人間

弊所の基本理念

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例えば同じ所有権でも「土地」であれば、明確な境界線を引いて権利を主張することができます。

一方、特許は、無形の知的財産に関して、言葉で目に見えない境界線を引くことにより、自らの権利範囲を明らかにしなければなりません。これは大変な知識と技術を要する高度な作業です。僅かな表現の違いによって、当然権利範囲に入ると考えていたものに権利が及ばなかったり、逆に意図していた範囲より広すぎて従来の物との違いを明らかにできずに権利が無効となってしまうこともあります。

意図した通りの範囲の知的財産権を取得するためには、法律及び技術に関する知識のみならず、非常に高度な論理構成力が要求されます。料理人が違えば、材料が同じでも全く異なる味の料理が出来るのと同じように、特許の世界でも、出願人から提供される情報が同じであっても、それを処理する人間によって結果は全く異なったものとなります。

所望の範囲の権利取得のために優れた明細書が必須であることはいうまでも無く、審査や係争事件においては、同じ議論や証拠を提出するのであっても、順序や提示の仕方によっては、本来認められるべきであった議論や証拠の有効性が認められないということも起こり得ます。

井上&アソシエイツでは、長年、外国特許実務に携わることで蓄積した経験に基づき、お客様からのご依頼内容と頂いた情報を徹底的に検討し、技術及び法律の知識を駆使し、論理的、明快且つ説得力のある文書を作成することにより、確実且つ効率的な権利の取得と保護を可能にします。

特許実務も一種の職人技ですが、弊所には一切妥協することなく約35年に亘って外国特許実務に携わることによって蓄積した技術とノウハウがあります。また少数精鋭にて高品質なサービスを安定して供給致します。

特に外国への出願について日本国内代理人の意議やあり方に疑問を抱いておいでの方は、是非弊所を 一度お試し下さい。勿論、日本国内の出願につきましても、同様に高度な技術を駆使し、質の高い権利取得を可能にします。

医療分野の知的財産について

今回は、最近、環太平洋戦略経済連携協定(TPP)絡みで話題になることが多い医療分野の知的財産について少々お話致します。TPPが日本の知的財産に与える影響については未だ明確なことは分かりませんので、ここでは議論致しませんが、話題を理解する上で役に立つかも知れない情報についてお話します。

医療行為について:

Trips第27条には、加盟国は「人又は動物の治療のための診断方法、治療方法及び外科的方法」を特許の対象から除外することができると定められています。

人間に対する医療行為(手術、治療又は診断する方法)については、米国やオーストラリアなどのごく少数の国を除いて、特許保護の対象として認められていません。日本、欧州、中国、韓国などにおいては、現在のところ、人間に対する医療行為に関する特許は取れません。

一方、TPP案(2012年5月)の8.2条には、以下のように規定されています。

「各当事国は、以下の発明について特許の対象とする事を認めなければならない:
a. 植物及び動物、並びに
b.  人又は動物の治療のための診断方法、治療方法及び外科的方法。」

因みに、米国では医療行為に関する特許を取得することは可能ですが、医師に対しては特許権を行使することは出来ません。しかし、全く権利行使が不可能という訳ではなく、以下のような場合に権利行使出来る可能性があります:

- 医薬の投与方法の特許を侵害する行為は、医師であっても免責されない可能性がある。

- 製薬企業が医師に医薬を提供する行為も間接侵害(寄与侵害)に該当する可能性がある。

- バイオテクノロジー特許を侵害する行為は、医師であっても免責されない。

日本でも医療行為を特許保護の対象に含めるべきかという点は以前から議論されておりますが、ごく限られた例外を除いて今までのところ実現には至っておりません。

韓国においても米国とのFTA締結に伴い、2012年特許法が改正され、特許出願に関する所謂「グレース・ピリオド」が米国と同様に1年間に変更されましたが、医療行為は特許の対象外のままです。日本も、医療行為を特許の対象と認めることに同意することはないように思われますが、はたしてどうなるでしょうか。

動物に対する医療行為について:

人間に対する医療行為(手術、治療又は診断する方法)だけでなく、動物に対する医療行為についても、特許保護が認められていない国があります。

参考までに、各国における「医療分野における方法」(医療行為や準医療行為)の特許保護可能性の概要を下記表に示します。

 

各国における「医療分野における方法」(医療行為や準医療行為)の特許保護可能性の概要

 

手術方法

治療方法

診断方法

測定方法

動物に対する 医療行為

米国1)

O

O

O

O

O

オーストラリア2)

O

O

O

O

O

日本

×

×

×

3)

O

EP

×

×

4-1)

4-2)

ヒトについてと同様

カナダ

×

×

5)

5)

ヒトについてと同様

ニュージーランド

×

×

6)

6)

O

韓国

×

×

×

7)

O

中国

×

×

×

8)

ヒトについてと同様

台湾

×

×

9-1)

9-2)

ヒトについてと同様

マレーシア

×

×

10-1)

10-2)

ヒトについてと同様

インド

×

×

11-1)

11-2)

