行技術文献Yに記載されていない「成分(C)」を有しているために、新規性を有するということになります。
一方で、「成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)からなる組成物」を開示する先行技術文献Zが存在した場合、発明Xの成分を全て含んだ組成物が開示されている訳ですので、先行技術文献Zの組成物が更なる成分(D)を含んでいたとしても、発明Xは先行技術文献Yに対して新規性が無いことになってしまいます。

上記の先行技術文献Zのような文献を審査官に引かれてしまったならば、新規性を認めてもらうためには、請求の範囲を補正して、先行技術Zに記載されていない特徴を発明Xに加えることが必要になります。

例えば、先行技術文献Zに記載されていない成分(E)を新たに発明Xの必須成分とすることや、成分(A)、(B)又は(C)の量について、先行技術文献Zに記載されていないような量に制限するなどの補正を行うことで新規性を確保することが出来ます。

ここでどのようなものが「先行技術」となるのかについては、国により異なるのですが、その点については別項で説明します。ページ左端のメニューからご覧下さい。

また発明が、単一の先行技術に含まれていなかったことが明白な要素を含んでいれば、その発明の新規性は認められる筈ですが、この点が明らかでない場合が有ります。典型的には、所謂「選択発明」(公知技術から特定の狭い範囲を抜き出した発明)や「(特殊)パラメータ発明」(従来知られていなかったパラメータで定義された発明)が、これに当たります。そのような場合、国によって判断基準が異なることが有ります。

例えば、欧州特許庁(EPO)は、ある先行技術に対する新規性を判断する際に、その先行技術の開示内容をその文献の記載から直接的に読み取れるものに限定して解釈します。要するに、その先行技術文献において暗に示唆されているが直接的には読み取れないような事項は、原則的にその先行技術文献に開示されている事項とは見なされません。一方、日本や米国においては、そのような暗に示唆されている事項についても、その先行技術文献に開示されていると見なされることが有ります。

従って、「選択発明」や「パラメータ発明」に関しては、日本や米国と比較して、欧州の方が新規性は認められやすい傾向があると言えます。(但し、勿論、新規性のみ認められても進歩性も認められなければ特許は認められません。)また、ドイツの様に、原則的に選択発明を認めていない国も有ります(この点については、EPOの基準に合わせる動きが有るようですが、最終的にどうなるか未だ定かではありません)。

「選択発明」や「パラメータ発明」についても、別項で詳細に説明しております。ページ左端のメニューからご覧下さい。


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