ヒトについてと同様

インドネシア

×

×

×

×

×

注1)(米国) 医師・医療機関の特許侵害に対して部分的な免責規定がある。即ち、米国特許法第287条の第(c)項(いわゆる「免責規定」)により、(1)医師が侵害に該当する医療行為を実施した場合は、差止請求権・損害賠償請求権などの規定は該医師又は該医療行為に関与する関連医療機関には適用されない。(2)ただし、該「医療行為」とは、身体に対する医療的又は外科的処置を施すことをいうが、次に挙げる行為は含まないものとする。(i) 特許された装置、製造物または組成物の侵害的使用、(ii) 組成物の使用に関する特許の侵害的実施、及び (iii) バイオテクノロジー特許を侵害するプロセスの実施。

注2)(オーストラリア) 医師・医療機関の特許侵害に対して免責規定は無い。

注3)(日本) 手術工程・治療工程を含まず、また医療目的で判断する工程を含まない、人体に対する測定方法は、特許対象である。また、検体の分析・測定方法は特許対象である。(審査基準 第Ⅱ部 第1章 産業上利用することができる発明、2.1.1参照)

注4-1)(EP) 検体を用いた診断方法は特許対象である(EPO Guidelines for Examination, G-II, 4.2.1参照)。

注4-2)(EP) 手術工程を含まない、診断プロセスに至らない人体に対する測定方法は特許対象である(EPO Guidelines for Examination, G-II, 4.2.1参照)。

注5)(カナダ) 手術又は治療の工程を含まない人体に対する診断方法は特許対象である(カナダ国知財庁の特許審査ガイドラインによる)。

注6)(ニュージーランド) 手術工程を含まない人体に対する診断方法は特許対象である(ニュージーランド国知財庁の特許審査ガイドラインによる)。

注7)(韓国) 人体に直接的でかつ一時的でない影響を与える工程を含まない限り、人体に対する測定方法(臨床的判断を含まない)は特許対象である(韓国知財庁の特許審査ガイドラインによる)。

注8)(中国) 手術工程を含まない、診断プロセスに至らない人体に対する測定方法は特許対象である。また、診断プロセスに至らない検体の分析・測定方法は特許対象である。(中国知財庁の特許審査ガイドラインによる)

注9-1)(台湾) 検体を用いた診断方法は特許対象である(台湾国知財庁の特許審査ガイドラインによる)。

注9-2)(台湾) 手術工程を含まない、診断プロセスに至らない人体に対する測定方法は特許対象である(台湾知財庁の特許審査ガイドラインによる)。

注10-1)(マレーシア) 検体を用いた診断方法は特許対象である(マレーシア国知財庁の特許審査ガイドラインによる)。

注10-2)(マレーシア) 手術工程を含まない、診断プロセスに至らない人体に対する測定方法は特許対象である(マレーシア国知財庁の特許審査ガイドラインによる)。

注11-1)(インド) 検体を用いた診断方法は特許対象である(インド国知財庁の特許審査ガイドラインによる)。

注11-2)(インド) 手術工程を含まない、診断プロセスに至らない人体に対する測定方法は特許対象である(インド国知財庁の特許審査ガイドラインによる)。

医薬品の特許期間とジェネリック医薬品:

現在、日本において特許の存続期間は出願から20年であり、医薬品の場合、最大で5年間の延長が認められます。特許が有効に存在している間は、第三者は特許権者の許可なく発明を実施することは出来ません。即ち、第三者は、許可無く、特許された医薬品を製造・販売することは出来ません。

しかし特許期間が満了すると、第三者が、特許権者の許可無く発明を実施できるようになります。医薬品の場合、先発医薬品が認可を受けていれば、簡単な審査で特許製品と同様の医薬品の認可が下ります。研究開発費などはかかっていないわけですので通常、先発医薬品よりも安価に提供され、そのような医薬品を通常「ジェネリック医薬品」と称します。

更に、TRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)においては、ジェネリック医薬品製薬会社が既存の医薬品の臨床データを、薬剤認可を受ける際に利用することを許容しています。臨床データの取得は、時間と費用がかかるため、臨床データが不要であることはジェネリック医薬品の価格低下に大きく寄与しています。

また、近年、2010~2012年頃にかけて、大型医薬品(ブロックバスター)の特許が一斉に切れるという所謂「2010年問題」が話題になっています。ジェネリック大国である中国・インドなどが、この機を大きなビジネスチャンスと考えています。

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PCT(7): 国際出願用の明細書作成

優先権出願の明細書とPCT出願明細書

日本特許庁に提出されるPCT国際出願については、日本出願に基づく優先権を主張して提出されることが殆どです。

PCT国際出願に記載された発明が、優先権を主張した日本出願明細書の開示に含まれていれば、優先権を享受できます。しかし、PCT出願明細書の開示内容を日本出願明細書と同じにする必要はありません。

PCT出願明細書作成の際に、表現を改善したり、優先権が効かなくて良ければ新規事項を追加することもできます。一方、各国国内段階に移行する際に各国特許庁に提出するのは、あくまでPCT出願明細書の翻訳文ですので、この段階では、新規事項の追加はできませんし、その他の修正も補正という形でしか行うことができません。勿論、補正もPCT出願明細書の開示にサポートされている必要があります。

最先の日本出願とPCT国際出願の性質の違いを考えるならば、日本出願については、多少、明細書の質を犠牲にしても速やかに提出されるのが一般的であり、一方、PCT国際出願は、高額な出願費用をかけて、多くの場合数カ国での権利化を目指す重要な発明に関するものですから、外国において可能な限り確実に権利化できる内容の明細書とする為、明細書の質の向上に努めることが望ましいと考えます。

PCT出願用の明細書作成時に注意する点

日本出願明細書に基づいてPCT出願用明細書を作成する際に心掛けるべきことは、所望の権利範囲を確保しつつ特許化の確実性を上げること、そしてもう一つは各国で通用する内容の明細書とすることです。

1.外国で確実に権利化するための改善と補強

まず、記載要件や先行技術に対する新規性・進歩性の観点から再検討することが必要です。

日本出願時には、先行技術調査の結果、新規性そして進歩性の観点から権利化できる見込みが充分に高いと判断されれば、出願の形式を整え、速やかに提出するというのが一般的なプラクティスであると思います。

これに対して、PCT出願はあくまで外国出願です。実際に外国の国内段階に移行する際に各国の特許庁に提出するのはPCT出願明細書の「翻訳文」です。従って、PCT出願明細書は、たとえ日本語で提出しても、外国出願用の明細書です。

PCT出願経由で外国出願するということは、重要性が高い発明に関するものでしょうし、またPCT出願及び各国移行には相当の費用が必要になります。

従って、当然のことながら、PCT出願時には、外国でなるべく確実に権利化できるよう、発明は充分に明確に定義されているか、実施可能要件など記載は充分か、先行技術に対する新規性・進歩性を明らかにできるよう態様が記載されているか、また発明の効果を主張する際に有効なデータが充分かなど、様々な観点から慎重に再検討することが必要です。

一般には、クレームや明細書がシンプルであれば、特許成立した際に広い権利範囲を押さえることができるため、望ましいと言われます。しかし、特許は成立したとしても、権利範囲が広ければ利害関係を有する第三者も増え、そしてそのような第三者から攻撃を受けた時(特許無効を訴えられた時)に、シンプルな明細書は、戦う武器が少ないということになってしまうこともあります。従って、明細書は一概にシンプル・イズ・ベストというわけにはいかず、様々な要因を考慮した上で、何を記載する必要があり、何を省けるのか慎重に検討する必要があります。

勿論、基礎となる日本出願明細書の質も出願人により様々であり、日本出願の時点でかなり質の高い明細書を作成する企業も有ります。しかし、そのような場合でも、PCT国際出願に際して弊所で再検討した際には、必ず何らかの改善ポイントがありました。しかも些細な表現上の問題などではなく、弊所の経験上、重大な事態に発展する可能性がある問題が必ず存在しました。

余談になりますが、近年のようにPCT制度が盛んに利用されるようになる以前は、パリ条約優先権を主張して、最初の日本出願から1年以内に外国に直接出願していたわけですが、その際には、単に日本出願の翻訳ではなく、日本出願明細書はあくまで原案と考えて、修正や補強を行い外国出願用の英文明細書を作成するということが一般的でした。PCTの利用が一般に浸透し、日本語で出願できるようになってから、内容の再検討などは行わずに、日本出願の明細書をそのままPCTの形式に変更しただけで提出することが行われるようになってしまったようです。 

優先権の有効性

場合によっては、PCT出願の際に追加で記載した特徴については、優先権を認められないかもしれません。しかし、外国出願に優先権が効かない事項が1つでも含まれていたら、出願全体に関して全く優先権が無効になるということではありません。優先権出願に開示されていなかった部分についての優先権が認められないということです。また、優先権出願からPCT出願の間に、それと同一の発明が公開なされなかったならば、優先権が効かなくても問題有りません。

優先権出願に無かった記載をPCT出願明細書に加えることで、特許が成立する可能性が高くなるならば、追加を検討する価値はあるはずです。

2.翻訳し易さ

PCT出願の国内段階移行時には、多くの場合、PCT出願明細書の翻訳文の作成が必要になります。近年、最初から英語でPCT出願する日本の出願人も増えてはいるようですが、まだまだ少数派です。

弊所では、日本語でPCT出願した場合、日本語のPCT出願明細書を作成した本人が中心になって、各国移行時の英文明細書を作成しますので、翻訳時に困難に直面するようなことはあまりありません。それでもやはり、なるべく翻訳に負担がかからないような日本語の明細書を作成するよう心掛けています。一般的に、普段から使い慣れている日本語であるが故に、客観性に欠ける文章になっていても気付かないということが起こりえます。第三者が読んだ時に、誤解されることなく、容易に意図が正しく伝わるかどうか丁寧に検証しなければなりません。この観点から、どのような日本語明細書にすれば理解し易いかが身をもって分かるため、明細書の翻訳も出来る人間がPCT国際出願用の日本語明細書に関与することが理想であると考えます。

3.国によるプラクティスの違い

上記項目1.で述べたような一般的な注意事項に加えて、国によるプラクティスの違いも考慮する必要があります。

特許制度については、国際的な調和(ハーモナイゼーション)を目指す動きが見られますが、依然として国によるプラクティスの相違から明細書に要求される事項に違いが有ります。表現的上の問題(例えば、医薬の用途発明に関して、許容されるクレームの形式の相違など)であれば、各国の国内段階に移行してからでも対応が可能ですが、PCT出願の段階で記載しておかないと後から対処できないものも存在します。以下に、そのような記載の例を挙げます。

1) 欧州における補正の厳しさ

明細書中に極めて明確な根拠がないと補正が認められない傾向がある。従って、将来、補正の可能性があるのであれば、補正後の態様について明細書に明記しておく必要がある。

2) 日本における特殊パラメータ発明に関する記載要件の厳しさ

日本や韓国においては、パラメータの意義の説明やパラメータによって達成される効果を明らかにする為に充分な実施例が必要。

記載要件や実施例の量については、米国や欧州では充分と看做されるようなものであっても、日本や韓国では不十分と判断されることがある。

3) 発明の効果に関する記載

特に米国出願に関しては、明細書に効果を記載すると、それにより権利範囲が制限されてしまうため、なるべく記載しない方が良いという考えがある。

米国では、出願時に明細書に記載されていなかった効果について、後から主張することができるので、米国にしか出願しないのであれば、効果については詳細に記載しなくても問題ないかも知れない。

また、米国以外の国においても、明細書における効果の記載により、権利範囲が制限される可能性はある。

しかし、日本、欧州、中国を初めとする多くの国においては、出願時の明細書から読み取れないような効果について、後から主張しても認められない。従って、米国以外にも出願する見込みがあるのであれば、進歩性(非自明性)につながるような効果は記載しておく必要がある。

4) 米国におけるBest Modeの開示

但し、2011年のAIAにより、Best Mode要件違反は無効理由とはならなくなった。

纏め

以上の様に、PCT国際出願用の明細書は、日本語であっても、実際には外国出願用の明細書であり、PCT出願する発明が重要な発明であって、そしてそれを確実に経済的に権利化することを望むのであれば、単に日本出願明細書をそのままPCTの形式に変換するのでなく、この機を活用して明細書を再検討することが望ましいと考えます。

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翻訳業務に関する弊所の特徴  - 品質重視 -

外注は一切無し

翻訳の外注は一切行わず、全て高度な技術を有する弊所の有能な常駐翻訳者が対応致します。弊所は、少数精鋭にて翻訳の質を高レベルに管理・維持しております。また、英語文書の正確さ・的確さでは、ネイティブに勝ることはあっても劣ることは無いと考えておりますので、ネイティブチェッカーは採用していません。

また翻訳資産は所内でデータベース化され、弊所の経験豊富な翻訳スタッフにより、効果的且つ効率的に利用されるため、一連の関連性のある翻訳案件などにおいて、用語や表現について一貫性を保った翻訳を常にご提供することができます。

実力者による万全のチェック体制

弊所のチェッカーは全員英検1級取得者(入社時に既に取得済み)であり、全ての翻訳者は弊所の専属常勤スタッフで、殆どが勤続10~20年のベテランです。

そのようなベテランが作成した翻訳原稿であっても、弊所では、他の翻訳会社・翻訳事務所とは比較にならないほど厳しくチェックされます。弊所の翻訳スタッフは、各々が翻訳の質の高さにプライドを持っており、弊所からご提供する翻訳は必ずや高品質のものと致します 

伝わる翻訳を

ビジネスに要求される実務翻訳は、ジャーナリストが書くような恰好の良い文章とすることよりも、的確な用語と表現を用いて、意図したことが正確且つ容易に伝わるようにすることが重要です。契約書類にしても取扱い説明書にしても特許出願明細書にしても、読者に負担をかけず、誤解されることなく、正確に理解してもらうことを最優先事項とすべきと考えます。

この点、弊所では、「意図したことが正確且つ容易に伝わる」文書を作成することについては、他社に引けを取ることは決してないと確信しています。

例えば、英語文書の作成については、英語のネイティブであっても、優れた英語文書を作成する能力を有しているとは限りません。むしろ、ネイティブであるが故に、惰性で客観的に分かり難い文章を書いてしまっても気付かないということが往々にして起こりえます。(そのようなご経験をお持ちの方も少なくないと思います。)

弊所では、上記の通り、外注は一切行わず、SOHO形態も採用せず、所員は、長年に亘り同じ事務所内でお互いの仕事を厳しくチェックし、切磋琢磨することにより能力を高め、弊所で作成した翻訳文は、的確な用語と表現が使用されていることは言うまでも無く、必ず「意図したことが正確且つ容易に伝わる」ものとなるように全力を注いでいます。

仮に原稿が分かり難い文章であっても、我々が作成した翻訳文は、必ず客観的に容易に理解可能なものとします。(意訳が許されない状況であっても、工夫して読みやすくする技術には自信があります。)

特に翻訳対象の原稿の著者とコンタクトを取ることが許される状況であるならば、不明な部分は著者に確認し、勘で文章を書いたり、ごまかして曖昧な記載とするようなことは致しません。必ず、著者の意図が正確に伝わるような翻訳文を作成します。

また様々な状況下での翻訳経験が有りますので、その時の状況に応じて臨機応変に対応致します。

海外の専門家からも高い評価

特に特許関連の文書(PCT出願明細書などの外国特許出願用明細書、審査通知に対する回答書(補正書・意見書)など)の翻訳に関しては、我々が国内で実力No.1であると自負しています。多少のお世辞もあるかもしれませんが、国内のお客様を介して、「井上&アソシエイツの英語がダントツに分かり易い」という欧米の弁護士や弁理士の評価を伺っています。

一般に、特許翻訳者の心構えとして 『特許翻訳をする者は、自分で明細書が書けるくらいのつもりで翻訳に取り組まなければならない』 ということがよく言われます。しかし、このようなことが心構えとして掲げられるということは、明細書を書く能力がある者が翻訳するということが現実的には達成不可能な目標として認識されているということを意味すると思います。

井上&アソシエイツにおいては、上記の様なことは、必要最低限のノルマとして認識されています。高品質な明細書翻訳文を作成する為には、優れた明細書が書ける能力は絶対に必要です。非常に厳しい訓練により、そのような能力を身につけた少人数の人間が弊所の主要メンバーです。また、上記の通り、弊所の翻訳者は全員、常勤の所員であり、お客様から課せられた納期や特許出願の法定期限以外にノルマ的なものは存在せず、従って妥協することなく翻訳の質を追求できる環境にあります。そして実際に一切妥協しません。

弊所が作成した英文明細書のドラフトを、欧米の弁護士や弁理士にチェックさせたことも有りますが、常に高い評価を頂いています。

また外国特許庁からの審査通知に対する回答書などの場合、顧客から基本的な回答方針を伺い、弊所で論理構成して英語の回答書案を作成するということが多いのですが、そのように弊所で作成した回答書案は、その質を欧米の弁護士や弁理士に高く評価されています。

特許翻訳以外の翻訳であっても、国内トップのプライドを持って対応いたします。

高品質な技術翻訳をお求めであれば、是非、弊所をお試しください。必ずご期待に添う品質の翻訳サービスを提供することをお約束します。

納期厳守

当然のことではありますが、納期は厳守致します。全てのビジネスにおいてそうであるように、翻訳もサービスの質が高くともタイムリーに提供できなければ意味が無いと全スタッフが肝に銘じています。

これまでも通常の翻訳のみならず、期限が逼迫した外国特許出願案件も数多く担当しましたが、当然のことながら期日を逸したことはございません。お客様に指定され弊所も同意した期限については、必ずこれを守ります。

弊所の特徴は、とにかく徹底した理解に基づいて正確且つ分かり易い翻訳文を作成することですが、丁寧な仕事をしてきたからこそ、正確な翻訳を効率的に行う技術が身についています。速やかに質の高い翻訳をご提供することをお約束致します。

万全なアフターケア

翻訳の質には自信を持っておりますが、もしも翻訳文の変更をご希望であれば、ご納得頂けるまで何度でも無料で対応致します。

訂正をご依頼された部分について弊所の訳文が適切であると思われる場合であっても、「プロの翻訳なのだから間違いない」などと投げやりな応対は決して致しません。必ずご納得頂けるような翻訳となるまで、誠実にご対応致します。

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プロメテウス事件に基づく特許適格性分析指針とクレームのドラフティング

2012年7月3日、米国特許商標庁(USPTO)は、 "2012 Interim Procedure for Subject Matter Eligibility Analysis of Process Claims Involving Laws of Nature"(2012 自然法則を含む方法クレームの特許適格性分析のための暫定的手法)と題された指針メモを公表しました。これは、プロメテウス事件の最高裁判決[Supreme Court decision in Mayo Collaborative Services v. Prometheus Laboratories, Inc., 566 U.S. ___, 132 S.Ct. 1289, 101 USPQ2d 1961 (2012)]を受けて、USPTOの審査官のためのガイドラインとして発行されたものです。

米国特許法第101条に規定される特許可能な対象(patentable subject matter)に関する近年の重大判例として挙げられることが多いプロメテウス事件の最高裁判決ですが、実際には、この判例は、特許適格性の定義に新たな光を当てるものと言うよりは、方法クレームのドラフティングを疎かにすることなかれと訓辞するものであると考えます。

背景説明

日本では、特許法2条1項に、特許の保護対象となる「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と規定されています。

一方、米国特許法第101条は、特許による保護対象として、プロセス(process)、機械(machine)、生産物(manufacture)、組成物(composition of matter)、これらの改良、の何れかに属することを要求していますが、これ以上の制約は明記されていません。1980年のDiamond v. Chakrabarty事件における最高裁判決においては、「太陽の下で人間によってなされたいかなるものも(anything under the sun that is made by man)」が、101条に規定された特許保護対象に含まれるとまで述べられています。しかし、実際には、判例に基づき、抽象的概念(abstract idea)、自然法則(laws of nature)、自然現象(natural phenomena)は、特許の保護対象に含まれないものとされています(MPEP § 2106)。

近年、米国特許法第101条に基づく特許保護対象適格性については、Bilski事件が最高裁で争われ[Bilski v. Kappos, 130 S. Ct. 3218, 561 US, 177 L. Ed. 2d 792 (2010)]、特にビジネス方法について特許適格性の基準を明らかにするものと期待されていましたが、最高裁は、CAFCの大法廷(en banc)が「machine-or-transformation testが、ビジネス方法に関する発明が特許保護の対象になるか否かについての唯一の判定手段」と判示したのを覆し、”machine-or-transformation test”は、有効な判断手段の一つに過ぎないとし、新たな明確な基準を示すことはありませんでした。

また、上記のBilski事件に引き続き、特許保護対象適格性に関して、Prometheus事件も最高裁で争われ、大いに注目を集めていました。

Prometheus事件において有効性が争われた特許は、治療効果を最適化する方法に関するものでしたが、米最高裁判所は、Prometheus特許が請求しているのは自然法則そのものであり、特許保護対象とはならないと判示しました。

日本特許法において、「発明」が「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義されていることからも分かる通り、殆ど全ての発明が何らかの自然法則を応用しているはずであり、Prometheus特許における最高裁の「自然法則そのもの」であるという判示が、医療関係分野に限らず方法のクレーム全般の特許保護対象範囲に与える影響について懸念する声が多く聞かれ、また、Prometheus事件の最高裁判決は、近年のアンチパテントの流れに沿ったものとの見方がされることも有るようです。

しかし、このPrometheus事件に関する限り、多くの特許実務者は、特許保護対象の問題というより、むしろクレームのドラフティングの問題と考えていると思います。自分だったら違ったクレームの書き方をしたと考えた実務者が多いのではないでしょうか?

この事件から本当に導き出される教訓は、何が特許適格性を有する主題なのかというよりも、むしろ単なる自然現象をクレームしていると見なされないように、適切にクレームをドラフティングしなければならないという非常に初歩的な問題であると思います。そして、今回、USPTOが発行したガイドラインも、特許実務者は当然認識していて然るべき基本的な注意事項を扱っているに過ぎません。

Prometheus特許のクレーム

問題になったPrometheus特許の代表的なクレームは、以下の通りです。

原文

A method of optimizing therapeutic efficacy for treatment of an immune-mediated gastrointestinal disorder, comprising:

(a) administering a drug providing 6-tmoguanine to a subject having said immunemediated gastrointestinal disorder; and

(b) determining the level of 6-tmoguanine in said subject having said immune-mediated gastrointestinal disorder,

wherein the level of 6-thioguanine less than about 230 pmol per 8×108 red blood cells indicates a need to increase the amount of said drug subsequently administered to said subject and

wherein the level of 6-thioguanine greater than about 400 pmol per 8x 108 red blood cells indicates a need to decrease the amount of said drug subsequently administered to said subject.


日本語訳

免疫介在性胃腸疾患の治療効果を最適化する方法であって、

(a)該免疫介在性胃腸疾患を有する対象に、6-チオグアニンの薬物を投与する工程、および

(b)該免疫介在性胃腸疾患を有する対象における6-チオグアニンのレベルを決定する工程

を含む方法であり、

該6-チオグアニンのレベルが、赤血球8×108個当たり約230 pmol未満であれば、該対象に対するその後の薬物投与量を増やす必要性があることを示し、そして、

該6-チオグアニンのレベルが、赤血球8×108個当たり約400 pmolを越えるならば、該対象に対するその後の薬物投与量を減ずる必要性があることを示す。

クレームの分析と考察

クレームの分析

上記のクレームの概略を簡潔に纏めてしまうと以下のようになります。

『治療効果を最適化する方法であって、

(1) 特定薬物を投与する工程、及び

(2) 薬物の有効成分の血中濃度を決定する工程、

を含み、そこで(wherein):

 上記血中濃度が特定値未満であれば、投与量の増加が必要、

 上記血中濃度が特定値を超えたら、投与量の減少が必要。』

先ず、注意すべきなのは、Prometheus特許は、「診断方法」や「投薬方法」に関するものと認識されていることが多いようですが、正確には、上記の通り「治療効果を最適化する方法」に関するものです。

考察

上記のことから分かる通り、Prometheus特許のクレームには、「治療効果を最適化する」という目的を達成する手段として何が開示されているかと言うと、薬が少なすぎたら投与量を増やすことが必要になり、逆に少なすぎたら投与量を減らすことが必要になるという1つの判断基準が説明されているに過ぎません。

実際に上記の判断基準に従って決定した量で投薬するという工程までは明記されておらず、単に、適切な投与量の増減の必要性を判断する基準を説明したところで終わってしまっています。

血中濃度が閾地より低くて投与量の増加が「必要」になる、又は血中濃度が閾地より高くて投与量の減少が「必要」になるというようなこと自体は、単なる自然法則と解されても致し方ないでしょう。

当業者であれば、上記Prometheus特許のクレーム文言から、上記の判断基準に基づいて制御された量で薬物を投与するところまで読み込むことが合理的という考え方も出来るでしょう。しかし、クレーム文言通りに解釈して、血中濃度が閾地より低くて投与量の増加が「必要」になる、若しくは血中濃度が閾地より高くて投与量の減少が「必要」になったら、Prometheus特許の権利範囲ということになったならば、実際にそれに基づいて投与量を制御しなくとも、Prometheus特許を侵害してしまうことになり、公平性を欠きます。

また、上記のように『適切な投与量の増減の必要性を判断する』ということは、頭の中だけで出来ることであり、これは101条関連で、Bilsky事件後に、CAFCで争われたCybersource事件(CyberSource Corporation v. Retail Decisions, Inc., No. 2009-1358 (Fed. Cir. August 16, 2011))において特許適格性がないことが確認された「精神的プロセス」(mental process)に当たると言えます。

Prometheus特許のクレームにおける実際の表現は「必要性を示す」(indicates a need to …)であり、実際に「判断する」という表現が使用されている訳ではないので、この事件において、Prometheus特許のクレームが「精神的プロセス」だと認定されたわけではありませんが、特定の薬物血中濃度が投与量の増減の必要性を示すということは、観察者の判断によって決定されることなので、実質的に「精神的プロセス」であると言ってもいいのではないでしょうか。

101条問題の回避

上記のような問題は、基本的なクレームのドラフティングにより、容易に回避できた可能性があります。

例えば、上記の判断基準に基づいて制御された量で薬物を投与するところまでクレームに明記されていたらどうだったでしょうか?その場合、112条(記載要件)や102条(新規性)及び103条(非自明性)を満たすかどうかは別として、101条の問題は回避できた可能性が高いと思います。

また、単に101条を満たすことのみを目的とすれば、「治療効果を最適化する方法」ではなく、「免疫介在性胃腸疾患の治療方法」にしておけば、特許保護適格性が認められた可能性は十分にあると思います。「治療効果を最適化する方法」としたために、最高裁は、特定の薬物血中濃度が投与量の増減の必要性を示すという部分のみを、発明の実質的な特徴と見なしましたが、「免疫介在性胃腸疾患の治療方法」であれば、薬物を投与する工程が発明の実質的な特徴と見なされるはずです。いずれにしても上記の判断基準に基づいて制御された量で薬物を投与するところまで明記しないと、発明の本質的な特徴が明らかにならないとは思いますが、この『薬物を投与する』行為は、明らかに自然法則そのものではないため、101条の問題は回避できると考えます。

CAFCは、Prometheus特許の特許保護適格性を認めたことからも、本件は101条に関しては当落線上にあり、クレームの書き方次第で101条違反を免れることも十分に可能であったことが伺えます。

Prometheus事件に基づきUSPTOが作成した指針

プロメテウス事件の最高裁判決を受けてUSPTOが公表したガイドラインによると、自然法則を含む方法クレームの特許適格性の判断において、以下の3つの点を検討することとしています。

1.  Is the claimed invention directed to a process, defined as an act, or a series of acts or steps? [請求された発明が、行為又は一連の行為若しくは工程によって定義された方法に関するものか?]

2.  Does the claim focus on use of a law of nature, a natural phenomenon, or naturally occurring relation or correlation (collectively referred to as a natural principle herein)? (Is the natural principle a limiting feature of the claim?)

[クレームが、自然法則、自然現象又は自然発生する関係若しくは相互関係(以下、これらは纏めて「自然原理」と称す)の応用に焦点を当てたものか?(即ち、自然原理が、クレームを限定する特徴となっているか?)]

3.  Does the claim include additional elements/steps or a combination of elements/steps that integrate the natural principle into the claimed invention such that the natural principle is practically applied, and are sufficient to ensure that the claim amounts to significantly more than the natural principle itself?

  (Is it more than a law of nature + the general instruction to simply “apply it”?)

 [クレームが、以下のような付加的な要素/工程又は要素と工程の組み合わせを含んでいるか?: 自然原理を、これが実用的に応用されるような形でクレームされた発明に組み込み、且つクレームが明らかに自然原理以上のものに相当するものとなることを確実にするのに十分な要素/工程又は要素と工程の組み合わせ。

 (即ち、クレームが、自然法則と、それを単に応用しろという一般的な指示との単なる組み合わせとなっていないか?)]

上記項目1及び2は自明であると思います。今回の問題点は、項目3に集約されています。

項目3の最後の括弧書きには、Is it more than a law of nature + the general instruction to simply “apply it”?(クレームが、自然法則と、それを単に応用しろという一般的な指示との単なる組み合わせとなっていないか?)とあります。

上記のPrometheus特許の方法クレームでは、血中濃度が閾地より低くて投与量の増加が「必要」になる、又は血中濃度が閾地より高くて投与量の減少が「必要」になるというようなこと自体は、単なる「law of nature」に過ぎず、また実施に際して投薬量の調整が「必要」であるということが理解されても、それは「general instruction to simply “apply it”」の域を出ないということになります。

典型的には、方法のクレームの場合、意図した結果を得るために自然法則を応用して行われる操作を具体的に記載することにより、単に、自然法則そのものを請求していると見なされることを回避することが出来ます。Prometheus特許の場合、例えば、上記したように、上記の判断基準に基づいて制御された量で薬物を投与するところまでクレームに明記されていたら、101条の問題は回避されていた可能性が高いと考えられます。

いずれにしても、冒頭でも述べたように、Prometheus事件最高裁判決及び今回のガイドラインは、米国における特許適格性を有する主題の定義に関して問題提起するものと言うより、方法クレームのドラフティングを疎かにすると特許適格性が否定されてしまうこともあり得るという教訓ととらえるべきでしょう。

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医療・バイオ関連発明の方法クレームについて

医療・バイオ関連発明の方法クレームの書き方(1): 日本出願の場合

米国とオーストラリア以外の諸外国では、人体を対象とした「手術方法」、「治療方法」や「診断方法」は特許の対象にはなりません。治療に用いることを直接的に意図した発明でなくとも、人体に作用する工程を含むような発明も、治療方法や手術方法とみなされて拒絶されるケースは少なくありません。そのため、医療・バイオ関連発明の出願において方法のクレームを作製する場合には、以下の点に注意する必要があります。

(1)ヒトを対象とした方法は特許の対象にならないが、動物を対象とした方法は特許の対象になる。しかし、「ヒト」も「動物」の1種なので、「ヒト以外の動物」と明示する必要がある。

(2)生体内で行う方法は特許の対象にならないが、in vitro(試験管内)で行う方法は特許の対象になる。可能であれば、in vitroの方法であることを明示する。

(3)医師の行う作業、例えば、人体からの試料の採取や、人体への薬品の投与、病気の判断については記載しない。

(4)医師などによる装置の操作は記載せず、装置そのものの動作として記載する。

特にクレームの書き方に注意の必要な発明としては、次のものが挙げられます。

 ・生体由来の細胞や組織などの処理方法に特徴のある発明

 ・医療機器の作動方法

 ・アシスト機器技術関連発明

・ 生体由来の細胞や組織などの処理方法に特徴のある発明

生体由来の細胞や組織などの処理方法に特徴のある発明の典型的な例としては、血液透析の方法(人体から血液を取り出し、有害物質を除去し、同一人に戻す方法)が挙げられますが、このように、人体から採取したものを同一人に治療のために戻すことを前提とした方法は、例え、人体から試料を採取する工程に関する記載がなくとも、原則として特許の対象にはなりません。

しかし、このような技術の例外として、自家採取物を用いた医薬品または医療材料の製造方法は、製造した医薬品を、原料を採取した者と同一人に治療のために投与することが前提になっていても、特許の対象となります。例えば、「Xタンパク質をコードするベクターをヒトに投与する遺伝子治療方法」はヒトにベクターを投与するという行為が「手術・治療方法」に該当するため特許の対象外ですが、「人体から採取した細胞に、Xタンパク質をコードするベクターを導入する、遺伝子治療用細胞製剤の製造方法」は特許の対象になります。同様に、ヒトから採取した細胞を用いた ①分化誘導技術、②分離・純化技術、③安全性の検査技術等の再生医療に必要な技術も特許の対象です。

・ 医療機器の作動方法

医療機器そのものは物の発明として特許の対象になりますが、その作動方法も特許の対象になります。例えば、「内視鏡による体腔内の観察方法」は、体腔内の観察という行為が「手術・治療方法」に該当するため特許の対象外ですが、「内視鏡の作動方法」は特許の対象です。このような場合、医師の行う操作に関する記載(例:「操作者が回転指示器を操作する」)は認められませんが、装置の動作に関する記載(例:「回転指示信号に応じて回転指示器が作動する」)は認められます。

・ アシスト機器技術関連発明

介護ロボットや歩行補助装置のようなアシスト機器技術関連発明について方法のクレームを作成する場合には、発明の性質上、人体の状態の判定(例:「歩行の状態を判定する」)や、人体への作用工程(例:「作業者の作業負担を軽減する」)に関する表現が必要になります。この分野の発明については、医療(例えば、リハビリ)を目的とした発明は特許の態様にはなりませんが、医療目的ではない発明(例えば、重労働を行う作業者の支援用)の場合には、機器による判定や作用が人間を手術、治療または診断する方法に該当しないことは明らかなため、上述のような表現を用いたとしても、特許対象外とみなされることはありません。

医療・バイオ関連発明の方法クレームの書き方(2): 欧州出願の場合

欧州特許法第53(c)では、手術や治療によってヒトや動物を処置する方法は特許の対象にはならないと規定されています。具体的には、医療従事者の行う作業は全て「手術や治療のための方法」に該当すると考えられており、例えば、単純な注射を行う工程が1つでも発明の方法に含まれていたら、特許の対象になりません。こういった欧州における「手術や治療のための方法」の定義は厳しすぎるという声もあり、2010年2月16日付の欧州特許庁(EPO)の拡大審判部による審決(G1/07)によって、新たな基準が設けられました。

G1/07において拡大審判部は、「心臓への造影剤の注入」という工程を含むMRIによる撮像方法について、「心臓への造影剤の注入」という工程は「生体に対する処置方法」に該当するため、この撮像方法は特許による保護の対象にならないと判断しました。しかしながら、この判断について、「手術や治療の実施が健康被害のリスクを伴うため、医療従事者の介入が必要な方法」のみを特許による保護の対象外とすべきであると結論付けています。

つまり、単に医療現場で実施される方法であるという理由だけでは、特許の対象外にはならないと判断しています。そこで問題になるのは、発明の生体に対する安全性や侵襲性ですが、これらの点については特に判断基準は設けられていません。現状では、特許の対象となる方法の発明をあまり拡大解釈することはできませんが、以下の方法は特許による保護の対象になると考えられます。

・生体を対象とした行為であっても、安全で日常的な技術であれば、そのような行為を含む方法も特許の対象となる。

・非治療的な薬品の投与を含む方法(但し、投与方法に伴う健康リスクがあるものは特許の対象としない)

・装置の運転方法のみに係わる発明であって、装置が人体に与える効果とは無関係の発明

・生体を対象としているが、健康被害が問題とならない行為(例えば、動物の屠殺)を含む方法

医療・バイオ関連発明の方法クレームの書き方(3): 米国出願の場合

米国では、人体を対象とした「手術方法」、「治療方法」や「診断方法」は特許の対象になります。また、米国の特許法には日本や欧州には存在する倫理規定のようなものも存在しないため、人体に作用する工程を含む発明が特許の対象にならないと判断されることはありません。(しかし、当然のことですが、特許として認められるかどうかは又別の問題です。)

米国出願において注意しなければならない点は、公知物質に基づく「物」の発明(例えば、公知物質の第2医薬用途に基づく製剤や、用法・用量に特徴のある製剤など)は特許対象外であるため、方法の発明として出願しなければならないという点です。

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